決算書とは?


2018/10/31

決算書とは?

決算書は以下の表から構成されます。

◆貸借対照表
◆損益計算書
◆販売費及び一般管理費明細書(損益計算書の一部である場合もある)
◆製造原価報告書(製造業の場合のみで損益計算書の一部である場合もある)
◆株主資本等変動計算書
◆個別注記表

しかし、これだけで会社の内容を理解するには不十分ですので、決算書の勘定科目ごとの詳細(預金ならば銀行別・預金種類別、売掛金なら得意先別)を記載した「勘定科目明細書(内訳書)」も作成します。

貸借対照表と損益計算書

決算書といえば貸借対照表と損益計算書です。この2つが決算書の中心で、これなくして決算書は成り立ちません。

◆損益計算書は「業績」

まずは損益計算書です。損益計算書は一事業年度の「経営成績」を表します。「業績」です。売上や利益を記載したのが損益計算書です。利益は「収益−費用」として計算します。ただし、すべての収益と費用を合計して対比させるのではなく、段階的に収益と費用を対比させながら利益を算出します。売上高(収益)−売上原価(費用)=売上総利益、売上総利益−販売費及び一般管理費(費用)=営業利益、営業利益+営業外収益(収益)−営業外費用(費用)=経常利益、経常利益+特別利益(収益)−特別損失(費用)=当期利益、当期利益−法人税等(費用)=税引後当期利益といった具合です。

◆貸借対照表は「財産」

貸借対照表はとっつきにくいです。事業年度末の「財政状態」を表すと説明されますが、こんな説明でわかるはずがありません。事業年度末の資産と負債の状況、資本金を記載した書類です。「資産=負債+純資産」「資産−負債=純資産」「純資産=資本金+創業来の累積利益」、このように考えてゆくと少しずつわかってきます。

財産にはプラス(資産)とマイナス(負債)があり、それを差し引いたのが正味の財産である純資産です。

貸借対照表と損益計算書の関係(複式簿記で同時に作成)

貸借対照表と損益計算書は何の関係もないように思えるかもしれませんが、実は密接に関係しています。

現在、わが国だけでなく世界中の会社の多くが複式簿記という方法で、日々の取引(主に現金と預金の動き)を帳簿に記録し、結果として決算書を作成しています。複式簿記では、取引を「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産(資本)」という要素に分けて記録します。取引は必ずこれらの組み合わせになります。「収益」「費用」は損益計算書の構成項目、「資産」「負債」「純資産(資本)」は貸借対照表の構成項目ですが、取引は損益計算書と貸借対照表の項目が組み合わさることもあります。現金(資産)で販売する(収益)、現金(資産)で仕入れる(費用)などがそうです。

複式簿記では貸借対照表と損益計算書が、相互に関連しながら作成されるのです。会計ソフトに仕訳を入力すれば、自動的に貸借対照表と損益計算書が作成されます。

貸借対照表と損益計算書の利益は一致する

貸借対照表の純資産(資産−負債)は次のように分かれています(最も単純なケース)。

○資本金→株主から出資された金額
○繰越利益剰余金→前期までの累積利益(資本金が増殖した部分)
○当期利益(決算書では繰越利益剰余金に含めて表示する)

資本金と繰越利益剰余金は前期末の貸借対照表と同じ金額です(増資や減資をしていない場合)。これは前期末の純資産です。最後の当期利益は損益計算書の利益に一致します(会計ソフトに仕訳を入力すれば必ず一致します)。

利益の計算方法は損益計算書の「収益−費用」という方法以外に、期末の純資産から期首(前期末)の純資産=を差し引く方法でも計算することができます。

期首(前期末)の純資産=資本金+繰越利益剰余金

資本金+繰越利益剰余金+当期利益=期首(前期末)の純資産+当期利益=期末の純資産

期末の純資産−期首(前期末)の純資産=当期利益

ということです。

複式簿記では、損益計算書の構成要素である収益と費用、貸借対照表の構成要素である資産、負債、純資産(資本)の個々の増減を記録していきます。その結果、作成される損益計算書と貸借対照表とにおいては、両者の利益が一致するという上記の関係が成り立ちます。

株主資本等変動計算書(純資産の変動)

純資産の変動を示しているのが決算書の一部である株主資本等変動計算書です。期首の純資産(資本金と利益剰余金など)がどのように変動して期末の純資産の金額になったかを明らかにします。純資産を変動させる第一の要素は利益ですが、資本金を増減させる増資や減資など様々な変動要素があります。

