消費税Q&A
≪消費税の試算≫
当社は、どれだけの消費税を納めなければならないのだろうか?
【ご注意】
下記の説明は、原則課税(簡易課税を選択していない場合)を前提としています。
簡易課税の選択をお考えの場合には、「簡易課税は本当に簡単か?」をご覧ください。
2004年4月1日以降開始する課税期間から、消費税の課税事業者の範囲が大幅に拡大されました。初めて消費税の課税事業者になる方にとっては、どれだけ消費税を納税するかが気になることかと思います。そこで、今後納税しなければならない消費税の試算の方法を説明させていただきます。
課税事業者が税務署に納税する消費税の金額は、課税期間に「受け取った消費税の合計金額」から「支払った消費税の合計金額」を差し引きした金額となります。そこで、今後「納税しなければならない消費税額」を試算するにあたっては、下記の手順によらなければなりません。
1 受け取る消費税の試算
まずは、今後の各課税期間(会社の場合には事業年度、個人事業者の場合には暦年)における売上高合計を予測します。
(1)税抜きで販売している場合
属する業界や販売先が消費税に対する理解があり、価格交渉は本体価格(消費税を含まない価格)で行い、別途消費税を上乗せすることが当然と考えている場合には、税抜きで試算するのがよいでしょう。
各課税期間における税抜きの売上高合計が予測できたならば、それに5%を乗じればその課税期間に受け取る消費税の総額が予測できます。例えば、2500万円でしたら125万円となります。
(2)税込みで販売している場合
税込価格で価格交渉が行われる(消費税を販売先に転嫁できない)業界が多いのも実情です。この場合には、たとえ形式的には消費税を区分して価格表示されていようが、税込みで試算しておくのがよいでしょう。
各課税期間における税込みの売上高合計が予測できたならば、それを105で割って5を乗じればその課税期間に受け取る消費税の額が予測できます。例えば、2200万円でしたら約105万円となります。
【ご注意】
●消費税を受け取るのは、何も本業の収入のみからではありません。事業用の自動車や機械を売却する、自社ビルの一部を賃貸するなどの場合にも、消費税を受け取ることになります。試算にあたってはこれらも考慮しておく必要があります。
●事業の一部が消費税の対象とならない場合(住宅の貸付けなど)には、それについての消費税は考慮する必要はありません。しかし、下記2、3の支払う消費税の試算をするにあたってはその部分の売上高が必要となりますので、売上高は予測しておいてください。
●消費税は個々の取引に、つまり販売した都度課税されます。しかし、受け取った消費税の計算は、原則として課税期間のトータルの売上高から計算します。
●消費税の申告書(納税する消費税の計算)においては、国税部分(4%)と地方税部分(1%)を区分けして計算します。
2 支払う消費税の試算(その1)
受け取る消費税の試算が比較的簡単なのに対して、支払う消費税の試算は大変です。なぜならば、消費税を支払う対象は、商品の仕入れ、事務所家賃、電話代、電車賃など多種多様で、これらの中には消費税の対象とならないものも含まれているからです。
支払う消費税の試算にあたっては、まずは損益計算書や試算表を手掛かりに、支出内容ごとに今後の各課税期間における発生総額を予測するしかありません。予測する際の注意点は次のとおりです。
(1)支出が課税対象であるかどうか
支出が課税対象でないならば、消費税の納税額の計算における支払った消費税の計算において考慮されませんので、消費税の試算においても除外しておく必要があります。(支出額が多く消費税の対象とならないものの典型は給与です。)
(2)支出の相手先が消費税を区分しているかどうか
販売先のように一筋縄ではいかないと思います。比較的規模の大きい事業者からの購入の場合はまだしも、小規模な事業者は消費税の表示がまちまちです。また、2004年4月からは小売店における価格表示が総額表示(消費税を含んだ価格)となっています。
そんなことから、支払う消費税の試算においては、税込みで各支出の金額を予測するのが無難ではないでしょうか。支払う消費税は、各支出の合計額を105で割って5を乗じた金額となります。例えば、1200万円でしたら約57万円となります。
(3)今後の設備投資の予定
案外忘れがちですが、設備投資(自動車や機械の購入)の際には多額の消費税を支払います。試算にあたっては是非とも考慮してください。
【ご注意】
●支出の相手先が、消費税の課税事業者でない、あるいは一般人であっても、購入するものが消費税の課税対象であるならば消費税を支払ったという扱いになります。例えば、飲食店が小遣い稼ぎのために家庭菜園をしているサラリーマンから食材の野菜を仕入れた場合(先方は課税事業者でないことから消費税は上乗せしない)にも、消費税を支払ったという扱いになります。(嘘みたいな話かもしれませんが、国はこれを認めてくれているのです。)
●消費税は個々の取引に、つまり購入した都度課税されます。しかし、支払った消費税の計算においては、原則として課税期間のトータルの支出から計算します。
●消費税の申告書(納税する消費税の計算)においては、国税部分(4%)と地方税部分(1%)を区分けして計算します。
3 支払う消費税の試算(その2)
上記2の消費税の全額(支払った消費税)が、「納税する消費税の計算」にあたって「受け取った消費税」から差し引かれるとは限りません。事業内容のすべてが、消費税の課税対象とならない場合は当然として(消費税の納税義務自体がありません)、課税対象と課税対象外を兼業している場合には、課税対象に対応する部分しか差し引くことができません。このような業種の一例を示せば次のとおりです。
●不動産業(課税対象の建物と対象外の土地を販売している)
●飲食店(消費税の課税対象)が副業として住宅用の賃貸マンション(対象外)を経営している
このような場合には、支払った消費税は、下記の方法で受け取った消費税に「対応する部分」を計算することになります。
(1)個別に計算する方法
消費税の対象となる支出そのものを、消費税の課税対象となる事業についてのものと、そうでないものに区分けする必要があります。大げさにいえば、「事業部別の計算」をしておく必要があるということです。
(2)課税売上割合に基づき計算する方法
課税売上割合とは、事業の収入のうち消費税の課税対象となる部分の比率をいいます。一課税期間に支払った消費税の合計額(上記2により計算した金額)に課税売上割合を乗じた金額を、受け取った消費税から差し引きます。
【ご注意】
●その課税期間の課税売上割合が95%以上の場合には、支払った消費税の全額を差し引くことができます。つまり、(1)や(2)の計算をする必要はないということです。
●課税売上割合を算出するには、収入を事業ごと(課税対象の事業と対象外の事業)に区分しておくことが必要ということです。
4 納税しなければならない消費税
上記1で試算した金額から、2あるいは3で試算した金額を差し引いた金額となります。
経営への影響はいかほどでしょうか?
「販売先に転嫁できるので大丈夫!!」
「役員報酬を削減しなければならない・・・・・」
「廃業・・・・」
「裏技を教えろ!!」
以上の煩わしさから原則課税を敬遠し、「簡易課税」を闇雲に選択している事業者が多いのが実情です。
簡易課税の選択をお考えの場合には、「簡易課税は本当に簡単か?」をご覧ください。