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築山公認会計士事務所

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≪会社制度が変わります−雑談−≫2005年10月29日(土)

 

改正会社法は起業を促進するか?

 

そんなことはないと思います。事業を開始し維持発展させてゆくには、顧客と顧客の要望に応えられる技術・ノウハウ、そしてなによりも資金が必要不可欠です。改正会社法は、事業を行うための権利義務の主体である会社という「器」を、改正前よりも大幅に容易に設立・維持・運営できるように改正したにすぎません。顧客、技術・ノウハウ、資金が備わっていない「器」を手に入れたところでどうにもなりません。

 

会社の信用は自身で築かなければならない!

 

従来の会社法には、形式的で無意味な規定が数多くありました。しかし、形式的で無意味な規定を守れるということが、ステイタスや信用につながっていたともいえます。今後は、資本金や役員数などを必要に応じて決めることができます。「法律に従って会社を設立し、法律に従って運営している」だけではステイタスにも信用にもなりません。「やはり、あそこは会社組織にしているだけのことはある」と周囲に印象を与える会社運営をしてゆく必要があると思います。

 

会社(法人)=組織(人の集まり)という固定観念の打破!

 

「実際は個人商店のくせに」などと小規模な会社を蔑む風潮があります。しかし、会社は事業における権利義務の主体であって、その規模の大小は無関係です。事業主の私生活とは切り離された会社で事業を行うことに様々な合理性があるのではないでしょうか。

 

 

会社制度が変わります−8−資本金とは?(その3)≫2005年9月29日(木)

 

改正を機に株主に資本金を返そう!?

 

創業時に「(最低資本金をクリアーするために)後○○万円必要なんです。会社が軌道に乗ったら必ずお返します」などといって、強引に最低資本金相当額をかき集め、いまだに「けじめ」をつけていない方もおられると思います。

そのような場合には、「減資」することができます。減資とは資本金を減額することであり、株主へ減資する資本金相当額を会社の資金から払い戻しします。(注)しかし、減資を行うには下記に留意しておく必要があります。

●減資に充当する資金を保有しているかどうか?

●どの株主の分を減資するのか?

●一株当りの減資金額をいくらとするのか?

間違っても、「返す金がないから、あのコピー機とパソコンをやる!」などといった方法は取らないことです。

 

(注)減資には払戻しをしない減資もありますが、ここでは払戻しをする減資についてのみ説明しております。なお、減資したならばその旨を登記しなければなりません(登記しなければ減資とは認められません)。

 

 

会社制度が変わります−7−資本金とは?(その2)≫2005年9月29日(木)

 

これから会社を設立する場合には、資本金はできるだけ多くすべきか?

 

必要な額にしてください。このようにできることが、改正会社法の素晴らしい点であると思います。

 

経済的・経営的観点からすれば、資本金は次のような使途となる性質ものであります。

(1)事業としての最低限の機能と体裁を備えるため資金

事務所の敷金・保証金、机・椅子の購入代金などがこれに相当します。

(2)創業当初の運転資金

事業は仕入れ(出金)が先行してから売上げ(入金)があることが通常です。当初の仕入代金は資本金から賄う必要があります。

(3)不時の蓄え

事業に浮き沈みは付き物です。不時に備えて一定の蓄えをしておく必要があります。

 

上記(1)〜(3)の必要額は、それぞれの事情によって異なってくると思います。しかし、改正前は最低資本金制度(株式会社1000万円、有限会社300万円)が存在し、必要もない資金を用意しなければなりませんでした。

 

《資本金は返さなくてよい!?》

負債である借入金(金融機関からの融資など)は約定の期限までに返済しなければなりません。一方、資本金は返済を前提としない株主からの資金提供です。そんなことから、負債を他人資本と呼ぶのに対して、資本金は自己資本と呼ぶことが通常です。しかし、無理して出資を受けた資本金は株主から「返して欲しい!」と要求されることがあります。

 

 

会社制度が変わります−6−資本金とは?(その1)≫2005年9月29日(木)

 

最低資本金規制がなくなりました。

 

●「資本金」は、株主からの会社に対する出資額(過去形)でその金額の登記が義務づけられています。

●「資本」は一定時点の資産(預貯金や不動産など)マイナス負債(銀行借入や未払いの仕入代金など)で、当初出資額である資本金と一致しないのが通常です(資本は正味財産、株主持分などと呼ばれることもあります)。

●決算書において資本は、資本金プラス累積利益(累積損失)として表示されます。

●資本が資本金を下回っても法的な罰則はありません(ただし、配当はできません)。

(注)ここでの「資本金」および「資本」とは会計上の用語であり、登記簿上は「資本金」を「資本」としています。つまり、登記するのは会計上の「資本金」の金額です。

 

