税務関連役所


2018/10/31

税務関連役所(税務署、都道府県、市町村)

「法務局」「年金事務所」「ハローワーク」、会社の設立時と設立後に必ず関わらなければならない役所は「あと3つ」あります。それは、いずれも税務関連の役所です。

税務関連の役所への届けや申告ができていないからといって、会社が設立できないとか、設立後の営業活動ができないというわけではありません。しかし、だからといって「待ちの姿勢」でいると恐ろしい結果を招きます。

会社には法人税や消費税などを申告し納税する義務がありますが、その申告納税手続をする役所は下記のとおりです。

【国税】税務署(特定の地域を管轄)→法人税、消費税、源泉所得税
税務署は特定の地域を管轄します。その地域に「登記上の本店」がある会社は、その地域を管轄する税務署で申告手続をしなければなりません。国税庁のサイトから各税務署の所在地とその管轄地域を調べることができます。

【地方税】都道府県税事務所(特定の地域を管轄)→事業税と都道府県民税
都道府県税事務所は都道府県内の特定の地域を管轄します。その地域に「事業所(登記の有無は問わない)」がある会社は、その地域を管轄する都道府県税事務所で申告手続をしなければなりません。都道府県のサイトから、都道府県税事務所の所在地とその管轄地域を調べることができます。都道府県税事務所は、名称に「税」と付くことから税務署と間違う人がいますが、ここでは国税(法人税、消費税、源泉所得税)の手続はできません。

【地方税】市役所・町村役場→市町村民税
一般人にもなじみのある役所です。市町村内に「事業所(登記の有無は問わない)」がある会社は、そこの市役所・町村役場で申告手続をしなければなりません。担当は税務部とか税務課などと称する部署です。

会社を設立したならば、すみやかに「登記上の本店」あるいは「事業所(登記の有無は問わない)」が所在する地域を管轄する税務関連役所を調べ、各役所で設立届けの提出など、所定の手続をしなければなりません。この手続は自らしなければなりません。それが義務です。そして、事業年度が終了したならば、それぞれに申告書を提出し税金を納付しなければなりません。源泉徴収義務および特別徴収義務(給与などから税金を天引きする義務)がある場合には、これにより徴収した(天引きした)税金の納付も必要です。

個人事業者の場合には申告書の提出先は税務署だけですが、会社は上記の3ヶ所です。個人で事業を営んでいて会社を設立した(法人成りした)人は注意が必要です。個人のように税務署が都道府県や市町村に連絡をしてくれるのではありません。

役所からの連絡(待っていてはいけません!)

会社を設立し、各税務関連役所に設立届けなどを提出しておけば、最初の事業年度が終了して1か月ほどすれば各税務関連役所から申告書の用紙と納付書が送られてきます。

会社の設立は法務局という役所で設立登記をしなければならないことから、いずれは税務関連役所から会社を設立したことを把握されます。そして、設立届けなどの必要書類を提出していない場合には提出するように促されます。会社を設立したならば、税務関連役所からは逃げられないということです。

個人事業者の場合には会社のような登記制度がないことから、場合によっては事業を開始して数年を経過しても税務関連役所からその存在を把握されないこともあります。しかし、会社の場合には設立後数ヶ月以内にその存在を把握されてしまいます。

会社を設立したならば、すみやかに必要な手続をしなければなりません。役所からの連絡を待っていてはいけません。役所からの連絡があるころには、すでに期限が過ぎていて何らかのペナルティが課されるとか、不利な扱いになることがほとんどです。

申告書は所定の様式がある(役所は手取り足取り申告書の書き方を教えてくれない)

昨今の行政手続は「誰にでも、簡単にできる」という方向に向かっています。また、あらゆる役所は「丁重な対応」と「わかりやすい説明」を求められています。

しかし、会社の申告書は「この例外」です。最初の事業年度が終わり、税務関連役所から郵送されてきた申告書用紙とその説明書を見て愕然とする人がほとんどです。会社の設立、社会保険への加入までは何とかクリアーしてきた人が初めて挫折感を味わいます。さらに、会社を設立したことを後悔する人もいます。「個人事業者のほうがよかったのか(個人事業者に戻りたい)・・・」、と真剣に考えるようになります。

税務関連役所に申告書の書き方をたずねても、態度こそ丁重ですが、「会社の義務ですので」との返事しかありません。そこで、多くの人が会計事務所(税理士)への依頼を検討するのです。しかし、適当な会計事務所が見つからない場合には、悶々としたまま時間だけが経過し、やらなければならない作業や手続が未着手のまま積み上がっていくのです。

