「公認会計士」は、わが国で唯一の職業会計人としての国家資格です。

 

築山公認会計士事務所

公認会計士 築山 哲

 

スポット情報

 

このページでは、定時更新(概ね月に一度)では間に合わない、

会計、税務、経営関連の情報をリアルタイムにお伝えしております。

 

 

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≪繰延税金資産という不良資産(その2)≫

金融機関の繰延税金資産が社会問題化しています。「繰延税金資産は自己資本の10%以内」、「向う1年分の前払い分に限る」などの議論がされています。企業会計上の費用と税法上の損金に違いがある以上、当然、税効果会計は必要です。

金融機関の繰延税金資産については、「業績見通しの客観性と正確性(金融機関と監査法人の判断根拠)」の問題であり、税効果会計そのものの要否や合理性の問題ではありません。

金融機関の業績は一向に回復に向かっておらず、ここ数年で繰延税金資産は累積しています。やはり、その回収可能性(将来の税金を減額する。その前提として黒字決算となり課税所得が発生する)に疑念を抱く必要があるのではないでしょうか。

そして、なによりも「貸し渋り」、「貸し剥がし」に、益々拍車がかかると考えなければなりません。

2002年11月5日

 

≪繰延税金資産に化けた(?)不良債権≫

金融機関が不良債権の損失処理を行えば、企業会計上は利益の減額要素となりますが、税務上は直ちに損金処理できないケースもあり課税所得のマイナス要素とはなりません(課税所得=益金マイナス損金)。

この企業会計上と税務上の差異に相当する税額が、いわゆる繰延税金資産です。繰延税金資産が将来の税金を減額できない場合(将来、課税所得が発生しない)は、不良債権の一部(実効税率としての約40%)が繰延税金資産に振替えられたにすぎません。

2002年11月5日

 

≪繰延税金資産という不良資産≫

繰延税金資産とは「税金の前払い部分」のことです。

企業会計上の利益(企業の経営成績と財政状態を表す)と課税所得(法人税の計算の基礎=公平な担税力)は一致しないことが通常です。たとえば、不良債権の回収不能額、金融商品の含み損失の処理が企業会計上は必要であっても、課税所得の計算上は認められないことがあります。

このような状況であれば、課税所得上の減額が認められるのに先立って、企業会計上は損失処理をします。繰延税金資産は、企業会計上の損失処理に対応する部分の税金を「前払い」したと考え、資産として認識した金額にほかなりません(損益計算書における法人税という費用は実際の納税額よりも少なくなります)。

このような会計処理のことを「税効果会計」と呼び、ここ数年来の会計ビックバンといわれる企業会計制度改革の目玉の一つでした。繰延税金資産には重要な前提があります。将来に利益が発生し、将来の納税額が過去に前払いした税金相当額減少するということです。過去に繰延税金資産を計上した時点の将来の見込みと、現在では状況が変化しています。

繰延税金資産が「不良資産」と化している企業も相当数あるようです。当然、「処理」しなければなりません。各上場企業の今中間期の対応からは目が離せません。

2002年10月15日

 

≪中間決算≫

上場企業には中間決算が義務付けられています。当然、その結果を発表しなければなりません。多くの上場企業は3月決算であり9月末は中間決算期末ということになります。決算数値の予測も続々と発表されています。確定数値は今月末から来月初めに発表されます。

以前の予測数値(希望数値?)とかなりの違いがある企業も多いようです。しばらくは、上場企業の中間決算数値から目が離せません。

2002年10月3日

 

≪税理士報酬の下落(3〜4割)≫

昨日、某新聞紙上でこのような記事が掲載されました(遂に掲載されてしまいました)。

2002年4月1日から従来は各地区税理士会で定めていた報酬規定が撤廃されたのはまぎれもない事実です。税理士によってはこの事実を関与先に伝えていない(ひたすら隠している)ことも相当あるようです。

「自由化=価格破壊」、「規制緩和=国家資格制度不要」はあまりにも短絡的な考えとして、現在依頼している税理士のサービス内容が自社にとって妥当か(必要か)、それに応じて報酬はどうあるべきかについて、税理士と話し合うことは絶対に必要です。また、安易な税理士離れ(場合によっては決算申告の放棄?)は避けなければなりません。

