小さな会社向けです。

会社設立ワンポイントアドバイス(1/6)

株式会社を前提に説明しております。

2011年6月22日現在

 

築山公認会計士事務所

 

このページは2017年7月5日に「会社設立/よくあるご質問」として内容を刷新いたしました。

今まで多数の皆様にこのページをご覧いただき大変ご好評を頂くとともに、リンクも

たくさんしていただいています。ですから、このページもしばらくはこのまま残しておきます。

 

目次

 

1/6(このページ) 設立する前の心得 2/6 資金を集める 3/6 設立手続中の注意点

4/6 運営体制の整備 5/6 役所への対応 6/6 金融機関への対応

平成18年から会社制度が大きく変わりました。

 

会社設立に関してよくある質問

 

会社設立による節税メリットのインチキ!

(会社か?個人事業者か?でお悩みの場合にはどうぞ!)

 

短期および長期の視点から会社設立(会社の設計)のお手伝いをさせていただいております。

まずは、お気軽にお問い合わせください。

遠慮は無用です。(遠慮していると損しますよ!)


 

 

設立する前の心得

 

所有と経営の分離

 

会社の基本的構造は「所有と経営の分離」です。所有と経営の分離とは、会社に資金を提供する者(出資者=株主)と会社を経営する者(役員=取締役)が別々であるということです。これは上場企業の構造を考えてみれば、容易にご理解いただけると思います。しかし、中小零細企業においては所有と経営の分離には程遠い状態です。

中小零細企業において所有と経営の分離がなされていない理由は、「銀行の存在(企業の銀行借入れへの過渡の依存)」「出資者と経営者の無知」「会社の経営基盤の弱さ」「会社内容の不透明さ」などが考えられます。中小零細企業における所有と経営の分離は並大抵のことではできませんが、以下のことを心がけていれば出資者が現れ、大きく飛躍するチャンスをつかむことも可能です。

 

(1)会社制度に対する理解を深める

(2)明確かつ客観的な事業計画を立てる

(3)公私の区分

(4)正確かつ明瞭な企業内容の公表

(5)出資者への分配(配当)

(6)出資者が投下資金を回収する方法を用意しておく

 

「所有と経営の分離は理想論」と、あきらめてはいけないのではないでしょうか。

 

発起設立か募集設立か

 

手続の簡略さで選べば発起設立です。しかし、会社設立の背景や設立後の運営方針から両者を選択する必要があります。

会社設立時および設立後のメンバーがごく少数かつ対等の関係にあり、将来的にもメンバーを増やす予定がない場合は発起設立に限ります。全員が発起人となり出資も引受ければよいからです。

メンバーが多く各メンバーの性質が「出資者」と「経営者」に区分されている場合は、募集設立がよいでしょう。設立後に取締役になる予定の者が発起人となり、その者が会社設立に関する手続を行うことにより、出資者は出資と会社設立の監視に徹することができるからです。

 

発起人の人選と人数

 

発起人の人数に制限はありません。しかし、あまりにもその人数が多い場合は手続が不便になります。設立手続のほとんどが発起人全員の同意(書面への署名と押印)が必要で、その人数が多い場合は事務手続に時間を要するからです。なお、発起人でなくとも設立手続には参加できます。ただし、その場合は「擬似発起人」としてその者にも法的な責任は発生します。

 

発起人と取締役

 

会社の設立後、発起人がそのまま取締役になるのではありません。発起人以外の者を取締役に選任することもできます。

 

休眠会社の譲り受け

 

会社の設立手続は決して簡単ではなく、費用もそれなりにかかります。そんなことから、休眠会社の譲り受けにより会社経営を始めることもあります。休眠会社とは法律上は会社として存在するけれども(登記簿にも存在するけれども)活動を一切していない会社のことです。たしかに、既存の休眠会社を譲り受ければ役員・社名・定款・本店所在地の変更登記だけですみます。しかし、休眠会社は過去に倒産した会社である場合が多く、負債の整理が完了していなかったりすることもありますので、あまりお勧めできる方法ではありません。また、長期間税務申告をしていない場合は青色申告を取り消されており、繰越赤字があるのに(銀行の評価も低いのに)これを控除できない憂き目にあうことがあります。やはり、安物買いの銭失いになるでしょう。