納付は所定の納付書でする

国税、地方税とも、税金の納付は税務関連役所が用意している所定の納付書で行います。納付は税務関連役所あるいは金融機関でできます。納付の期限は申告書の提出期限と同じです。納付が遅れた場合には、延滞税というペナルティが遅れた日数に応じて課税されます。

申告と納付をしなかった場合

期限までに申告や納付をしなかった場合には、税務関連役所から督促があります。その督促に従い、できるだけ早く申告と納付をし、さらには無申告加算税や延滞税などのペナルティを支払わなければなりません。

期限厳守を徹底!(会社の命運を左右する期限もある)

申告にせよ納付にせよ、期限厳守を徹底しなければなりません。期限に遅れてもたいしたペナルティがない場合もあります。しかし、期限遅れには会社の命運を左右するようなものもあります。どのような手続であれ、税務に関しては「期限厳守!」が絶対的な原則であると肝に銘じておくことです。

相談や質問(まずは電話を)

各税務関連役所では相談や質問を受け付けています。「相談コーナー」を設置している役所もありますが、まずは電話をしてみることです。匿名でも大丈夫です。

当然ですが、違法なことを相談や質問すると、毅然とした態度で「NO!」といってきます。ですから、「NO!」といわれたならば、それをしないことです。

国税庁のホームページは情報が満載

昨今では、ほとんどの役所がホームページを開設し情報発信に努めていますが、税務関連役所も例外でありません。特に国税庁のサイトは情報量と質がすばらしいです。国税に関する情報はすべて入手できるといっても過言ではありません。都道府県と市町村もホームページを開設していますが、情報量や発信方法にはそれぞれでばらつきがあります。

税務関連役所の発信する情報は杓子定規で堅苦しく、おもしろくはありません。でも、それが税というものなのです。税の背後には税法という法律があるので、それに忠実に表現しなければならないのです。安易に「民間」の発信する「おもしろおかしい情報」「お得な情報」に流れてはいけません。まずは、税務関連役所の発信する情報と「格闘」してください。

申告書の提出(提出時は形式的なチェックしかされない)

申告書は原則として税務関連役所に持参して提出します。申告書の提出に関してよくある質問は、「提出の際にどのような審査があるのか?」です。提出の際は、提出すべき書類がそろっていること、社名と所在地が記載されていること(管轄の役所を間違っていないか)、代表者の署名押印があることなど、1分程度で済む形式的なチェックしかされません。詳細な検討は後日です。ですから、申告書が受け付けられた方といって申告内容が認められたというわけではありません。

申告書は郵送で提出することもできます。郵送で提出する場合は、郵便局の消印の日付が提出日となります。

申告書はネットを使って電子申告で提出することもできます。これについては、下記の「電子申告」を参照ください。

電子申告

現在、国税・地方税とも電子申告の環境が整備され、会社の税務申告については電子申告での提出が主流になっています。会社の税務申告の大部分に税理士が関与しているからです。電子申告をするには、申告する側がパソコンとその周辺機器、ソフトウェアに関して一定の環境を整えなければなりません。この環境を税理士以外の者が整えるのは困難なことから、税理士が関与していない場合は従来からの紙の申告書によっていることが多いです。(ネットショップやネット銀行のようには簡単で便利ではありません。)

届出と申請

税務関連役所に対しては、納税が伴う申告のほか、直接は納税が生じない届出や申請をする場合があります。届出や申請には「義務」もあれば「選択」もあります。義務は当然果たさなければなりません。選択については有利不利が伴いこともありますので、自社に関連する届出や申請については情報収集をしておかなければなりません。

税務調査

「自主的」な申告を前提とする会社の税務申告では、国家権力に基づく税務調査という強制的な事後のチェックが必要となります。この税務調査については、「税務調査」をご覧ください。

税理士

国税、地方税ともに、税務申告に関する手続を代行できるのは税理士だけです。税務関連役所に提出する申告書や届出書などには「税理士署名・押印欄」があります。ここに署名押印ができるのは税理士のみで、税務関連役所も署名押印した税理士のみを代理人として扱います。税理士資格のない者に申告を依頼したとしても税務関連役所に対する代理はできないということです(無資格者が申告書を書くこと自体が違法です)。

税務申告を税理士に依頼せずに納税者自身で行ってもかまいませんが、自身で行う場合には相当の時間と労力が必要で、場合によっては本業の利益を犠牲にしなければならないこともあります。経理担当者を雇用して税務申告書を作成させるということも可能ですが、税務申告書を作成できる人材はあまりいないのが実情です(後の税務調査でのトラブルを恐れて税務申告書の作成を拒否する人もいます)。