設立後の登記


2017/7/5

登記制度の目的は取引先の保護(登記事項は誰でも知ることができる)

会社の「名称(商号)」「所在地」「目的(事業内容)」「役員(取締役、監査役など)」「代表者」「資本金」などを登記によって公表するのは、会社と取引をする者に一定の情報を判断材料として提供することにより取引先の保護を図るためです。

会社を設立しておきながら、会社が「法務局」で登記されているということを理解していない人がいます。法務局は会社設立手続だけに関する役所であると思っている人がいます。法務局は会社という存在を管理する役所なのです。会社設立の許認可をするのではありません。会社の登記は、人でいう「戸籍」や「住民票」に相当するのです。

会社の登記事項は誰でも知ることができます。登記簿は誰でも見ることができるのです。このことを知らない人が非常に多いです。法務局で一定の手数料を支払えば誰でも登記の内容を知ることができます。また、法務局は登記の内容を「登記事項証明書(登記簿謄本)」という書面にしてくれます。これも誰でも入手できます。登記は、個人情報(戸籍や住民票)のように保護の対象ではなく、「公示」するための制度なのです。

設立後も必要な登記(登記する義務)

会社制度が取引先の保護を目的としているかことから、登記している内容に変動が生じた場合にはその変動内容を登記しなければなりません。これは「義務」です。自社のPRをするためではありません。「名称(商号)」「所在地」「目的(事業内容)」「代表者」「資本金」などが変わった場合は速やかに登記をしなければならないのです。「設立登記が済み、会社として活動できるようになったので、もう法務局とは関係ない」は間違いということです。

「登記されている所在地と実際の所在地が違う?」、「登記されている代表者は三年前に死んでいるぞ!」では信用されません。

設立後の登記にも費用が必要です。もったいないかもしれませんが、会社としての信用を維持するためのコストなのです。何とか捻出してください。登記をしなかった場合は「過料」が課されます。会社法「第915条第1項」と「第976条第1項第1号」に明記されています。

設立登記を税理士がしてくれたことから(実際には司法書士を紹介している)、設立後の登記も税理士がしてくれると思っている人がいます。税理士は登記に関する手続をすることができません。登記は「司法書士」の仕事です。税理士が登記手続をすれば司法書士法違反(逮捕)です。

登記上の本店と事実上の本店が異なる(登記上の本店は簡単に知ることができる)

設立後、本店を移転したのに移転の登記をしていないことがあります。登記費用を節約するためです。確かに、登記上の本店を移転しなくても会社の活動自体はできます。しかし、取引先にこのことを知られた場合には非常に印象が悪いです。

「わざわざ登記簿を調べないだろう」と思われるかもしれませんが、登記簿を見なくても知ることができるのです。

国税庁・法人番号公表サイト」で簡単に調べることができます。当然、無料です。

「法人番号」とは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき、国税庁が各法人(会社や学校法人など)に対して指定する番号のことです。法人番号は、対象の法人へ通知した後、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地とともに公表されます。これを公表するのがこのサイトです。なお、会社の登記を扱う役所はあくまでも法務局ですので、より詳しい登記内容を知りたい場合には法務局まで行かなければなりません。

これで調べた本店所在地をグーグルマップで検索すれば、「この会社の本店は駐車場なの?」ということになってしまいます(本店移転後にビルが取り壊され駐車場になっている)。これでは信用されません。

「みすぼらしい」ですよ。「うさんくさい」ですよ。

「登記上の本店は創業の地で愛着がある」というのであれば、それなりの外形を整えておく必要があります。人を招ける建物は必須です。そして、事実上の本店を「支店」として登記しておきます。

設立当初から登記上の本店と事実上の本店が異なることもあります。登記上の本店を、今後も転居する予定がない自宅にするという方法です。これも同じです。今流行りのバーチャルオフィス・・・、これも同じです。

定款の定期的な見直し

設立時に作成する定款は「原始定款」といわれます。定款は会社の根本規則ですので、そう頻繁に変更するものではありません。しかし、変更の必要が生じたときは速やかに定款を作成し直し、登記が必要な場合(商号、目的、本店の変更など)はこれも行う必要があります。

なお、原始定款とは異なり変更後の定款は公証人の認証は不要で、登記にあたっても「書面としての定款」の提出は不要で「定款変更の議事録」を提出すれば済みます。そんなことから、設立後に定款を変更しても「書面としての定款」を作成し直していないことがあります。しかし、取引先(特に金融機関や役所)にはこれでは通用しないことがあります。定款を変更したならば速やかに「書面としての定款」を変更後の内容で作成しておくことが必要です。