必要経費Q&A

個人事業者用(事業所得者用)

 

不動産所得の必要経費

 

 

【生命・損害(地震)保険料で必要経費になるもの】

 

個人事業者が支払う生命・損害(地震)保険料のほとんどは必要経費ではなく、所得控除である生命保険料控除あるいは地震保険料控除として扱われ、支払った保険料のわずかしか所得から減額することができません。

 

●従業員を被保険者とする生命保険の「掛捨て」保険料

家族従業員は除かれます。事故があった際に事業主が受け取る保険金は、その全額を従業員に対する見舞金や退職金に充当しなければなりません。要するに「事故があろうがなかろうが、保険料相当額の負担が事業主に生じる」ということです。その負担は従業員の安心のためなのです。事業主の節税のためではありません。

 

●事業用に融資を受けている金融機関が保険金の受取人である生命保険の保険料

このようなことが融資の条件になっている場合があります。恐ろしい話ですね!金融機関は事業主が死亡により廃業しても融資した資金を保険金で回収できるのです。この場合の保険料は利息と同じです。必要経費にさせてもらわないと困ります。

 

●事業用資産に対する損害(地震)保険の保険料

事業用の店舗や工場に対するものは掛捨て部分を必要経費にできます。事業用の自動車の自動車保険料が必要経費になるのと同じ理屈です。

 

★会社形態なら保険で「ガンガン!」節税できるのに!

個人事業者の保険料の扱いは、会社形態で事業を営んでいる(規模的には個人事業形態でもおかしくない)小規模事業者が保険で「ガンガン!」節税をしているのと対照的です。会社形態ならば、代表者本人のみならず、その家族役員や従業員が被保険者の保険料の多くを会社の経費にすることができます。

 

【特定の必要経費が多い】

 

「業種」「業態」「規模」などからして、多ければ異常といえる必要経費があります。

 

【租税公課】

自動車はない(あれば自動車税が課税される)、店舗や事務所は賃貸(自身が保有する物件ならば固定資産税が課税される)であるのに、この勘定科目が多いのはおかしいです。契約書に貼る印紙の額はそんなにないでしょう。事業税は前年度の所得から察しがつきます。

 

【荷造運賃】

これが多額に生じるのは物品販売業で、得意先への納品を運送業者に依頼している場合です。

 

【水道光熱費】

飲食店など水道光熱費が主なコストである業種を除いて、店舗や事務所の面積、営業時間などの関連数値に比例したリーズナブルな数字が計上されると思います。

 

【旅費交通費】

事業者によって事情は異なると思います。交通機関での移動が多い場合には多額に計上されます。また、事業用車両のガソリン代をこの勘定科目にしているか、ほかの勘定科目(消耗品費や雑費など)にしているかによって計上額は変わってきます。

 

【通信費】

これも、上記の水道光熱費に似ていると思います。ただし、携帯電話を徹底活用(無駄使い)している場合には多額になります。また、インターネット関連費用が多い場合も多額になるでしょう。

 

【広告宣伝費】

この金額に「常識」や「正常」という概念はないと思います。事業主の方針によって相当異なります。

 

【接待交際費】

これも、広告宣伝費と同じです。ただし、この勘定科目のなかに事業とは無関連な出費(家族や事業とは無関係な友人との飲食代など)が含まれていることを税務署も熟知しています。納税者自身も、後ろ髪を引かれるような思いの出費を含めていることを認識しているものです。税務署と妥協点をどこかで見出すしかありません。

 

【損害保険料】

損害保険の対象になるのは、自動車、自己保有の店舗や事務所、機械・備品や在庫でしょう。この勘定科目はこれらに関連して生じます。

 

【修繕費】

修繕の対象になるのは、自動車、自己保有の店舗や事務所、機械・備品でしょう。また、修繕に関連する支出の中には減価償却資産に該当するものもあります。

 

【消耗品費】

この勘定科目の内容は業種や業態によって大きく異なります。また、この勘定科目には必要経費にならない支出が混入されていることが多いです。

 

