消費税の負担(1/4)
当初公開2003年8月1日
第1回目更新2004年1月5日
第2回目更新2006年4月6日
公認会計士 築山 哲
■目次■
1/4(このページ)≪消費税とは≫≪国内取引における消費税の課税対象≫≪輸入取引における消費税の課税対象≫≪非課税取引(国内取引で消費税が非課税となるもの)≫≪非課税貨物(輸入取引で消費税が非課税となるもの)≫≪輸出免税等(消費税が免除される輸出取引等)≫
2/4≪納税義務者(消費税を納税する者)≫≪納税義務者が税務署に納税する金額≫≪簡易課税(支払った消費税の簡易な計算方法)≫≪消費税の申告書≫
3/4≪申告と納付(消費税を納付する時期)≫≪消費税の各種届出≫≪消費税の帳簿(納税する消費税の計算作業)≫≪消費税の仕訳(決算書における消費税)≫≪損益計算書と消費税の計算≫
4/4≪消費税の専門用語≫≪まとめ≫
消費税についての身近な疑問に、できる限り専門用語を用いずにお答えしております。
初めて課税事業者になる方などは、まずはこちらをご覧ください。
≪消費税とは≫
1 消費とは
「消費」については、消費税の専門用語としての明確な定義はありません。一般に消費とは、食料品、衣料品、日用品などの物を購入し、食べたり、使ったりすることをいいます。しかし、消費税においての消費とは、それよりも広く、建物や自動車などの耐久消費財、さらには医療や運賃などの無形のサービスなど、あらゆる財貨とサービスを購入することであります。
2 間接税
消費税は、広く公平に一般の消費を対象に課税する間接税であるといわれています。間接税とは税の負担者と納税義務者が異なる税をいいます。消費税においては、販売する事業者は本体価格(消費税を上乗せする前の価格)と消費税を区分して代金を受け取り、消費税は客(個人あるいは事業者)の負担となっています。しかし、これは、あくまでも理論上において客への負担(転嫁)が「予定」されているにすぎず、形式上は客への負担がなされているようでも、実際は販売する事業者の負担となっていることもあります。「消費税を取るならもう少し安くしてくれ」などの会話は、このことを物語っています。
(注)平成16年4月から小売業(消費者への販売)においては、店頭、カタログなどに表示する価格は消費税額を含んだ「総額表示」とすることが義務付けられました。総額表示になったとしても、消費税の税率や構造が同じである限り、小売店が客へ消費税を負担するという姿勢に変わりはありません。
3 付加価値税
わが国の消費税は、付加価値税であるともいわれます。課税事業者が「納税する消費税額」は、販売のときに「受け取った消費税額」から仕入れや諸経費の支払のときに「支払った消費税額」を差し引いた金額となります(税の累積が排除されています)。この金額は、付加価値(売上−仕入−人件費を除く諸経費)に比例します。つまり、付加価値を多く生み出した会社は消費税の納税額が多く、付加価値の低い会社は消費税の納税額が低い、場合によっては還付されることになります。
4 益税問題
わが国の消費税法(消費税の課税対象や納税義務者などを定めた法律)からすれば、次のようないわゆる益税問題(消費税を受け取りながら、その一部あるいは全部を納税しない事業者の存在)が生じます。
(1)免税事業者
基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務を免除されます。ほとんどの事業者は、消費税の納税義務の有無に関係なく売上代金に消費税を含めています。しかし、納税義務は免除される事業者が存在します。(なお、免税事業者が消費税を受け取ってはいけないという消費税法上の規定はありません。)
(2)簡易課税
基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業者は、消費税の納税額の計算を「みなし計算」で行うことができます。本来ならば消費税の納税額は、「実際に受け取った消費税額」から「実際に支払った消費税額」を差し引くことにより計算します。しかし、簡易課税においては、「支払った消費税額」について「みなし計算」を認めています。このみなし計算値が益税を生む場合があります。
免税事業者や簡易課税が、必ずしも益税を生んでいるとは限りません。なぜならば、消費税という間接税の転嫁が理論どおりに行われていないことも多く、特に立場が弱い小規模事業者(免税事業者であったり簡易課税が認められたりする)にとってこの傾向が強いからです。
≪国内取引における消費税の課税対象≫
課税対象となる取引が行われた都度、事業者は消費税を受け取っておく必要があります。
国内取引における消費税の課税対象は、「国内」において、「事業者」が「事業」として「対価」を得て行う、「資産の譲渡」、「資産の貸付け」、「役務の提供」(以下、「資産の譲渡等」とします)です。
「資産の譲渡等」に該当しない場合には、「不課税取引」となり消費税は課税されません。
1 国内において
わが国の消費税は「内国消費税」であることから、国内での取引が課税対象となります。国内か国外かの判断は次のとおりです。
(1)資産の譲渡、貸付け
取引時の資産の所在場所によります。ただし、船舶や航空機は登録機関の所在地で判定するなどの例外もあります。
(2)役務の提供
役務の提供場所となります。
2 事業者
個人事業者および法人(会社など)をいいます(居住者、非居住者の別は問いません)。
3 事業として