当事務所では中小零細企業にとって会計事務所(税理士業務よりも広い概念)は必要不可欠と考えています。今後も当事務所のホームページでは、中小零細企業にとって有意義な会計、税務、経営に関する情報を提供してまいりますので、引き続きご閲覧いただきますようお願いいたします。

2002年9月17日

 

「ぎょうせい」社長、相続税12億円を脱税

「ぎょうせい」は知る人ぞ知る、法令図書出版の大手であり税務関連書物も多数出版しています。

同社社長が、義父から遺産を相続した際、預金約18億円を隠し相続税約12億円を脱税したとして、東京国税局は同社長を相続税法違反容疑で東京地検特捜部に告発しました。年明けの元札幌国税局長税理士に続き、「税務関連の大物」の脱税発覚です。

「相手が誰であれ毅然とした態度で挑む」。昨今、各国税局が強調しています。税務申告は法令に基づき行わなければなりません。税務関連法令の大半は「○○は課税所得に含めなければならない」といった、極めて単純な規定ばかりで、そこには見解が入り込む余地などほとんどありません。

「税務署への顔」、「高度な節税」。幻想であることを再認識する必要があるのではないでしょうか。

「相手が誰であれ毅然とした態度で挑む」。税務当局にとってはたやすいことなのですから。

2002年8月31日

  

≪企業の収益、海外依存鮮明に≫

企業収益の海外依存度がより鮮明となっています。公開企業の大半が決算期を3月としており、決算内容の詳細を記載した2002年3月期の有価証券報告書も出揃いました。営業地域別の情報はこの有価証券報告書の中に含まれています。有価証券報告書は証券取引所などで閲覧できるだけでなく、政府刊行物販売所や一般の書店で購入することもできます。

公開企業の決算数値は各企業の通信簿であるだけでなく、資本主義社会の重要な羅針盤でもあります。企業経営にはマクロ的視点が欠かせません。一度、自社と関連のある企業の有価証券報告書をご覧になる必要があるのではないでしょうか。

2002年8月17日

 

≪設立後5年以内は最低資本金規制を免除≫

7月20日NIKKEI−NET(http://www.nikkei.co.jp/)によれば、政府は会社の最低資本金規制(株式会社1000万円、有限会社300万円)を会社設立から5年内に限り撤廃することを早ければ年内に実施すると発表しました。

「とにかく会社の器が欲しい」は、起業する人の共通の願望です。しかし、最低資本金をクリアーするのは容易でなく、これが原因で起業を断念することもめずらしくありません。

「5年以内の増資資金確保」(注)、「対外的な信用」、「実質的な設備・運転資金」などの課題は残りますが、会社制度には、商号、取締役などメリットが数多くあり、小資本でも運営可能で会社制度のメリットを享受したいビジネスには大変な朗報です。

(注)設立から5年内に最低資本金に達しない場合、「解散」となり営業活動が行えないようになると考えられます。

 

なお、今回の最低資本金規制撤廃は、「商法、有限会社法」によるのではなく「新事業創出促進法」で特例措置が設けられます。これについての詳細は、経済産業省ホームページhttp://www.meti.go.jp/)をご覧ください。

また、当事務所のホームページの「よくある質問」の「起業したい(会社の設立)」で会社の設立方法をはじめとした起業全般の情報を提供しております。

2002年7月20日

 

≪源泉所得税の納付≫

源泉所得税の納付について「納期特例の承認」を受けている事業者は、今年の1月から6月までに徴収した税額を7月10日までに納付しなければなりません(納期の特例が申請できるのは常時10人未満の使用人等に給与の支払いをする事業者等に限られます)。

源泉所得税の納付は、会社にとってある意味で負担(?)になるかもしれません。理論的には預かった(給料などから徴収した)お金なので負担にはならないはずですが、預かったお金を別枠で保管していることはまれで、運転資金に混ざっていることもあります。

