小さな会社向けです。

会社設立ワンポイントアドバイス5/6

 

 

役所への対応

 

必ず青色申告を選択してください

 

各種の特典がありますので、必ず青色申告を選択してください。特典の中で特にメリットがあるのは、欠損金額(赤字)の7年間の繰越控除でしょう。法人税の課税は、一事業年度の所得(概ね利益)に対してなされます。当然、赤字の場合は課税されませんが、青色申告を選択しておくと赤字=欠損金額を翌年度の利益から控除することが認められます。つまり、初年度が100万円の赤字となった場合、その年度に法人税が課税されないだけではなく、翌年度に100万円利益を計上した場合、課税される所得はゼロ(100万円−繰越赤字の100万円)となるわけです。

ほとんどの会社が青色申告しています。青色申告は常識とお考えください。なお、一部に、「青色申告は記帳が厳格で税務署に会社の内容が筒抜けになるので、記帳が粗雑でも許される白色申告の方がよい」という考えがありますが、とんでもない偏見です。会社でありながら白色申告をしているのは、当初は青色申告をしていたけれども、税務調査で申告内容や記帳状況に重大な不備を指摘され青色申告を取り消された会社のみです。

青色申告の申請は、設立の日以後3か月を経過した日の前日まで(最初の事業年度がそれまでに終了する場合は最初の事業年度終了の日まで)に所轄の税務署に所定の用紙を提出することにより行います。

 

資本金1000万円以上は初年度から消費税の課税事業者

 

消費税の課税事業者(税務署に対して納税義務のある事業者)は、前々事業年度の課税売上高が1000万円を超える事業者です。新設法人の場合は前々事業年度が存在しませんので、消費税の課税事業者とはなりません。ただし、これは、資本金1000万円未満の法人に限ってのことです。

 

源泉所得税は納期特例を

 

会社の場合、支払った給与(役員、従業員、パートなど)や報酬料金(弁護士、公認会計士、司法書士の報酬など)から、源泉所得税を徴収する義務があります。徴収した源泉所得税は翌月10日までに納付しなければなりません。しかし、特定の源泉所得税(給与と特定の報酬料金)については、半年分をまとめて納付すればよいとする特例があります(1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月10日まで)。

毎月の納付はつい忘れがちになりますので納期特例をお勧めいたします(納付を忘れると加算税や延滞税というペナルティがあります)。

 

税務関連役所への「設立届の控」は大切に→大変重要です!!

 

設立届は必ず2部作成してください(1部作成し、もう1部はコピーすればよいです)。原本は「提出用」、コピーは「控用」とします(「控」と朱記しておきます)。そして、提出の際は提出用だけでなく控用も持参し、控用に各役所の「受付印」をもらってください。役所も提出の際に「控はないのですか?」とたずねるはずです。

この「設立届の控」は、税務関連以外の各役所(年金事務所、許認可先の役所など)や金融機関に提示あるいはコピーの提出が求められることがあります。相手先によっては、「設立届の控」がない場合には手続をしてくれないこともあります。「たかが紙切れ一枚」と甘く考えてはいけません。また、税務関連役所は「控の再発行」を容易にはしてくれません。

 

税務署への届けを忘れた場合(故意にしない場合)

 

「一年目で利益が出ないので」「とりあえず登記がすんだので活動はできるから」「税務署に会社の存在を知らせたくない(課税されたくない)」と、税務署への届けを先延ばしすることがあります。登記簿は誰でも閲覧できますので、当然、税務署も会社設立の事実を把握しています。設立登記した以上もう税務署から逃げることはできませんので、設立後は直ちに税務関連役所へ報告してください。

 

税務関連役所への諸届けの提出期限

 

届けによってまちまちです。「○○から何日以内」「△△の前日まで」「□□の後、遅滞なく」など多種多様です。提出漏れや提出遅れは、せっかくの税務上の特典を受けられないことになります。くれぐれもご注意ください。

 

税務署と都道府県税事務所の違い(市町村役所も忘れずに!)

