会社の税金


2017/7/5

法人税(会社固有の税金)

会社の儲けには、法人税(国税)、事業税(都道府県税)、都道府県民税、市町村民税が課税されます。ここでは、これらをまとめて法人税といいます。法人税は会社(法人)に固有の税金です。個人事業者や一般個人には法人税が課税されることはありません。ここでの「儲け」とは「利益」のことです。利益は「収益−費用」として計算されます。法人税は利益に対して一定税率を乗じて課税されます。利益が多い会社のことを儲かっている会社といいます。儲かっている会社は法人税をたくさん納めなければならないのです。

会社は自ら利益を計算しなければなりません。この計算は事業年度という1年ごとの単位で行います。結果として法人税を申告して納めるのも1年ごとになります。このように、自ら税額を計算して申告することを申告納税制度といいます。会社であっても、利益の生じていない、いわゆる赤字(収益<費用)の場合は法人税を納税する必要はありません。ただし、都道府県民税と市町村民税の均等割は赤字でも納税しなければなりません。また、法人税の申告は納税額がゼロでも必要です。

利益の計算作業(記帳と決算)をして法人税の申告手続をすることを「経理」とか「会計」と呼びます。この作業には複式簿記や税法という専門知識が必要であることから、多くの会社は会計事務所(税理士)という専門業者に依頼しています。また、市販されている「財務会計ソフト」と呼ばれるソフトはこの利益の計算を行うためのものです。

法人税が申告納税制で、その計算を会社の自主的な判断に委ねられているがゆえに、ともすれば会社が不正、違法な申告を行うことがあります。これを国家権力によって正すのが「税務調査」です。税務調査は申告納税制度には不可欠なものなのです。

消費税(税務署に納めるのは事業者)

会社は消費税(国税および地方税)を納めなければなりません。消費税は会社(法人)だけでなく、事業を行っている個人(個人事業者)にも納税義務があります。会社は販売(サービス提供や貸付を含む)の際に消費税を受け取り、仕入や諸経費を支払う際に消費税を支払います。会社が税務署に納める消費税は、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた額です。

販売(サービス提供や貸付を含む)しても消費税が課税されない取引もあります。土地の譲渡、住宅の貸付がその典型です。また、消費税は国内の消費に課税されますので、輸出は消費税が免除されます。消費税は全ての会社が納めなければならないのではなく、売上規模、設立時の資本金額、設立後の年数によって納税義務が免除される場合があります。なお、消費税も法人税と同様、原則として事業年度ごとに自ら計算して申告と納税を行います。法人税と同じ申告納税制ですので、税務調査も行われます。

消費税は、広く公平に一般の消費を対象に課税する「間接税」であるといわれています。間接税とは税の負担者と納税義務者が異なる税をいいます。販売する事業者は本体価格(消費税を上乗せする前の価格)と消費税を区分して代金を受け取り、消費税は客(個人あるいは事業者)の負担となっています。しかし、これは、あくまでも理論上において客への負担(転嫁)が「予定」されているにすぎず、形式上は客への負担がなされているようでも、実際は販売する事業者の負担となっていることもあります。店頭での「消費税を取るならもう少し安くしてくれ!」という客と店員の会話は、このことを物語っています。これが、消費税の「納税」に苦労する会社が出る理由なのです。

源泉徴収(雇用者の義務)

会社には源泉徴収義務という雇用者としての義務があります。個人事業者でも雇用者であればこの義務はあります。会社がその役員や従業員に給与(給料、賞与など)を支払う際に所得税(国税)を源泉徴収し(天引きし)、それを税務署に納めなければなりません。なお、源泉徴収同様、役員や従業員の住民税(都道府県民税と市町村民税)も天引きし市町村役所に納めなければなりません(都道府県民税も市町村役所に納める)。

源泉徴収義務に関して十分に認識しておかなければならないのは、源泉徴収をしていなかったことが税務署にばれた場合、会社が納付しなければならないということです。「従業員の税金なのだから、従業員から直接取ってくれ」とはいえないのです。これは本当です。これで、大変な目にあっている会社があります。

源泉徴収は特定の所得や職業の者からのみ行うという、大変腑に落ちない制度かもしれません(給与以外の特定の報酬なども源泉徴収の対象となる)。特にサラリーマンにとっては「納税=税負担」を意識させないという弊害があります。しかし、法律ですので受け入れるしかありません。源泉徴収をしていなかった場合の後処理ほど大変なことはありません。「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」であると考えておく必要があります。源泉徴収制度を理解しない人(無視する人)のほとんどは、後でトラブルが起きたときに、もう、貴方の前から姿を消しているでしょう。結局、貴方が「泣き寝入り」することになるのです!