そこで、次の方法をお勧めいたします。

@納期特例をやめる

納付書の作成が大変かもしれませんが、支給する給与を銀行から引き出してくる時に納付も済ませてしまうことです。

A別途保管しておく

手提げ金庫、納税準備預金に、給与支給と同時に保管しておくことです。

B取れもしない役員報酬は減額する

源泉徴収義務は給与を支払った時に発生します。最近、役員報酬が額面通り取れないこともめずらしくありません。そのような場合、いったん役員報酬を支給した後に役員から一部あるいは全部を借り入れたとして額面どおり源泉徴収していることが一般的です。この際、役員報酬を減額してください。

 

いったん徴収した源泉所得税に関しては、「不景気なので」は一切言い訳にはなりません。ご検討ください。

2002年6月29日

 

≪個人の住民税≫

個人事業者の方は、そろそろ通知が来ているのではないでしょうか。通知してくるのは今年1月1日現在の住所地の役所です。

平成14年の住民税は、平成13年の所得金額に基づいて計算されます。各市町村は平成13年の所得金額を、税務署からの報告により把握します(所得税確定申告の結果が報告されます)。

「今年は去年より収入が少ないのに」、「すっかり忘れていた」、「身に覚えない(所得税確定申告ですべてが完結していると思っていた)」、反応は人それぞれでしょう・・・・・・。

また、人によっては、「事業税」の通知も来ているのではないでしょうか。通知してくるのは、事業所所轄の都道府県民税事務所(名称は自治体により異なる)です。これが計算されるメカニズム(役所が基となる平成13年の所得を把握する)は住民税と同じです。

 

給与所得者の場合、会社が年末調整の結果を各従業員の住所地市町村役所へ報告しています。そろそろ、会社に通知が来ているはずです。会社はこの通知税額を給与から天引きし納付します。

2002年6月10日

 

≪所得税の予定納税≫

平成13年の所得税額に基づき計算した予定納税基準額が15万円以上の場合、平成14年分として予定納税をしなければなりません(税務署から通知が来ます)。

予定納税は、その年の予定納税基準額の3分の1ずつを第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納税しなければなりません(最終的な精算は来年2月16日からの確定申告で行います)。

ただし、6月30日の状況でその年の所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、7月15日までに所轄の税務署に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。

給与所得のみの人は予定納税の必要はありません。毎月の源泉徴収が予定納税のようなものです。

2002年6月10日

 

≪決算発表ピーク≫

上場企業の2002年3月期の決算発表がピークを迎えました。決算発表の際、各企業は「決算短信」を作成し関係者に配付しています。決算短信は、おなじみの貸借対照表や損益計算書などの計数情報だけではなく、詳細で分かりやすい文字情報も含んでいます。

最近ではほとんどの企業がその決算短信を自社のホームページで公表しています(多くの場合がダウンロード方式)。あらゆる意味で、一度ご覧いただく価値があると思います。新聞や雑誌、そして「会社四季報」や「会社情報」よりもはるかに詳細です。

 

大半の企業の場合、ホームページに「投資家情報」、「株主様へ」、「業績詳細」などの項目があります。決算短信はそこから閲覧あるいはダウンロードすることができます。上場企業のホームページでしたら、YahooやGoogleで検索できることはいうまでもありません。

2002年5月24日

 

≪中小企業向け会計基準≫

現在、中小企業庁は、「中小企業の会計に関する研究会」を開催しています。

周知のとおり、上場企業は、ここ数年にわたる会計ビックバンで、すっかりその実態を浮き彫りにされています。一方、いまだ、中小零細企業の会計目的は、「税金はできるだけ少なく、銀行には良い印象を」です。しかし、昨今の不況は、この二つの目的さえ喪失させ決算を放棄する中小零細企業さえあります。

中小企業向け会計基準のあり方については、「大企業会計基準の適正な簡便法」、「中小企業独自の基準」などが各専門家(学者、公認会計士などの実務家)から提案されています。しかし、忘れてはならないのは、会計は資本主義社会における企業の自立的機能であるということです。担保主義を前提とする、現行の間接金融の限界は明らかです。「実態のつかめない会社」、「嘘をつく会社」が、担保提供せずして資金調達できるはずありません。