資産の譲渡等を、反復、継続、かつ独立して行うことをいいます。(事業に関連して行う行為、例えば、事業用の建物や機械などの売却も含みます。)
《個人事業者が私生活用資産を譲渡した場合》
個人事業者が私生活用資産(住居など)を譲渡した場合には、事業には該当しませんので課税対象外となります。
《サラリーマンの副業》
サラリーマンの副業であっても、事業に該当する限りは課税対象となります。
4 対価を得て行う
無償による資産の譲渡等は除外されます。(ただし、個人事業者が商品などを自らの生活用に消費した場合、会社が資産を役員に贈与した場合は無償であっても譲渡とみなされます。いずれの場合も、その時の資産の価額に相当する金額がその対価となります。)
《取引の相手先》
対価を得て行う取引である以上、相手先が親族や従業員であっても課税対象となります。
5 資産
棚卸資産(製品、商品、原材料など)、有形固定資産(土地、建物、機械など)に限らず、権利その他の無形資産など「取引の対象となるものすべて」が資産に含まれます。
6 譲渡
資産の同一性を保ちながら、他人に移転させることをいいます。(譲渡には、代物弁済による譲渡、金銭以外の出資など売却以外のものも含まれます。)
7 貸付け
資産に係る権利を設定する、他の者に資産を使用させる一切の行為をいいます。
(1)資産に係る権利の設定
特許権などの使用権、著作物の出版権の設定をいいます。
(2)他の者に資産を使用させる
不動産、無体財産権その他の権利を他人に使用させることをいいます。(土地、建物の賃貸料など。)
8 役務の提供
土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供することをいいます。(弁護士や公認会計士はこれに含まれます。)
9 不課税取引の例(消費税が課税されない取引=資産の譲渡等に該当しない取引)
(1)保険金、共済金等
(2)損害賠償金(心身又は資産につき加えられた損害に対するもの)
(3)資産の廃棄、盗難、滅失
(4)寄附金、祝金、見舞金等
(5)補助金、奨励金、助成金等
(6)借家保証金・権利金等(賃貸借契約の終了時に返還されるもの)
(7)会費、組合費等(通常の業務運営のために経常的に要する費用)
≪輸入取引における消費税の課税対象≫
輸入する者が、税関に消費税を納めなければなりません。
保税地域から引き取られる外国貨物に消費税が課税されます(課税貨物)。輸出が免税となるのとは反対に、輸入が課税対象となるのは国内で消費されるからです。
《外国貨物》
外国から国内に到着した貨物で輸入が許可される前のもの、輸出の許可を受けた貨物で保税地域から引き取られるものをいいます。
≪非課税取引(国内取引で消費税が非課税となるもの)≫
非課税取引とは、本来は消費税の課税対象となる資産の譲渡等であるけれども、消費税を課税しない取引をいいます。
1 消費税の性格からして課税対象とならないもの(消費ではないもの)
(1)土地の譲渡、貸付け
貸付期間が1ヶ月未満の場合には課税対象となります。野球場やテニスコートなどは施設ですので課税対象です。また、フェンスや区画などのある駐車場も課税対象です。
(2)社債、株式等の譲渡、支払手段の譲渡など
ゴルフの会員権は、ゴルフ場を有利に利用するための権利ですので課税対象です。
(3)利子、保証料、保険料など
(4)郵便切手、印紙などの譲渡
切手が販売されただけでは役務の提供がありませんので非課税ですが、実際に郵便を利用した(切手を貼った)時点で課税対象となります。
(5)商品券、プリペイドカードなどの譲渡
上記(4)の郵便切手と同じ理屈です。
(6)住民票、戸籍謄本等の行政手数料など
(7)国際郵便為替、外国為替など
2 特別の政策的配慮に基づくもの
(1)社会保険医療など
(2)一定の介護サービス、社会福祉事業など
(3)助産費用
(4)埋葬料、火葬料
(5)一定の障害者用物品の譲渡、貸付けなど
(6)一定の学校の授業料、入学金など
(7)教科用図書の譲渡
(8)住宅の貸付け
≪非課税貨物(輸入取引で消費税が非課税となるもの)≫
国内取引とのバランスから、有価証券、郵便切手、障害者用物品などが非課税とされます。
≪輸出免税等(消費税が免除される輸出取引等)≫
課税事業者(消費税の納税義務のある事業者)が、国内において行う課税資産の譲渡等のうち、輸出取引等(運輸、通信など含む)に該当するものは免税とされます。消費税は、国内の消費が課税対象ですので、国外で消費される輸出取引等は免税となります。
1 国内から輸出として行われる資産の譲渡または資産の貸付け
最終的な消費が国外でされる場合であっても、事業者が国内の「商社などを経由して行う輸出」については、その事業者の課税資産の譲渡は免税とはなりません。(輸出免税の適用を受ける場合には、輸出許可書、税関長の証明書などを入手し保管しておく必要があります。)
2 外国貨物の譲渡または貸付け
3 国内および国内以外の地域にわたって行われる運輸、通信、郵便
(1)国際運輸(旅客または貨物の輸送)
国内を出発地、発送地とするもの。国内を到着地、配達地とするもの。
(2)国際通信
国内を発信地とするもの。国内を受信地とするもの。
(3)国際郵便
国内を差出地とするもの。国内を配達地とするもの。
4 非居住者に対して行われる役務の提供のうち特定のもの
≪輸出物品販売所(免税ショップ)における輸出物品の譲渡≫
最終的に国外で消費されることから免税とされます。なお、免税となるには所轄税務署長の許可が必要となります。