消費税の負担(4/4)

 

築山公認会計士事務所

 

目次

 

 

≪消費税の専門用語≫

 

下記はいずれも、前述の説明で用いた消費税の専門用語です(消費税法の条文や解説書などでの用語です)。消費税は非常にシンプルな税で、直感(算数的ひらめき)や経験による理解でも通り一遍の事務作業はできます。しかし、いざ、イレギュラーな事項を処理しようとすると、専門の解説書を読むことが必要となり、その際、専門用語の正確な理解なくして有効な答えを導くことができないのが実情です。

そんなことから、今一度、下記の用語について角度を変えて説明させていただきます。

 

《国内取引と輸入取引》

消費税が国内取引と輸入取引に課税されることから、消費税法の諸規定においては両者を区分けしています。そんなことから、解説書においても「国内・・・」、「輸入・・・」といった説明が数多くあります。

国内取引においては、事業者が消費者から預かった消費税を「税務署」に納税します。それに対して、輸入取引においては輸入をする者が「税関」に消費税を納税します(事業者が預かることはありません)。

事業者が消費税の納税額を計算する際には、輸入取引についての消費税は「支払う」という要素でしかなく、実務上は仕入税額控除の一要素にしか過ぎません。そんなことから、このページにおいても「国内・・・」のみについて説明している箇所が多々あります。

 

《資産の譲渡等》

「資産の譲渡」、「資産の貸付け」、「役務の提供」をいいます。消費税の解説書では、最初にこの3要素を説明した後は、「資産の譲渡等」との用語を用いています。

 

《非課税取引》

資産の譲渡等でありながら、消費税を課税しない取引をいいます。

 

《不課税取引》

資産の譲渡等に該当しない取引、国外で行われる取引(日本企業が海外で行う取引など)をいいます。当然、消費税は課税されません。

 

《輸出免税》

国内における資産の譲渡等ですが、わが国の消費税が国内の消費に課税するという立場であることから、消費税を免除しています。

 

《納税義務者》

国内取引における消費税においては、財貨やサービスを購入するときに消費税を支払う者(税の負担者)と、それを受け取って税務署に納付する事業者(納税義務者)が存在します。輸入取引においては、課税貨物を保税地域から引き取る者(事業者に限らない)が納税義務者となります(税金の納付は税関にします)。

 

《免税事業者》

事業規模が一定基準以下であることから、国内取引についての消費税の納税義務が免除される事業者です。(輸入取引についての納税義務は免除されません。)

 

《課税資産の譲渡等》

資産の譲渡等の内、消費税が非課税とされているもの以外をいいます。

 

《課税期間》

国内取引に対する消費税は、資産の譲渡等が行われる都度課税されますが、納税義務者は一定期間つまり一課税期間の消費税を「まとめて納税」します。

 

《基準期間》

納税義務免除の有無、簡易課税適用の可否を判定するにあたって、その基準である課税売上高を算出する特定の期間をいいます。

 

《課税売上高》

「課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額(輸出取引等で免税となるものを含む)」−「売上対価の返還等の金額(税抜き)の合計額」です。課税売上高は、納税義務の有無、簡易課税適用の可否、課税売上割合の計算において用いる数値です(課税売上割合の課税売上高は他のものを若干修正します)。

 

《売上対価の返還等》

消費税法においては、課税資産の譲渡等の後に、返品や値引きなどがある場合を売上対価の返還等として規定しています。つまり、販売後に返品や値引きなどが行われ、それが消費税の計算に影響することを考慮しているわけです。

 

《課税標準》

国内取引の場合には、個々の取引つまり課税資産の譲渡等が行われる都度の対価です。輸入取引の場合には、関税課税価格(通常はCFI価格)に消費税以外の個別消費税額と関税額を加算した金額です。課税貨物を保税地域から引き取る者は、その引取りの時までに申告書を所轄税関長に提出し引取りに係る消費税額を納付しなければなりません。

 

《課税標準額》

課税期間における課税標準を合計したものをいいます。輸出売上げの金額は含まず、売上対価の返還等を含んでいますので、課税売上高とは異なる数値となります。

 

《売上げに係る消費税額》

課税標準額に対する消費税額です。

 

《売上対価の返還等の金額に係る消費税額》

課税期間において、返品や値引きなどにより「返した消費税」の合計額をいいます。消費税の納税額を計算するにあたっては、売上に係る消費税額から差し引くことができます。

 

《仕入税額控除》

事業者が消費税を納税するにあたっては、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れ等(課税仕入れと課税貨物の引取り)に係る消費税を差し引くことができます。

 

《課税仕入れ》

事業者は、課税資産の譲渡等を行うと同時に、他の事業者などから課税資産を譲り受け、借り受け、役務の提供を受けます。課税仕入れとは、この譲り受けなどをいいます。

 

《課税仕入れ等》

「課税仕入れ」と「課税貨物」をいいます。

 

《課税仕入れ等に係る消費税額》

課税仕入れと課税貨物に対する消費税額を合計した金額をいいます。

 

《貸倒れに係る消費税額》

資産の譲渡等の対価のうち、回収不能となった部分に対する消費税額をいい、課税標準額に対する消費税額から差し引くことができます。

 

 

≪まとめ≫

習うよりも慣れよ!!

「受け取った消費税−支払った消費税=納税する消費税」

消費税の仕組みなんて単純です。しかし、消費者にとっても事業者にとっても、大変つらい税です。

 

●消費税は、広く公平に消費(財貨やサービスの購入)に課税される間接税で、負担者と納税義務者が異なります。

●実際の取引においては、消費税が明示されていないこと、消費者に転嫁されていないことがあります。

●個々の取引に、取引が行われた都度課税されます。

●国内における消費に課税されるため、国外で消費される輸出取引は免税となります。

●国内における消費であっても、非課税となるものもあります。

●納税義務者(税務署に納税する者)は、消費税を受け取る事業者です。

●小規模な事業者は、納税義務が免除されます。

●納税義務者は、一課税期間に受け取った消費税を合計して納付します。

●納税義務者は、一課税期間に受け取った消費税から一課税期間に支払った消費税を差し引いて納税します。

●受け取った消費税も、支払った消費税も、「課税期間における本体価額総額」から、「課税期間における消費税総額」として計算します。

●小規模な事業者は、支払った消費税についての簡易な計算(簡易課税)が認められます。

●消費税を理解するには、解説書(条文)を読むよりも、申告書の仕組みを理解するのが近道です。

●消費税の申告と納付の期限は、課税期間の末日の翌日から2か月以内(個人事業者の場合には3ヶ月以内)です。

●消費税の会計処理には税抜処理と税込処理ありますが、両者で納税額と利益に違いはありません。

●消費税の会計処理と、実際の取引における表示は無関係です。

●実務上、消費税の計算は損益計算書をベースに行います。(収益は受け取った消費税、費用は支払った消費税と関連しているからです。)

●消費税の納税額を正確に計算するには、日頃の処理(請求書や領収書の整理、仕訳)が大切です。

●市販されているほとんどの財務会計ソフトには、消費税の計算機能(申告書作成機能)があります。

●個々の取引について複式簿記の仕訳を覚えなければならないように、個々の取引についての消費税の扱いを覚える必要があります。

●イレギュラーな事項の処理は、税務署や税理士に相談するに限ります。

●専門的な解説書など(当然このページも含みます)を読むのは時間の浪費です。 

 

 

目次