いよいよ、会計ビックバンが中小零細企業まで飛び火してきそうです。

2002年5月14日

 

≪五月病≫

いよいよ、ゴールデンウイークも終わり、今日から5月、と言うよりも「実質的な新年度」のスタートです。

ここ2・3年に共通することですが、春先には、政府、上場企業経営者、エコノミストともに軽快な口調で景気回復を語っていますが、ゴールデンウイーク終了後には、ものの見事に景気は失速しています。

「ペイオフ解禁」は人々を、「会計制度改革」は企業経営者を萎縮させています。そして、「不良債権問題」はいまだ解決しません。今や、五月病もすっかり慢性化してしまいました。

昨日で束の間の「退院」も終わりです。今日から再び「治療」を続けなければなりません。健康体へ回復するには、@病状の解明、A治療法の確立と選択、B治療という手順が必要です。

2002年5月7日

 

≪中小企業向け財務会計ソフト販売減速≫

財務会計ソフト大手OBC(勘定奉行を販売)の決算数値によれば、中小企業向け財務会計ソフトの販売が減速しているそうです。同社ではそれにかわって、中堅企業向けの基幹業務システムが好調で高収益を維持しているとのことです。

ここ数年の財務会計ソフトの普及と低価格化は目を見張るものがあります。しかし、財務会計ソフトに限らず、個人や中小零細企業向けのIT関連製品やサービスでは利益を出すことはかなり難しい状態です。中小零細企業が今後もIT化を推進して行くには、業者からの製品やサービスの継続的な供給が不可欠となります。たとえニーズはあっても供給者の採算が取れない以上、製品やサービスは存続しません。

そろそろ、IT化=低価格化という発想を捨てなければなりません。

財務会計ソフトを購入しても、「保守契約はしない」、「バージョンアップはしない」、「サポートに過大な要求をする」では、撤退する業者が出てくる日もそう遠くはないのではないでしょうか。

2002年4月27日

 

≪減損会計≫

ここ数日、「減損会計」という言葉が新聞に掲載されています。「減損」とは、企業が保有する設備(工場、研究、営業その他)の貸借対照表計上額が、将来生み出す収益を下回る場合、その差額を決算上損失処理(貸借対照表金額を減額)することです。「減損会計」は、2005年度から導入されますが、2003年度からの適用も認められます。

多くの企業が過剰設備を抱えており、「減損会計」は、これらの企業にとっては止めの一撃です。赤字転落や債務超過に陥る企業が続出するでしょう。設備投資が将来の収益につながらない以上、その設備投資は「失敗」であり、設備投資相当額が「損失」であることは当然です。

「赤字を恐れて投資を控える」

「早期に損失処理をして、近い将来黒字化させる(ある意味で自社の体力を誇示する)」

最近、このような企業が目立ちます。「会計基準に振り回されない企業」の出現が望まれるのではないでしょうか・・・・。

2002年4月20日

 

≪倒産の前と後≫

直近の決算で配当をしており、倒産の直前まで給与や仕入代金を支払っていた会社が突然倒産することがあります。なんとも不可解な現象で、「会計制度の不備」、「粉飾決算」などと叫ばれています。

企業の継続は、企業(経営陣と従業員)が継続の意志と手段を持ち、周囲(金融機関や取引先など)が信用してくれることが前提となります。倒産は、「信用度」が著しく低下した時点で起こる現象にほかなりません。「信用度」低下の原因は多種多様でしょう。しかし、ひとつ言えることは、「信用度」をはかる唯一絶対的な「尺度」など存在しないということです。「信用度」は、為替や株式相場同様、将来の予測がつかず、しかも瞬時に変動します。

倒産した企業は、資産より負債が多い債務超過に陥っています。資産も負債も、「信用度」に応じて大幅に変動しますので、債務超過が一瞬にやってくることも十分ありえます。

まだまだ不可解な現象が起こりそうです。可能な限りの情報収集とともに、自身の「尺度の精度」を高めていく必要があるのではないでしょうか。収集できる情報は、「信用度」の「変動要素」にすぎないからです。

 