【減価償却費】

減価償却資産として処理した資産に応じて金額が決まります。

 

【福利厚生費】【給料賃金】

従業員もいないのにこの勘定科目が計上されていればおかしいです(専従者給与は別の欄に記入します)。

 

【外注工賃】

特定の作業を従業員ではなく外部の業者に依頼した場合の費用をこの勘定科目に計上します。ただし、運送作業のようにこれ以外の勘定科目(荷造運賃)を用いることもあります。

 

【地代家賃】

この勘定科目の処理を誤ることはないでしょう。

 

【貸倒金】

売上代金(売掛金)が回収できない場合に用います。

 

【雑費】

上記のいずれの勘定科目にも当てはまらない場合に用います。また、この勘定科目には必要経費にならない支出が混入されていることが多いです。そんな場合、この勘定科目が多額になることはいうまでもありません。

 

【インターネット関連費用】

 

インターネット関連費用の処理について大変よく質問を受けます。典型的なインターネット関連費用についての処理方法を説明させていただきます。

 

●プロバイダー(接続)料金

通信費です。なお、プロバイダーを事業用と私用で兼用している場合には按分計算(事業用と私用の配分計算)を行う必要があります。

 

●レンタルサーバー利用料

青色申告決算書と収支内訳書の勘定科目には賃借料(レンタカーなどを借りた場合の費用)はありませんので、賃借料という勘定科目を新設するか、雑費で処理します。レンタルサーバーを通信手段である(サイトやメールで通信する)と考えるならば通信費、広告宣伝手段である(メールやサイトで広告宣伝する)と考えるならば広告宣伝費でもよいです。

 

●ドメインの取得と維持に関する費用

青色申告決算書と収支内訳書の勘定科目には支払手数料はありませんので、支払手数料という勘定科目を新設するか、雑費で処理します。なお、ドメインの取得と維持はサイト運営とメール活用のためですので、上記のレンタルサーバー利用料と同じように考えて、通信費あるいは広告宣伝費で処理してもよいでしょう。

 

●ホームページ制作費用(外部に制作を依頼した場合)

広告宣伝費です。ホームページの中にソフトウェア(システム)、例えば、注文機能などが含まれている場合にはその部分の費用は広告宣伝費ではなくソフトウェアとして扱います(ソフトウェアは10万円以上の場合には減価償却の対象です)。

 

●ホームページ制作費用(自分で制作した場合)

制作するためのソフトウェアの購入代金が必要経費となります(広告宣伝費、消耗品費、減価償却費など)。当然、パソコンの減価償却費も必要経費です。従業員に制作させた場合には、その従業員の給料賃金が必要経費になります。

 

●SEO対策費用

広告宣伝費です。

 

●ホームページの維持・管理費用(ホームページの制作を外部に依頼している場合)

不具合の修正や定期的な更新に関する費用のことです。青色申告決算書と収支内訳書の勘定科目には支払手数料はありませんので、支払手数料という勘定科目を新設するか、雑費で処理します。なお、ホームページ制作費用と同じく広告宣伝費でもよいと思います。

 

●ホームページの維持・管理費用(自身でホームページを制作した場合)

費用は生じませんが、維持管理のためにソフトなどを購入した場合には費用が生じます。従業員に維持管理をさせている場合には給料賃金が生じます。

 

★ホームページの制作から維持管理までを「一括して」特定の業者に依頼している

費用全額を通信費、広告宣伝費、雑費などで処理してもかまいませんし、上記のように費用を分解できるのでしたら分解します。

 

【収入(売上)に対する必要経費の割合?(簡単な申告方法を教えろよ!?)】

 

毎年、確定申告の時期になると自営業者(事業所得者)や不動産賃貸業(不動産所得者)の方から必ずこの質問がありますが、この質問の背後には次の事情があると思われます。

 

●家内労働者等の必要経費の特例→一律65万円が必要経費になる

 