 

両役所とも名称に「税」という文字、さらには多くの場合に管轄地域を連想させる地名が入っているので、そこへ行けば税に関するあらゆる手続ができるように考えてしまいがちです。例えば、大阪市北区には「北税務署」と「大阪府なにわ北府税事務所」があります。税務署は「国税」に関する役所、都道府県税事務所は「都道府県税」に関する役所です。何が国税で、何が都道府県税であるかはさておいて、「課税の対象」によっては両方の役所で手続が必要となる場合があります。これが両者の違いを一層わかりにくくしています。

 

会社には、その利益に法人税(国税)も道府県民税・事業税・地方法人特別税(いずれも都道府県税)が課税されます。ですから、会社は1事業年度が終了し利益が確定したならば、税務署にも都道府県税事務所にも税務申告をするとともに税金の納付をしなければならないのです。会社を設立した当初の事業年度は、事業年度終了後の税務申告に先立ち、設立届を税務署と都道府県税事務所に提出しなければなりません。

 

市町村役所も忘れてはいけません。税に関して市町村役所を忘れがちですが、市町村へも税務申告と設立届の提出が必要です。

 

税に関する窓口は上記のとおり3つ(税務署、都道府県税事務所、市町村役所)に分かれています。慣れていない場合にはどの役所の管轄であるかを間違えてしまうことも珍しくはありません。税に関する手続を役所へ行ってする場合には、事前に役所に電話で管轄を確認し無駄足を踏まないようにしましょう。

 

会計事務所(公認会計士や税理士)に依頼する

 

会社を設立する場合、必ず税務や会計(関係者への計数の提示)の問題が伴います。「決算になってから」とか「税務署や金融機関ともめたときは」では手遅れとなる場合がほとんどです。「会社の設立が具体化したとき」から、会計事務所と関係を持っておく必要があります。

 

一切の設立手続を引き受ける「業者」?

 

会社設立に関して依頼が必要となる専門家は次のとおりです。

 

(1)司法書士(法務局)

(2)公認会計士、税理士(税務署などの税務関連役所)

(3)社会保険労務士(年金事務所、労働基準監督署)

 

「どこかにまとめて頼みたい」「まとめて頼めば報酬も安くなる」はごもっともです。しかし、次の点に注意する必要があります。

 わが国の役所に提出する書類の多くに書類作成を代行した者の氏名などを記入する欄があり、そこに氏名などを記入できるのは「特定の資格」を持って業務を行う者に限られていることが通常です。

たとえば、会計事務所(公認会計士・税理士)に登記を依頼しても、対法務局との関係において会計事務所は表面に出ることはできません。手続が順調な場合はよいのですが、何か不備があった場合は大変です。「会計事務所に頼んだので私は知らない。会計事務所に聞いてくれ」が通用しないからです。

 

 一部の業者が、「一切の設立手続」を引き受けていることがあります(多くの場合は会計事務所あるいはその関連業者のようですが、一切公的資格のない業者もいるようです)。

しかし、「役所との対応をしない(書類を作成し提出するだけ)」「密かに他の業者に外注し利益を得ている」「後日の役所との対応に『高額な別途料金』を請求する」などのトラブルもあるようです。注意が必要ではないでしょうか。

 

会社設立後に登記が必要となる場合

 

会社設立後も様々な理由で登記が必要となることがあります。しかし、「会社の設立もすんだので」「費用がもったいない」などと、登記を怠ることがあります。設立後に登記が必要な主な事項は次のとおりです。

 

(1)役員の変更

任期が来れば、たとえ再選(同一人が再度就任すること)の場合であっても登記が必要です。これを怠っていると罰金を支払わなければなりません。

 

(2)本店の移転

これを行わない限り、形式的(法的)な本店は登記簿記載の所在地となります。

 

(3)商号の変更

 登記されていない商号の法的保護は極めて弱いだけでなく、同一商号を用いている者から「差止め」の請求をされてしまうことがあります。

 

(4)会社の目的変更

会社の目的は定款記載の目的に制限されませんが、相手先によっては定款記載の目的にこだわることは前述のとおりです。

 

設立後、あちこちから登記簿謄本の提出を要求されることがあります。当然、提出先は最新かつ正確な登記の有無を確認します。登記すべき事項を登記していないならば、急いで登記をしなければなりません。その際、周囲(法務局や司法書士)は「一秒でも早く」「少しでも安く」についてきてはくれません。皮肉なことに登記簿謄本が必要な場合のほとんどが、目先の運転資金調達のための融資申込み、既存取引先を失った穴埋めとしての新規取引先の開拓など、一刻一秒を争う窮地です。

 

 

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