「決算書」は、企業の「信用度」をはかる一つの手段です。特に上場企業の場合、詳細な決算書が公表されています。「増収増益」、「フリーキャッシュフロー」、「一株純資産」、「自己資本比率」などの「総論的数値」だけではなく、決算数値の「変動要素」を読み取る必要があるかと思います。

「成熟商品のウエイトが高い」、「為替変動の影響を受けやすい」、「リスクの高い金融商品を多く保有している」、「利益の見込めない子会社が多くある」など、重要な情報が満載されています。自社と関連のある上場企業の決算数値には、注意が必要ではないでしょうか。

2002年4月8日

 

≪ペイオフ解禁≫

固唾を飲んで見守っていた「ペイオフ解禁」が、いよいよやってまいりました。しかし、世の中は何事も無かったかのように動いています。今日を境に、膨大な不良債権が「自然消滅」するわけではありません。何も、「1000万円を上限として返済すれば良い」のではないからです。

自身が危機に陥った時は「1000万円を上限に預金を払い戻せば良い」殿様(金融機関)に、中小零細企業が支配される時代が、まだまだ続きそうです。

当然、景気回復などありえないでしょう・・・・。

「景気が回復すれば?」、「借金を返して楽になりたい」。ほとんどの中小零細企業経営者がそう答えるでしょう。

2002年4月1日

 

≪辻元議員辞職≫

政治の批判や評論をしているのではありません。

今回の事件は、会計や税務にとって大変参考になります。「秘書の給与」である以上、その秘書が自由に使う権利があります。給与振込みに使われていた通帳は秘書名義であり、その出し入れも秘書が自由に行えなければなりません。

世の中には、「名義や形式さえ整っていれば」という風潮があり、それが黙認されていることさえあります。中小零細企業においても、「名目は役員」、「名目は研修会」など(決して架空ではありません)が存在することがあります。

大不況が続く昨今、中小零細企業経営も「サバイバルゲーム」の様相を呈してきました。従来の「悪しき慣習」が突然崩れるかもしれません。その際、名も無き中小零細企業は、一瞬にして葬り去られてしまいます。気を引き締めて、来るべき反撃のチャンスに備えなければならないのではないでしょうか。何事も、「命あっての物種」ですから。

2003年3月27日

 

≪補助金の不正受給≫

つい先日、某大手造船会社(上場企業)が雇用関連の補助金を「不正受給」していることが発覚しました。問題の多い昨今では、あまりニュースバリューはないかもしれません(?)。

ここ数年、中小零細企業でも補助金の受給が目立っています。受給できる補助金がある限り、積極的に申請すべきです。しかし、これが高じて「不正受給」してしまうととんでもない目にあります。税務署が脱税を発見するのと同様、補助金関連役所も「不正発見」までに一定期間を要します。そんなことから、申請する側はついエスカレートしてしまうようです。補助金の不正受給の罰則はかなり厳しく、代表者は逮捕されるのが通常です。

中小零細企業の場合、代表者が長期不在となると会社は「活動停止」となります。また、この不況下では「今がチャンス」とばかりに、同業他社に仕事を奪われてしまいます。

軽い気持ちで行った補助金の不正受給は、会社とその代表者を社会から「抹消」してしまうと考えなければなりません。なお、補助金申請を行う「怪しげな業者」が存在するようですので、くれぐれもご注意ください。

2002年3月25日

 

≪株高≫

このところ平均株価が上昇し、「3月危機は回避できた」という声さえ聞かれます。

上場企業は、年度末に保有する株式を年度末時点の時価で評価しなければなりません。時価が取得原価(買値)を上回っている場合は「評価益」、下回っている場合は「評価損」を計上しなければなりません。

ここ数年「会計ビッグバン」と叫ばれる会計制度の大改革が行われました。「連結財務諸表」、「金融資産の時価評価」、「退職給付債務」、「キャッシュフロー計算書」、「税効果会計」など、企業の実態がより明瞭に開示されるようになりました。

しかし、実態が改善されない限りどうにもなりません。

@金融資産を必要以上に保有している

A不採算子会社が数多くある

B高コスト体質

これらは、企業にとって常に排除しなければならない事象です。「具体的な改善案」を見出している企業がどれだけあるかが大切ではないでしょうか。

2002年3月15日

 