家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。家内労働者等の所得が事業所得または雑所得のどちらかの場合、実際にかかった経費の額が65万円未満のときであっても、所得金額の計算上必要経費が65万円まで認められます。(この扱いは収入が1ヶ所からしかない場合に限定されます。)

 

家内労働者等をわかりやすくいえば、本来は給料の扱いでもおかしくないのに(1ヶ所で従属的に働いているけれども)、給料になっていない人のことです。家内労働者等の必要経費の特例は、このような人達を所得税の計算において給与所得者(パートやアルバイトなど)と同じように扱うための特例(救済策)といえるでしょう。

 

●給与所得控除

 

給与所得控除とはサラリーマン(給与所得者)の必要経費というべき性質の控除で、給与収入に応じて一定額を差し引くことができます(給与収入が同じであれば給与所得控除も同じになる)。例えば、給与収入の年額が161万9千円未満の場合には「65万円」です。

 

●推計値による課税

 

事業所得を計算するためには帳簿を作成しなければなりませんが、この帳簿付けの作業つまり記帳は大変です。とくに事業の規模がそこそこで入出金の件数が多い場合には一朝一夕には行えませんし、さらには専門的な知識が必要となる場合もあります。そんなことから、つい記帳がおろそかになり不正確な帳簿に基づいて申告をしてしまう納税者がいます。

 

帳簿がまったくない、帳簿を提示しない、帳簿が極めて不正確な場合には、税務署は「苦肉の策」として推計値による申告を納税者に対して促します。

 

税務署が算出する推計値は一定の統計に基づいていますが、この統計は「税務調査による修正後」の数値によっています。なお、これは税務署が公表している各種の統計数値とは異なります。つまり、納税者からは見えない数値であるということです。税務署のこの統計を覆す、つまり各納税者の個別事情を申告数値に反映するには帳簿が必要なのです。

 

★必要経費の概算計上は自爆行為です

 

ご理解いただけたと思います。必要経費の概算計上が認められるのは、特定の職業や所得の人に限定されるのです。

 

【会社の経費>個人事業者の必要経費(会社には家事関連費という概念がない?)】

 

「同一の事業の場合、会社のほうが認められる経費が多くなる」

「法人成りすれば(個人事業者が会社になれば)経費が増える」

 

このようなことを市販の書物に堂々と書いている人がいます。しかも、税理士です(笑)。

 

もっとも、まったく根拠がないわけではありません。「なるほど・・・」と思えますが、「一理ある(正論)」とは思えません(笑)。

 

個人事業者の場合、「家事関連費」といって事業と私生活に共通する支出に関しては、事業に関連する部分しか必要経費にすることはできません。その典型は車両関連費用(減価償却費、ガソリン代など)、自宅兼事務所の場合の家賃(持ち家の場合には減価償却)や水道光熱費です。これらの支出は合理的な基準で事業部分と私生活部分に区分しなければなりません。

 

会社の場合、会社の支出は、会社の活動(営利追求)のために行われるのであるから、上記のような個人事業者では一部分しか事業の経費とされなかったものも全額が経費として認められる。これが本の著者の論理です。

 

会社の場合も、「事業と無関連」の支出は税金の計算上は経費とは認められません。小規模な会社(株主=代表取締役の一存で資金が動く)で行われがちな、代表者(代表取締役)の私的な費用の会社での負担などがその典型です。

 

本の著者の表現だと、「請求書や領収書を会社名義にしておけば」とか「車や不動産を会社名義で買えば」と誤解する人も多いでしょう。

 

「よう、こんなこと本に書くわ!」「恐ろし!」といいたくなります。このようなことは「ガセネタ」が飛び交うネット上に匿名で書くべきです(すかさず誰かが否定するでしょう)。

 

★会社設立による節税メリット

 

「会社を設立すると、個人事業者では課税の対象となっている事業所得が役員給与(役員報酬)という給与所得になり、そこから給与所得控除を差し引けるのでその分節税になる」