会社の「資本金」や「資本」は、預金証書や株券のように手に取れるものではありません。また、素人が「資本金」や「資本」の意味を理解することは容易ではありません。

にもかかわらず、会社において「資本金」や「資本」が重視されているのはなぜでしょうか?それは、株式会社が「有限責任」であるからです。有限責任とは、株主がその出資額を限度として責任を負うことをいいます。たとえば、ある会社の出資額(資本金)が500万円で、めぼしい資産は残らず1000万円の負債のみ残して倒産した場合、出資者は500万円を限度として責任を負えばすみます。このような場合、倒産するまでに出資した500万円は使い果たしてしまっていることが通常でしょうが、出資者はそれ以上失うことはありません。負債の相手方である融資してくれている金融機関や仕入業者はもはや回収するすべがないということです。

 

以上から、会社の資本金は多ければ多いほど対外的な信用が増すということをご理解いただけると思います(仕入業者などは安心して取引ができるということです)。このことは、年商(1事業年度の売上高)とコスト(仕入代金や人件費などの諸経費)が同一の会社が利益ゼロ(収支トントン)で成り立っていたのが、徐々に赤字化した場合のことを考えていただければより実感が湧くと思います。当然、資本金が多い会社のほうが倒産するまで期間が長くなるということです。

 

 

会社制度が変わります−5−役員の任期を10年とする=登記費用の節約≫2005年9月1日(木)

 

現在有限会社で、「改正法施行後も有限会社のまま」という方は、お読みいただく必要はありません。

 

「取締役は2年ごと」、「監査役は4年ごと」に形式的に「改選」の決議と登記をしなければならない。その都度最低1万円の費用(登録免許税)がかかる。これを怠っていると罰金、最悪の場合には解散させられる。株式会社を運営するに当たっての多大なコストです。そこで、このようなコストがかからない(役員の改選が必要ない)有限会社を選択する中小零細企業が多いのが実情です。

改正法では、非公開会社の場合には役員の任期を最長10年とすることができます。10年に1回の登記でしたら、コストは年間1,000円(1万円÷10年)ということです。

 

 

会社制度が変わります−4−役員数の削減!≫2005年9月1日(木)

 

現在有限会社で、「改正法施行後も有限会社のまま」という方は、お読みいただく必要はありません。

 

改正法においては会社の機関設計(役員の種類、人数、合議の方式)について、各会社の株主構成や規模に応じて多数の選択肢が用意されています。従来の「取締役3名+監査役1名」は、多くの中小零細企業にとって実情に沿わない(取締役の合議や監査役の監査が機能していない)、形式上役員数をそろえることが面倒など、制度の有効性や利便性についての疑問が投げかけられていました。

 

1 非公開会社

株式の譲渡を自由に行えない会社のことをいいます(証券市場で自由に株式の売買を行えない会社という意味ではありません)。わが国の多くの会社は非公開会社で株主も特定少数の者に限定されており、また株主自身が会社の経営者(役員)であることが通常です。このような会社には、大規模な公開会社のような合議制やガバナンスが不要であることはいうまでもないことです。改正法においてはこのような非公開会社の実情を考慮して、極めて簡略な機関設計を認めています。

 

2 取締役は1名でもよい

「取締役会議事録の写しを提出してください」。役所や金融機関からこのような要求をされ、慌てて議事録を事後的に作成したご経験をお持ちの方も多いと思います。今後は、形式的な取締役会(議事録)は不要となります。ただし、決定事項によっては「株主総会」の決議が必要となることもありますので、まったくの決議(議事録)なしに会社が運営できるわけではありません。

 

3 監査役の設置は任意

所有(株主)と経営(役員)が一致していることが通常の非公開会社においては、ガバナンスいわゆる企業統治が不要であることはいうまでもありません。

 

4 機関設計を変更するための手続

どのような機関設計を採用しているかは登記事項とされています。ですから、従来の機関設計(取締役3名+監査役1名)を変更するためには登記が必要ということです(費用がかかります)。

 

《これから会社を設立する場合》

少ない役員数でスタートするのがよいでしょう。機関設計を会社の発展に応じて順次変更すればよいのですから。

《ある人が役員から従業員になる場合のその人についての変更点》

「役員賞与(ボーナス)は損金(おおむね費用)にはならない!」。嫌というほど税理士(会計事務所)から聞かされたこの制約が解けます。ただし、職務内容によっては、登記上は役員でなくとも役員とみなされ賞与が損金不算入となる場合がありますので注意が必要です。雇用保険にも加入することができますので、人員整理も比較的楽に行えます。「役員は保証人として不可」。金融機関がこのような条件を提示してくることがありますが、この制約もなくなります。

《役員数が少ないと信用されない?》

改正法施行後にならないとわかりません。ただし、現在でも取締役1名でも可能な有限会社が、実質的な規模や内容が同様の株式会社よりも低い評価をされていることがほとんどないことからすれば、「役員数削減によって身軽になる」(名目役員への有形無形の謝礼がなくなる)は正しい選択なのかもしれません。

 

 

会社制度が変わります−3−最低資本金特例で設立した会社の扱い≫2005年8月17日(水)

 

改正法においては最低資本金規制が撤廃されました。つまり、いわゆる最低資本金特例が特例でなくなったということです。しかし、注意をしなければならないことがあります。定款に「設立後5年を経過して最低資本金を満たせない場合には解散」との規定がある場合には、それを削除するとともに登記をしなければならないということです。この手続を踏まない場合には規定どおり解散となってしまいます。

 

 

会社制度が変わります−2−有限会社が廃止される!?≫2005年8月17日(水)

 

1 すでに活動している有限会社はどうなるのか!?