 

【平成13年度所得税確定申告関連】

2002年3月9日現在

 

≪ニセ税理士にご注意を≫

 

税金の仕事は「税理士」の資格が無いと行えません。誰しも、「税金は少なく」、「記帳は簡単に」、「調査も受けたくない」と考えるのは当然です。世の中には、そんな心理につけ込む悪質な「ニセ税理士」が存在します。

税金には、後日の税務調査がつきものです。その際、納税者に代わって税務署との対応ができるのは「税理士」のみであることをお忘れなく。

当事務所のホームページでは、「よくある質問」の「会計事務所とはどんなところ」で、税理士の役割について説明しております。

 

≪いよいよ確定申告です≫

「扶養控除」、「保険料証明書」・・・。今年も、確定申告の時期がやってまいりました。

税務署や税理士に対しては、「堅苦しい」、「税金をむしりとられる」、「融通が利かない」の先入観があるかもしれません。しかし、昨今では、税務署や税理士にも随分とサービス精神が芽生え、確定申告がしやすい環境が整いました。

まずは、国税庁のホームページをご覧になってはいかがでしょうか。http://www.nta.go.jp/

確定申告は所得のある人にとっては当然の義務です。しかし、それは同時に税金の還付を受けるための権利でもあります。ポピュラーな医療費や住宅取得控除のみならず、年度途中にリストラで解雇となり以後就職していない人も、場合によっては税金が還付されます。

さらに、確定申告の結果は、住民税のみならず、国民健康保険、各種公的補助、市町村発行の所得証明の基礎となります。いわば、確定申告は「社会人のパスポート発行手続」なのです。悔いのない確定申告をしてください。

 

≪忙しくて税務署に行けない≫

「確定申告は気になるけれど、忙しくて・・・」。その場合は、次の方法があります。

@郵送でも申告書の提出はできます

消印日付が提出日付となります。3月15日付の消印があれば期限に間に合います。

A税務署の夜間ポストでも申告書の提出はできます

夜間ポストは、税務署の玄関周辺にあります。年中投函可能であり(業務時間中は受付に提出)、翌朝、税務署の業務開始前までに投函すれば、提出日付は前日となります。3月16日の未明に投函すれば、3月15日の提出となります。なお、今年は3月16日と17日が土日(税務署は休み)ですので、18日(月)未明に投函すれば期限内申告となります。

B最寄りの無料税務相談所を利用する

各地区税理士会主催の無料相談所で、申告書の書き方や記帳の相談と、申告書の受付をしてくれます。また、主要ターミナルに相談所が設置されていることもあります。詳しくは、税理士会にお問合せください。

 

≪税務署に行かないと不安≫

税務署で申告書の書き方を教えてもらい、その通りに書いたとしても、完璧という訳ではありません。申告内容の検討は、後日、税務署内や納税者への税務調査で行われます。なぜならば、申告内容の正確性や真偽は、日々の帳簿や領収証などを詳細に検討しなければ判断できないからです。

所得税は申告納税制を採用しています。税務署が税額を決定するのではなく、まずは納税者が税額を「申告」し、その後税務署が内容を検討するものであることを忘れてはいけません。

 

≪申告書の控は大切に≫

税務署の窓口で提出する場合は、申告書を「提出用」と「控用」の2部持参し、「提出用」を提出し「控用」に税務署の「受付印」をもらってください。

受付印は、税務署に対する抵抗要件(あくまでも、納税者が申告書を提出し、税務署が受領したということについてのですが)であるとともに、金融機関などに申告書の控を提出する場合、正規の申告書であることの要件(?)となります。受付印の押印してある控用の申告書は大切に保管してください。

なお、郵送や夜間ポストで提出する場合は、控用とその返送用の封筒を同封してください。後日、受付印を押印して送り返してくれます。

 

≪昨年、会社を廃業し個人事業者となった≫

最近、「法人の個人成り」が大流行しています。

会社を廃業した日以降は、個人事業者となります。たとえば、6月に会社を廃業し、7月から個人事業者となった場合は、7月から12月までの事業所得とそれまでの給与所得(1月から6月の役員報酬)を合算して所得税の申告をしなければなりません。