 

これが会社設立による節税メリットとされており、税理士が会社設立を勧めるときのトークです。税理士は、会社のほうが処理も複雑で個人事業者よりも報酬が多くなるので会社設立を勧めるのです。

 

しかし、多くの人はこの説明の前提条件である「それは十分な役員給与が払える場合」ということ知っています。そこで、この本の税理士はこのような「トーク」を考えたのでしょう・・・

 

「請求書や領収書が会社名義の支出はなんでも会社の経費になる!」

 

「究極の節税!」である「役員給与ゼロ(代表者の所得税ゼロ)」「役員の生活費や娯楽費は全額経費」「法人税もゼロ」が実現します。

 

天国ですよ!

 

★私たちの業界も苦しいのです・・・

 

だから、こんなことを本に書く人も出てくるんです。本であれですから、ネット広告はさらに過激で刺激的なんです(笑)。

 

【個人事業者が自身で行う研究開発活動(出金がないので必要経費にはならない)】

 

「私は毎日のように、より良い製品を生み出すために、本や新聞を読むことは当然として、同業他社の店舗や工場を見学・視察するなどの研究開発活動を続けています。これは必要経費にはならないのですか?」

 

個人事業者(事業所得者)の方から、このような質問を受けます。

 

書籍や新聞代、交通費が必要経費になるのは当然です。しかし、ここで問題としているのは研究開発活動に費やした「自らの労力」が必要経費になるかということです。

 

★ならないのです!

 

なぜならば、「出金がない」からです。個人事業者が自分に給料や手当(この場合は研究開発手当などの名目)を支払うという考えはありません。

 

これが、研究開発のために従業員を雇用している場合には、その従業員に支払った給料は必要経費になります。

 

しかし、そんな従業員を雇う余裕はありますか?

「もったいない」ですよね(笑)。成果が未知数なのに・・・

だから、自分で研究開発をしているのでしょ?

 

★納得できない!

 

そのような場合には、次のように考えてください。

 

「研究開発に自らの労力を費やすことによって『収益を犠牲にしている』場合があり、それが所得の減少につながっている」

 

「逸失利益」や「機会費用」という考え方です。

 

「自分が納得するものが完成するまで一切売らない!いつまでも研究開発を続ける!」

 

永遠に税金など払う必要はありませんよ(笑)。それどころか、生活ができませんよ!

 

ご納得いただけましたか?

 

●会社の場合

代表者に支給する毎月定額の役員報酬として費用に反映されますが、研究開発手当などを臨時に支給した場合には損金不算入(税務申告上は費用とは認められない)となります。

 

●試作品の製作

材料代など出金の伴うものは必要経費にできます。

 

【個人事業者の交際費は無制限!?】

 

会社(法人)の場合には交際費の損金算入(費用とすること)について制限が設けられていますが、個人事業者にはそのような制限はありません。

 

しかし、個人事業者が飲食代や贈答費用などを無制限に必要経費にすることができるわけではありません。個人事業者が支出した飲食代や贈答費用が「事業に必要」であれば交際費(青色申告決算書と収支内訳書の勘定科目では接待交際費)として必要経費にできるということです。

 

●飲食や贈答などをした人の立場(会社名と役職など)と氏名

帳簿に明瞭に記載しておく必要があります。この記載がなければ必要経費にすることはできません。税務署は、飲食や贈答などをした人が実際に事業と関連があるかを販売関連記録などから確認します。

 

●飲食や贈答の具体的内容(請求書や領収書が必要)

飲食や贈答の内容が社会通念からして相当なものである必要がありますので、それを立証できなければならないのです。

 

交際費になるかどうかの判断には納税者と税務署双方の「主観」が介入します。しかし、上記のように明瞭な処理をしておけば税務署も必要以上に疑うことはありません。ですから、面倒がらずに請求書や領収書を入手保管するとともに帳簿への記載もしておくことです。

 

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