決算書とは?


2017/12/12

決算書とは?

決算書は以下の表から構成されます。

◆貸借対照表
◆損益計算書
◆販売費及び一般管理費明細書(損益計算書の一部である場合もある)
◆製造原価報告書(製造業の場合のみで損益計算書の一部である場合もある)
◆株主資本等変動計算書
◆個別注記表

しかし、これだけで会社の内容を理解するには不十分ですので、決算書の勘定科目ごとの詳細(預金ならば銀行別・預金種類別、売掛金なら得意先別)を記載した「勘定科目明細書(内訳書)」も作成します。

貸借対照表と損益計算書

決算書といえば貸借対照表と損益計算書です。この2つが決算書の中心で、これなくして決算書は成り立ちません。

◆損益計算書は業績

まずは損益計算書です。損益計算書は一事業年度の「経営成績」を表します。「業績」です。売上や利益を記載したのが損益計算書です。利益は「収益−費用」として計算します。ただし、すべての収益と費用を対比させるのではなく、段階的に収益と費用を対比させながら利益を算出します。売上高(収益)−売上原価(費用)=売上総利益、売上総利益−販売費及び一般管理費(費用)=営業利益、営業利益+営業外収益(収益)−営業外費用(費用)=経常利益、経常利益+特別利益(収益)−特別損失(費用)=当期利益、当期利益−法人税等(費用)=税引後当期利益といった具合です。

◆貸借対照表は財産

貸借対照表はとっつきにくいです。事業年度末の「財政状態」を表すと説明されますが、こんな説明でわかるはずがありません。事業年度末の資産と負債の状況、資本金を記載した書類です。「資産=負債+純資産」、「資産−負債=純資産」、「純資産=資本金+創業来の累積利益」、このように考えてゆくと少しずつわかってきます。

財産にはプラス(資産)とマイナス(負債)があり、それを差し引いたのが正味の財産である純資産です。

貸借対照表と損益計算書の関係(複式簿記で同時に作成)

貸借対照表と損益計算書は何の関係もないように思えるかもしれませんが、実は密接に関係しています。

現在、わが国だけでなく世界中の会社の多くが複式簿記という方法で、日々の取引(主に現金と預金の動き)を帳簿に記録し、結果として決算書を作成しています。複式簿記では、取引を「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産(資本)」という要素に分けて記録します。取引は必ずこれらの組み合わせになります。「収益」「費用」は損益計算書の構成項目、「資産」「負債」「純資産(資本)」は貸借対照表の構成項目ですが、取引は損益計算書と貸借対照表の項目が組み合わさることもあります。現金(資産)で販売する(収益)、現金(資産)で仕入れる(費用)などがそうです。

複式簿記では貸借対照表と損益計算書が、相互に関連しながら作成されるのです。会計ソフトに仕訳を入力すれば、自動的に貸借対照表と損益計算書が作成されます。

貸借対照表と損益計算書の利益は一致する

貸借対照表の純資産(資産−負債)は次のように分かれています(最も単純なケース)。

○資本金→株主から出資された金額
○繰越利益剰余金→前期までの累積利益(資本金が増殖した部分)
○当期利益

資本金と繰越利益剰余金は前期末の貸借対照表と同じ金額です。これは前期末の純資産です。最後の当期利益は損益計算書の利益に一致します(会計ソフトに仕訳を入力すれば必ず一致します)。

利益の計算方法は損益計算書の「収益−費用」という方法以外に、期末の純資産から期首(前期末)の純資産=を差し引く方法でも計算することができます。

期首(前期末)の純資産=資本金+繰越利益剰余金

資本金+繰越利益剰余金+当期利益=期首(前期末)の純資産+当期利益=期末の純資産

期末の純資産−期首(前期末)の純資産=当期利益

ということです。

複式簿記では、損益計算書の構成要素である収益と費用、貸借対照表の構成要素である資産、負債、純資産(資本)の個々の増減を記録していきます。その結果、作成される損益計算書と貸借対照表とにおいては、両者の利益が一致するという上記の関係が成り立ちます。

売上も利益も多いほうが良い?

売上と利益は多いほうが好ましいです。ただし、率や内容も大切です。「売上1000で利益20」よりも「売上500で利益40」のほうが効率的に稼いでいます。「売上(収益)500+株の売却益(収益)500」よりも「売上1000」のほうがより本業で稼いでいます。(いずれも、同一企業であることを前提とします。)

資産は多く負債は少なく?