所得税申告書の提出がない場合は、所得の有無についての公的証明が一切受けられません。

 

≪スケッチ申告(決算)?≫

「スケッチ申告(決算)」とは、根拠もなく(帳簿や領収証類)、自分の都合が良いように、スケッチ感覚で申告書を作成することを言います。確かに、それでも税務署は申告書を「受け付け」はしてくれます。

「税金は交渉で決る」。

いまだ迷信的に信じられています。スケッチ申告は、問題の先送りに過ぎず、後日の税務調査で大変な目にあいます。その際、助けてくれる人など誰もいません。絶対に、スケッチ申告の誘惑に負けてはいけません。

申告に必要な資料を紛失されている方もいるでしょう。その場合は、お近くの税理士にご相談ください(とりあえずは無料相談所)。適切なアドバイスをしてくれます。

 

≪振替納税≫

所得税と消費税の納税を銀行振替で行うことです。振替が行われるのは4月中旬です。手続はいたって簡単で、税務署で振替納税の依頼書をもらい、銀行名などを記入し税務署に提出すればそれで済みます。

本来、所得税と消費税の納付期限は申告書提出期限と同一です(所得税3月15日消費税3月31日)。振替納税のメリットは、納税の煩わしさを解消してくれるだけでなく、納付期限を延ばせることです。

是非とも振替納税の手続をしてください。

 

≪出直してください≫

税務相談所に資料不十分なまま相談に行った場合、「出直してください」と言われることがあります。「スケッチ申告(決算)」は許されません。しかし、申告に必要な書類がパーフェクトに揃わないことも現実にはあります。その際は、「それに代わるもの」は何かをたずねてみる必要があります。

「スケッチ申告(決算)」は、税金をごまかそうという意識が背後にあります。しかし、やむを得ない資料紛失については大半の場合善後策が存在します。

また、自身で申告書が作成可能な場合は、税務相談所に行く必要はありません。税務署の受付、夜間ポスト、郵送で提出すればよいのです。税務相談所は、何も「免罪符」や「太鼓判」をくれる所ではありません。

 

≪開業後数年は申告不要?≫

「開業後数年(3年程度)は申告しなくて良い」。一部の人は、迷信的に信じています。

これは、ある意味で正しいかもしれません。所得税の納税義務がない場合(一年を通して失業中、事業を営んでいても儲けが無いなど)は申告する必要はありません。通常、事業を開始した年に「儲かる」ことは少ないです。しかし、申告しなければ受けられない特典もあります。

「所得無し」と自信を持って言えるのならば、まずは、堂々と税務署に行ってみることです・・・・・。

 

≪還付請求申告書を提出できる期間≫

還付の請求権は、その請求をすることができる日から5年間行使できます。ただし、申告の内容によって行使できる期間の起算日が異なりますので注意が必要です(申告の対象となる年の翌年1月1日あるいは2月16日から5年間)。

還付請求は少しでも早くしたいのは人情でしょうが、十分な資料を取り揃え「悔いのない還付請求」をする方が良いのではないでしょうか。確定申告終了後でしたら、税務署はゆっくりと相談に乗ってくれます。また、各種税務相談所(商工会議所など)も閑散としていることでしょう。

 

≪提出した申告書の税額が間違っていた≫

確定申告の「期限内」でしたら再度申告書を提出できます。その際は、再度提出する申告書に「訂正」と朱記しておく必要があります。

なお、「期限後」になると問題は複雑になります。税額が少なくなる場合は「更正の請求」、多くなる場合は「修正申告」など様々なケースが考えられます。まずは、各種税務相談所に相談してください。

 

≪もう間に合わない≫

当然、確定申告の期限を過ぎても申告はしなければなりません。期限後に申告した場合、無申告加算税(納付すべき税額の5または15%)、延滞税(納付すべき税額の7.3または14.6%)が課税されます。