 

敢えて、休眠会社を譲り受けるのは次のような場合に限られると思います。

 

(1)譲渡先(前経営者、株主)のことを熟知している

(2)今後も譲渡先と連絡が取れる

(3)取引の関係上一定の営業年数(設立後の経過年数)が必要

(4)休眠会社と同一地でその商号を引き継いで営業したい

(5)休眠会社の取引先と取引を再開したい

 

定款に記載する会社の目的の数

 

会社の営業活動が定款記載の目的に制限されるかどうかの法律的解釈は様々ですが、あまり多くのそれも「営業する見込みのない目的」までを記載することには感心できません。会社の目的は、定款の記載事項であるとともに登記事項でもあります。新規に取引を開始する相手先(特に金融機関や役所)は、取引開始に先立って定款や登記簿謄本の提出を要求してきます。その際、定款記載(登記簿上)の目的により会社の内容を形式的・機械的に「分類」されてしまうことがあるからです。

たとえば、公的融資や補助金は「業種」を特定していることが通常で、この業種の判断は「事実」関係ではなく「定款記載の目的」で行われることがあるからです。事実上営業活動を行っていない目的が定款に記載されているがために、せっかくの公的融資や補助金を受けられないことがあります(あるいは、わざわざ定款を変更しなければならない)。

「目的が多いと見栄えがする」「そのうち活動する予定(希望)」「今後の定款変更が面倒」も一理あるかもしれませんが、定款への目的記載は必要十分な範囲にしておく必要があります。

 

本店の所在地

 

本店は、同一商号の問題がクリアーできるならばどこにしてもかまいません。しかし、できる限り事実上の本店(活動の拠点)と一致させておくことが望まれます。

「今後の移転登記の費用が無駄なので」と、代表者の自宅を本店の所在地とすることがあります。これも、定款記載の目的同様、取引先によっては事実上の本店ではなく、あくまでも登記上の本店を本店として扱います。発注先を、「本店が○○市にある業者」などと限定してくる場合がありますので注意が必要です。また、税務署対策として本店を事実上の本店から遠隔地に置くことがあります。税務調査は基本的には登記上の本店で行われますが、必要に応じて事実上の本店で行われる場合もあります。

 

支店の登記

 

支店についても登記しておくことができます。取引の都合上必要ならば登記しておくことをお勧めいたします。なお、支店登記がない場合も地方税の申告においては、「事業所」である限り(名称ではなく実質で判断されます)その自治体での税務申告が必要です。また、支店が存在することの公的証明として、登記簿謄本に代えて地方税の申告書控えと納税証明が用いられることがあります(公的融資や役所への入札参加など)。

 

事業年度(営業年度)

 

事業年度が終了する月(これを決算月といいます)は都合のよい月にすることができます。ただし、事業の特性に応じ、たとえば衣料品小売業なら季節変わりの2月(このような場合を2月決算といいます)か8月にするのが一般的です。初年度は一年に満たないことが通常で、さらに事業年度末は月末である必要はなく締日に合わせて20日などにもできます。

税務申告は、事業年度末から2ヶ月以内に終了しなければなりません。会社法上は事業年度末から3ヶ月以内に株主総会を開催し決算報告を行う必要があります。つまり、税務申告はそれに先行するわけです。

小規模な会社でしたら10月決算がよいでしょう。決算申告と年末調整が同時に終了するからです(税金関係手続の大半が一度に終了するからです)。あまりお勧めできないのは6月と11月です。決算作業中にそれぞれ夏季休暇と年末年始休暇があり、決算の作業効率が落ちるからです。設立後でも事業年度は簡単に変えられますので、実情にそぐわない場合は至急変更しましょう(登記の必要はなく税務関連役所に議事録と簡単な異動届を提出すれば済みます)。