固定資産税、自動車税、印紙税

これらは個人(すべての個人)の場合と同じです。会社として不動産を所有していれば固定資産税が、自動車を所有していれば自動車税が、一定の契約書を作成すれば印紙税が、それぞれ課税されます。

会社と個人事業者の税金の違い(個人事業は記帳や申告手続が楽?)

「個人事業は記帳や申告手続が楽?」、ある意味で正しいかもしれません。なぜならば個人事業者の場合、貸借対照表の作成が義務付けられていないからです(白色申告の場合)。なお、個人事業者の場合は税務署と「交渉」し、推計値で税金が決まる(面倒な記帳は不要)ということが迷信的に信じられています。はるか昔そんな時代もあったそうですが、現在はそんな方法では税務署から大目玉を食らいます。

会社も個人事業者も帳簿の作成の労力は同様です。ただし、算出する利益(収益−費用)の捉え方が大きく異なります。それが、「勘定科目」という経理上の分類集計単位に表れ、記帳の方法も異なったものにしています。

◆会社の利益計算
利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に役員報酬=経営者取り分含む)
利益には「法人税」が、役員報酬には「所得税(給与所得からの源泉徴収)」が課税されます。

◆個人事業者の利益計算
利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に経営者取り分含まず)  
利益=事業所得に「所得税(確定申告が必要)」が課税されます。

違いは「経営者取り分」の扱いです。会社の場合は費用として差し引けますが、個人事業者の場合には差し引くことができません。そうであれば、会社のほうが「圧倒的に得」なように感じるかもしれませんが、会社の経営者取り分である役員報酬には所得税が課税されます(源泉徴収されます)。これは、経営者個人の税金です。会社の場合には会社(法人)と経営者個人の両方に課税されますが、個人事業者の場合には経営者個人にだけの課税となります。

個人事業者が経営者取り分(事業主)を引き出した場合は費用として差し引けませんので、個人事業者での赤字(事業所得がマイナス)は相当業績が悪いということです。事業主の取り分がゼロあるいはマイナス(蓄えの取り崩し)ということになります。 よく、「よそも赤字(おそらく会社と考えられます)で申告しているのだから、うちも赤字で申告する」という人がいます。そのような方のほとんどが、事業主の取り分を差し引いて事業所得を把握しています。

法律は個人事業者を「会社の簡略版」と位置付けているわけではありません。また、個人事業者に「粗雑さ」を許しているわけでもありません。しかし、記帳が済んだ後の申告手続に関しては、個人事業者よりも会社(法人)のほうが相当複雑で事務量も多いのは事実です。会社を選択した人の中にはこれで音を上げる人がいます。後悔する人がいます。個人成り(会社から個人事業者に変更)しようとするのです。

財務会計ソフトがあれば会計事務所に依頼する必要はない?

この件については「立場」と「経験」によって意見が分かれ、その意見が融合することはありません。誰もが特定の意見を主張し「その殻」に閉じこもるのです。

財務会計ソフトメーカーは、「簡単」で「誰でもできる」という姿勢を絶対に崩しません。しかし、この説明は財務会計ソフトの操作方法にのみに着目した説明です。多くの人はこの財務会計ソフトメーカーの説明を信じます。昨今では、パソコンで多くのことが解決できるので、「財務会計ソフトで・・・」と考えるのが当然といえば当然です。

簿記会計を専門とする人(公認会計士・税理士)は、複式簿記や税務の知識のない人が財務会計ソフトで作った総勘定元帳や試算表は「間違いだらけ」だといいます。これは本当のことです。「社長の話からすればこんなに売上が少ないはずはない?」、「社長がいつも乗っている車は?」、「家賃は?」というようなケースも実際にあります。とにかく、複式簿記や税務の知識のない人の作ったデータを修正するのは大変です。しかし、間違いによっては税務署や金融機関に指摘されず、何事もなかったように歳月が過ぎる場合もあります。そのような経験をした人は、「やっぱり、財務会計ソフトがあればできるんだ!」と考えます。一方、間違いを指摘された人は、「財務会計ソフトメーカーにだまされた・・・。何が全自動だ!」と考えます。

さて、あなたは誰のいうことを信じますか?

答えは、そう簡単には出ません。答えを出してくれるのは時間です。しかし、時間が経ってからでは手遅れになる場合もあります。こんな経験をした人は多いと思います(笑)。

★財務会計ソフトには会計事務所のサポートが必要不可欠です
財務会計ソフトには入力間違いの修正や入力漏れを発見する機能はありません。やはり、この部分については会計事務所のサポートが必要です。「最初だけ会計事務所に教えてもらえば・・・」は甘いです。処理の対象は日々変化していき、税金や会計の法律は頻繁に変わりますので、会計事務所のサポートが不要になることはありません。