勘定科目

決算書を理解するには、損益計算書と貸借対照表のそれぞれの仕組みと両者の関係だけでなく勘定科目(かんじょうかもく)の意味を知らなければなりません。勘定科目は簿記(ぼき)の分類集計の単位です。簿記では個々の取引(主に入出金)を勘定科目に分類して集計します。経理(試算表や決算書作成)の作業というのは、日々の入出金を中心とした取引を、この勘定科目に分類し集計するという非常に単調な作業の積み重ねです。

勘定科目は貸借対照表勘定科目と損益計算書勘定科目に分かれます。「資産」「負債」「純資産(資本)」に関する勘定科目が貸借対照表勘定科目です。「収益」「費用」に関する勘定科目が損益計算書勘定科目です。勘定科目は一定のルールで配列されます。貸借対照表勘定科目だけを貸借対照表に、損益計算書勘定科目を損益計算書に配列します。貸借対照表は「資産=負債+純資産(資本)」として会社の財政状態を、損益計算書は「収益−費用=利益」として会社の経営成績を表します。

売上も利益も多いほうが良い?

売上と利益は多いほうが好ましいです。ただし、率や内容も大切です。「売上1000で利益20」よりも「売上500で利益40」のほうが効率的に稼いでいます。「売上(収益)500+株の売却益(収益)500」よりも「売上1000」のほうがより本業で稼いでいます。(いずれも、同一企業であることを前提とします。)

資産は多く負債は少なく?

資産は多いほうが会社の規模は大きいのかもしれませんが、負債とのバランスが大切です。「資産1000の負債900」と「資産600の負債300」とでは、前者には不安を感じます。負債は返さなければならず、負債を返すと資産が減ってしまいます。必要な資産まで減ってしまうと事業が継続できなくなります。

決算対策

「決算対策」という言葉があります。この言葉は、あたかも決算数値が自社に有利なように算出されるかのような印象を与えるかもしれません。しかし、決算対策はルール無用に自社にとって都合のよい処理をするという意味ではありません。複数の方法が認められる場合には有利な方法を選択する、決算数値が向上するような行動や意思決定を事業年度末までに実行することなどが決算対策です。

決算書を「きれい」にする

「決算書をきれいにする(きれいにしたい)」ということがよくいわれますが、決算書が「きれい」というのは、業績の良し悪しではなく、決算書が明瞭でわかりやすいということです。

■決算書の様式や勘定科目の名称と配列が適切である

決算書の様式は会社法の改正によって変更されます。「旧様式」で作成した決算書は、その時代の基準ではどんなに正確であったとしても認められません。

使われている勘定科目の名称が一般的なものであれば決算書はわかりやすいです。勘定科目の配列には一定のルールがありますので、そのルールに従った配列でなければなりません。貸借対照表の資産と負債は流動項目から順(換金しやすい順)に配列します。損益計算書は、段階的利益計算(売上総利益、営業利益、経常利益・・・)に応じて勘定科目の配列が決まります。

■意味不明な勘定科目がない

その会社の事業内容や資産の保有状況などからして「計上されるはずがない」勘定科目があると、決算書の読者は疑問を感じます。例えば、賃貸ビルで営業している会社の貸借対照表に「建物」が計上されている、卸売業や小売業で「材料や仕掛品」など製造業関連の勘定科目が計上されている場合です。

■異常な金額の勘定科目がない

「面倒だから」「苦し紛れに」特定の勘定科目を多発・乱用することがあります。仮払金に仮受金、貸付金に借入金がその典型です。背後には、事実関係を究明できない(処理に必要な資料がない)、事実関係を明らかにしたくないという事情があります。

★事務手数を惜しんではいけない
「きれいな決算書」を作成するには、仕訳の基資料を確実に入手し、事実認定と会計的判断を正確にしたうえで仕訳をすることがスタートですが、これには相応の労力とコストが必要です。小手先のテクニックだけで決算書はきれいにならないのです。

★自社の弱点を公表し克服するという経営者の真摯な姿勢
きれいな決算書を作成すると自社の弱点や不都合も明らかになってしまいます。しかし、これから逃げてはいけないのです。公表しなければならない弱点や不都合は隠さず、批判を浴びて改善するという真摯な姿勢が経営者には必要なのです。きれいな決算書は「伊達」じゃありませんよ!