 

定款の定期的な見直し

 

設立時に作成する定款は「原始定款」といわれます。定款は会社の根本規則ですので、そう頻繁に変更するものではありません。しかし、変更の必要が生じたときは速やかに定款を作成し直し、登記が必要な場合(商号、目的、本店の変更など)はこれも行う必要があります。

なお、原始定款とは異なり変更後の定款は公証人の認証は不要で、登記にあたっても「書面としての定款」の提出は不要で「定款変更の議事録」を提出すれば済みます。そんなことから、設立後に定款を変更しても「書面としての定款」を作成し直していないことがあります。しかし、取引先(特に金融機関や役所)にはこれでは通用しないことがあります。定款を変更したならば速やかに「書面としての定款」を変更後の内容で作成しておくことが必要です。

 

設立時に入手する登記簿謄本(登記事項証明書)の部数

 

会社設立後は各関係先への提出が必要ですので、必要部数を入手しておいてください。ただし、必要以上の入手は避けなければなりません。「過去3ヶ月以内に発行された登記簿謄本」など、提出先が求める登記簿謄本には「賞味期限」があるからです。なお、取引先によっては登記簿謄本の「提示」あるいは「写しの提出」で済む場合もありますので、このような相手先の分は必要入手部数に含める必要はありません。

 

法人成り(個人事業者から会社へ変更する)

 

個人事業者が会社(法人)を設立し、個人事業の権利義務関係(資産や負債を含む)を、設立した会社に引き継ぎ、以後会社で事業を行うことを「法人成り」といいます。法人成りする個人事業者は数多くありますが、創業当初から会社である場合に比べて、以下の手続を伴うために面倒であることは否定できません。

 

(1)取引先への名義変更通知と手続

設立した会社が事実上個人事業者と同一であっても、取引先への名義変更通知は必要です。そして、取引先(特に金融機関や役所など)によっては、厳格な名義変更手続をしなければならないこともあります。これが結構面倒で、名義変更が完了するまでに長期間を要することもあります。

 

(2)資産(売上債権、工場設備、車両など)と負債(仕入債務、銀行借入など)の会社への引継ぎ

個々の資産ごとの譲渡(売却)、一括しての営業譲渡などの方法が考えられますが、いずれの場合も税務上の問題が発生します。譲渡(売却)である以上、譲渡側(消滅する個人事業者=設立される会社の代表者)に所得税と消費税の問題が生じます。また、負債の引継ぎは、設立後の会社の役員賞与(消滅する個人事業主がそのまま役員になるとして)とされてしまうことがあります。

 

(3)資本金の用意

 これが一番大変かもしれません。創業当初から会社の場合は、出資された資本金を設備資金や運転資金にすればよいのですが、法人成りの場合はすでに資金を投下しているからです。資本金として払込取扱金融機関へ預けた資金は一定期間拘束されます。拘束期間中に支払日が到来すれば大変です。スピーディーな処理が要求されます。

 

(4)役員報酬という考え(カルチャーショック)

個人事業者の場合、「役員報酬=給与」という考えはありません。事業で得た資金をいつでも私用に引き出せます(ただし、私的費用が必要経費となるわけではありません)。しかし、会社の場合は毎月一定金額を役員報酬として会社からもらうこととなり、さらには役員報酬からの源泉所得税の徴収が必要となります。これは、大変な「カルチャーショック」です。特に個人事業者の期間が長いほどショックは大きく、いつまでたってもそれになじめないことがよくあります。

 

廃業(会社の清算)

 

会社を設立するのに手続が必要なように、会社を潰す場合も「会社の解散」という手続が必要です。しかし、これも大変な作業です。新たに会社を設立するのとは違って、活動している会社には多くの権利義務や資産負債が存在しているからです。また、最近急増しているのは「個人成り」です。手続が面倒な会社形態から、「身軽な」個人事業者への変更を熱望している会社経営者も珍しくはありません。個人成りは当然可能な手続ですが、あくまでも廃業の一環であるとお考えください。