資産は多いほうが会社の規模は大きいのかもしれませんが、負債とのバランスが大切です。「資産1000の負債900」と「資産600の負債300」とでは、前者には不安を感じます。負債は返さなければならず、負債を返すと資産が減ってしまいます。必要な資産まで減ってしまうと事業が継続できなくなります。

決算対策

「決算対策」という言葉があります。この言葉は、あたかも決算数値が政策的に自社に有利なように作成されるかのような印象を与えるかもしれません。しかし、決算対策はルール無用に自社にとって都合のよい処理をするという意味ではありません。複数の方法が認められる場合には有利な方法を選択する、決算数値が向上するような行動を事業年度末までに実行することなどが決算対策です。

経営と会計(決算書)

会計には様々な意味があります。帳簿の作成、請求、支払い、預金や金銭の管理、決算報告、予算作成など様々です。ここでの「会計」は、決算書を作成するための「理論」「法律」「知識」「事務処理」のことです。

昨今、会計に興味を持ち、会計を学んで決算書を理解できるようになり、それを経営に活かしたいと考える経営者が増えています。大変よいことだと思います。2000年代に入ってから、銀行の不良債権問題、相次ぐ上場企業の破綻、大規模なM&Aなど、会計に深く関連した出来事が続き、今や会計を知らずして経営ができないという状況になっています。

会計は法律です(根拠は会社法)。宿命的に受け入れなければなりません。決算書は、企業活動の結果を事実どおり、明瞭に表示しなければなりません。営業用のパンフレットやサイトのように都合のよいことを書き並べればよいのではありません。経営者が自社の決算内容について「ある種の願望」を持つのは当然でしょうが、その前に企業活動の結果が、事実としてどのように決算書に反映されるかを知っておかなければなりません。

会計を学ぶ(簿記と会計理論)

会計を学ぶ一番手っ取り早い方法は書物を読むことです。書店には会計関係の書物が多数あります。お奨めできないのは、「誰でもわかる」「簡単」などが表題にある書物です。その多くが結果的に誇大かつ不誠実な表現です。また、受験用(簿記検定や公認会計士試験など)の書物もお薦めできません。試験勉強はそのままでは実務に役立たないからです。

お薦めは一般ビジネスマン向けの入門書です。会計を習得するには記録技術としての「複式簿記」と、理論としての「会計学(財務諸表論)」の双方を学ぶ必要があります。両者の書物を一冊ずつ購入し、どちらか片方から、あるいは並行して読んでください。

なお、書物の著者は学者(大学教授)と実務家(公認会計士、経理業務経験者など)に大別されますが、前者は体系的(理念的)で後者は実務的であることが通常で一長一短です。できれば両方を読むことが望まれます。また、会計においては結論に至るまでのプロセスの説明が十人十色です。そんなことから著者との相性が大切であるのも否定できません。一通り読んでしっくりこない場合は、他の書物へ鞍替えすることも場合によっては必要です。

最近では、「連結決算」「特別利益・損失」「債務超過」「のれん」「減損」などの会計用語も一般化してきました。しかし、これらは入門段階ではあまり重要でありません。まずは、「仕訳」「勘定科目」「試算表」「貸借対照表」「損益計算書」の意味や位置づけを学んでください。なお、学んだことと自社との関連の追求や願望の実現は当分お預けです。会計を本格的に学んだ人でも実務に慣れる(決算や申告ができ第三者にも説明ができる)には最低3年は要します。あせりは禁物です。

とりあえず書物の内容が理解できるようになったならば、次は経理担当者や会計事務所に質問をしてください。まったくの入門から1年もたてば必ず成果が出てきます。特に、次のことが漠然と分かってくれば成果は十分ですので、もうそれ以上は学ぶ必要はありません。本業に注力してください。ただし、今後も自社の試算表や決算書を見ること、経理担当者や会計事務所とのコミュニケーションは欠かさないでください。

◆会計は会社の状態を良きも悪しきもありのまま表現する技術と理論である
◆決算書を通して外部第三者は自社をどう評価するか
◆スムーズな事務処理(コミュニケーション)が決算作業の精度やスピードを左右する
◆決算書を不明瞭にしてしまう原因の多くが経営者の独善や一部社員の無軌道な行動である
◆会計は万能ではない(会計だけで会社は繁栄しない)

決算へのこだわり

経営者であるならば決算に「こだわり」を持ってもらいたいです。売上を伸ばす、利益率を高める、資産を増やす、負債を圧縮する、自己資本(純資産)を増やすなど、目標とする数値を定めてください。ただし、数値のみを追い求めるのではなく、数値を達成した後のビジョンも描いてください。

勘定科目

決算書を理解するには、損益計算書と貸借対照表のそれぞれの仕組みと両者の関係だけでなく勘定科目(かんじょうかもく)の意味を知らなければなりません。勘定科目は簿記(ぼき)の分類集計の単位です。簿記では個々の取引(主に入出金)を勘定科目に分類して集計します。経理(試算表や決算書作成)の作業というのは、日々の入出金を中心とした取引を、この勘定科目に分類し集計するという非常に単調な作業の積み重ねです。

勘定科目は貸借対照表勘定科目と損益計算書勘定科目に分かれます。「資産」「負債」「純資産(資本)」に関する勘定科目が貸借対照表勘定科目です。「収益」「費用」に関する勘定科目が損益計算書勘定科目です。勘定科目は一定のルールで配列されます。貸借対照表勘定科目だけを貸借対照表に、損益計算書勘定科目を損益計算書に配列します。貸借対照表は「資産=負債+純資産(資本)」として会社の財政状態を、損益計算書は「収益−費用=利益」として会社の経営成績を表します。

勘定科目については「勘定科目の一覧と解説」をご覧ください。