「期限後に申告書を提出すると怒られるので」と、無申告のままにしている人がいます。所得がありながら長期間(概ね半年以上)無申告のままでしたら、やがて税務署から早急に申告するように促されます。しかし、ごく短期間の提出遅れでかつ「自主的」に申告書を提出するのであれば、何も言われることはありません。税務署は淡々と申告書を受け付けるだけです。

 

≪納税資金がない≫

納税は3月15日までに行わなければならず、それを過ぎてから納税すると延滞税が課税されます。しかし、諸般の事情から納税が困難となる場合があるかと思います。長期間(概ね2ヶ月以上)未納の場合は、税務署から納付するように促されます。税務署は様々な納付方法を指示してくるでしょうから、逃げずに応対することです。なお、この段階で税額そのものが変動することはありません。

 

 

以下は通常の「スポット情報」です。

 

≪決算数値の演出?≫

これは決して「粉飾決算」を意味するのではありません。

大半の上場企業がリストラを実施していますが、その時期、期間は各企業によってまちまちです。リストラには「リストラ費用」とよばれる早期退職金、不良在庫や設備の廃棄費用など多くの費用が伴い、通常は最終損益が大幅な赤字となります。つまり、トップの重大な決断がない限りリストラを実施することはできません。

大手電機メーカーは早々とリストラを実施し、2002年3月期は各社とも最終損益は大幅な赤字ですが、2003年3月期は「増益」に転じると予想する向きがあります。

赤字部門を早期に切り捨てることは大変好ましいことで、結果として赤字要因が減少します。しかし、これが増収増益につながるかどうかは未知数です。「選択と集中」が成功しない限り、今後も継続しての増収増益とはなりません。

株価をはじめとして部外者の評価は目先の業績に左右されます。「決算数値の演出」に惑わされてはいけないのではないでしょうか。

2002年3月4日

 

≪最終損益≫

最終損益とは、一事業年度の全ての収益から費用・損失を差引いて計算された利益です。本業(営業損益)がプラスでも、資金運用(経常損益)や突発的事象(特別損益)がマイナスならば最終損益もマイナスになる場合があります。最終損益には、様々な要因が含まれています。単なるプラス・マイナスではなく、そのプロセスを検討しなければなりません。

いよいよ、上場企業の決算発表シーズンです。最終損益から目が離せません。

2002年2月25日

 

≪2001年末中小向け融資1.6%減≫

2月16日の日経新聞朝刊によれば、政府系中小企業向け金融機関である国民生活金融公庫(国金)、中小企業金融公庫(中小金)、商工組合中央公庫(商工中金)の2001年度末貸出の合計残高は、前年比で1.6%減少したとのことです。

中小零細企業経営者ならご存知の通り、国金はともかく、中小金と商工中金は中小零細企業への融資はあまり行っておらず、どちらかと言えば「中堅企業」向けであります(中小零細企業にとってはほとんど無縁)。

「中堅企業」でさえ「1.6%減」です。「中小零細企業」経営者にとっては、身震いがする数字ではないでしょうか。

2002年2月18日

 

≪エンロン問題の波紋≫

米国で企業会計に対する不信感が一段と強まっています。SEC(米証券取引委員会)は、あのマイクロソフトやIBMに対しても調査を行っています。全ての米国企業がエンロン同様ではないでしょうが、この「疑心暗鬼」をそう簡単に払拭することはできないでしょう。

間もなく日本でも決算シーズンが到来します。今年は、昨年来の経済状況を反映した厳しい決算となることは必至です。

会計は「相対的真実」と言われ、事実は一つでも複数の会計処理が存在し、各企業にはそれらの中からの選択が認められます。そんなことから、思いもよらぬ決算数値を発表する企業が現れることがありえます。

大手企業は一事業年度の決算数値に大変固執します。一事業年度の業績不振は、次の事業年度の方針や計画に多大な影響をもたらします。業績回復のため、なりふりかまわぬリストラは当然です。

中小零細企業の中には、大手企業の動向に左右される企業も多いことでしょう。これからの決算シーズン、大手企業の決算情報から目を離すことができません。そして、決算情報に応じた俊敏な行動が必要となります。

「エンロン問題」は、対岸の火事では済まないのではないでしょうか。

2002年2月18日

 

 

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