大変驚かれたのではないかと思います。しかし、ご安心ください。改正法施行前からある有限会社は、特別な手続をすることなくそのまま営業活動を行えます(社名としても有限会社の文字を用いることができます)。

 

《株式会社になることもできます》

改正法施行後、一定の登記手続をすれば株式会社と称することができます。従来も組織変更として有限会社が株式会社になることはできましたが、改正法施行後に従来からある有限会社が株式会社になるのは組織変更ではなく商号の変更という扱いとなります。

「資本金が1000万円ない!」とおっしゃるかもしれませんが、改正法においては最低資本金制度も廃止されましたので資本金の額については心配いりません。

「役員(取締役3名、監査役1名)がそろわない!」についても心配ご無用です。改正法においては、役員は取締役1名でもかまいません。

《株式会社に変更すべきだろうか?》

有限会社のままでよいと思います。登記費用や新しい印鑑の購入費用はたいした金額ではないでしょうが、取引先への通知が大変です。「いままで有限会社で恥ずかしい思いをしてきたのでこれを機に」も一理あるかもしれませんが、改正法では株式会社といえども資本金1円かつ役員1名も可能であり「株式会社ゆえの信用」が失われましたので、有限会社であることを卑下する必要はありません。むしろ、「有限会社」であることから、「以前(改正法施行前)から営業している」ことが一目瞭然であることから信用になるかもしれません。

 

2 これから会社を設立する場合

もう、株式会社か有限会社かについて(資本金の金額と役員の人数)について悩む必要はありません。問題は、いつ会社を設立するかです。事業開始が改正法施行後である場合はともかくとして、改正前から事業を開始する場合には選択肢は次の3つとなります。

(1)最低資本金を満たす会社を設立する

この方法ですと改正法施行後も一切の手続が必要です。

(2)最低資本金の特例を利用して会社を設立する

定款の「設立後5年を経過して最低資本金を満たせない場合には解散」との規定を削除するとともに登記をしなければなりません。

(3)しばらくは個人事業者として活動する

会社設立に当たって個人から会社への名義変更手続が思いのほか大変ですので、あまりおすすめできません。

 

 

≪会社制度が変わります−1−会社法が改正されました≫2005年7月13日(水)

 

会社法とは会社に関する法律で、商法や有限会社法などに諸規定が設けられています。先日、会社法が改正され、来年中に施行されることとなりました。

 

会社経営者の多くは、会社法の存在を意識するのは会社設立のときだけでしょう(特に小規模な会社の場合)。「株式会社か有限会社か?」、「商号は?」、「本店所在地は?」、「定款に記載する会社の目的は?」、「役員は誰にするか?」など、随分と悩まれたのではないでしょうか。既存の会社が改正後の会社法によって影響を受けることはありません。つまり、なんら法的な手続(登記など)をすることもなく、そのまま活動ができるということです。しかし、改正後の会社法は会社運営についての選択を、改正前とは比較にならないほど多様化しています。そして、現状から他の選択肢へと動くには一定の手続が必要となります。

 

これから、会社を設立しようと考えている方は一安心ではないでしょうか。多くの先人たちを悩ました、会社制度の呪縛から解き放たれたのですから。

 

会社法の改正内容は数多くありますが、その主なものは次のとおりです。

 

●有限会社が設立できなくなる

既存の有限会社は今後も「有限会社」として活動ができます。しかし、改正後は新たに有限会社を設立することができません。

●最低資本金規制がなくなる

株式会社1000万円、有限会社300万円の規制が撤廃されました。また、いわゆる確認会社はそのまま存続することができます。

●機関の設計(取締役の人数、監査役の設置)を柔軟に行える

従来の株式会社では取締役3名、監査役1名が最低必要でしたが、改正後は「取締役1名で監査役はなし」といった方法が認められます。

●役員(取締役と監査役)の任期を最長10年とすることができる

取締役2年ごと、監査役4年ごとの形式的な選任と手続(登記)が小規模な株式会社では煩わしかったのですが、改正後は取締役・監査役ともに任期を最長10年とできることから事務手数と費用(登記)を省くことができます。

 

改正法の施行は来春となる見込みです。当事務所では、引き続き会社法についての情報とお伝えしてまいりますので、再度このページをご覧いただきますようお願いいたします。

 

 

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