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築山公認会計士事務所

大阪市北区与力町1−5

 

平成18年・年末調整特集

 

 

平成19年版はこちらをご覧ください。

 

 

年末調整の不手際を、「所得税の確定申告」でフォローしなければならないことがあります。

所得税の確定申告につきましては下記のページをご覧ください。

所得税確定申告情報

(源泉徴収や年末調整に関連する情報も掲載しております。)

 

 

≪年末調整・その4(年が明けてからの年末調整?)≫2007年1月5日(金)

 

「年が明けたのに年末調整だなんて?」と、お考えかもしれません。しかし、年末調整はまだ終わっていません。

 

  源泉所得税の納付

1月10日(水)が納付期日であることはいまさらいうまでもないでしょう。(一定の場合は22日(月)となります。)

 

  各従業員への源泉徴収票の交付(1月末までですが、できるだけ早く)

年末調整が終了したというからには、各従業員がその税額に納得しなければなりません(税金の計算が正しいということにおいて)。それには源泉徴収票の交付が必要不可欠ですが、案外これを忘れていることがあります。給与計算の不透明さは、従業員の経営者に対する不信感へとつながります。必ず源泉徴収票は交付してください。

 

  各従業員の給与支払報告書(源泉徴収票)を各市町村に提出(1月末まで)

各従業員が源泉徴収票(国税)に納得したならば、次は住民税(地方税)です。各従業員の1月1日現在の住所地市町村役所に、給与支払報告書(名称は異なりますが内容は源泉徴収票と同一です)を提出しなければなりません。各従業員の住民税は、各市町村役所が計算し5月末に会社に通知します。会社は、この金額を毎月の給与から分割して徴収します(いわゆる住民税の特別徴収)。

【給与支払報告書のあて先(郵送で提出する場合)】

各従業員の住所地の市町村に提出するのは当然として、迷うのは「役所のどの部署」に提出するかということです。ほとんどの市町村は、12月になれば「給与支払報告書・総括表」(給与支払報告書の表紙)を郵送してきますので、それに記載された部署に提出することになります(すでに特定の従業員の住民税を特別徴収している市町村に限ります)。初めて給与支払報告書を提出する市町村の場合には大変迷います。「市民税部(課)」、「税務部(課)」、「主税部(課)」など市町村によって部署の名称はまちまちだからです。その場合は封筒の表紙に「給与支払報告書在中」と明記しておくことです。開封する人が何とかしてくれるでしょう(市町村にとって給与支払報告書は「メシの種」です。きっと、大切に扱ってくれることでしょう)。市町村が法人市民税の申告書用紙を会社(納税者)に郵送する際に、「経理担当者殿」、「経理担当者にお渡しください」などと封筒に明記してくることがあります。お互い許される範囲の「無礼」ではないでしょうか。

【住民税の特別徴収義務者番号】

上記の「給与支払報告書・総括表」(給与支払報告書の表紙)のどこかに明記されています。また、住民税の決定通知(5月末)に特別徴収義務者番号が記載されているはずです。白紙の給与支払報告書・総括表(税務署が配布していると思います)を使用する場合はこれを記載しておく必要があります。なお、初めて特別徴収する市町村の場合には番号がないのが当然です(特別徴収義務者番号を記載する欄に「特別徴収希望」と明記しておくことです)。 

 

  税務署に法定調書合計表を提出する(1月末まで)

「1.源泉所得税の納付」と「3.給与支払報告書(源泉徴収票)の各市町村への提出」さえ済んでいれば、年末調整は実質的には終了かもしれません。しかし、法定調書合計表は提出してください。これの提出がない場合には、たとえ源泉所得税を納付していようが法定調書合計表を提出するよう執拗な催促があります。

 

  源泉徴収票の再発行に備える

各従業員へ交付した源泉徴収票は、各従業員にとって「社会人としてのパスポート」としてあらゆる場合に必要となります。税務署から白紙の源泉徴収票が配布されていると思いますが、再発行に備えて余った分は残しておいてください。また、余りがない場合には税務署に取りに行ってください。おそらく今年中なら、「平成18年分」と印字された白紙の源泉徴収票が税務署にあると思います。

なお、年度途中(平成19年中)で退職する者には、この「平成18年分」と印字された白紙の源泉徴収票を「19」と二重線で訂正して交付してください(今年の年末になるまで19年分の白紙の源泉徴収票は配付されないと思います)。途中退職者にはタイムリーに源泉徴収票を交付しておく必要があります。そうでないと、年末のあわただしい時期に「今の会社で、年末調整のために前の会社の源泉徴収票が必要といわれた」との催促を受けることになります。

 

  源泉徴収票への「信奉!」

源泉徴収票が「社会人としてのパスポート」であるがゆえに、人によっては源泉徴収票に異常な「信奉」を抱いていることがあります。「社長、源泉徴収票を・・・・となるように書いてください」との不純な再発行の依頼については、毅然とした対応をしてください。源泉徴収票は会社が作成した内部資料に過ぎません。とくに、名もなき中小零細企業の源泉徴収票など誰も信用してくれません。

昨今、金融機関(融資の審査)、家主(賃借人の信用状況の調査)などは個人所得の正確な把握の手段として、源泉徴収票ではなく公的証明力のある「市町村発行の所得証明」(給与支払報告書に基づいており「納税」という確かな裏づけがある)の提示を要求することが通常です。

 

  扶養控除等申告書など(年末調整の基となった資料)の保存

まれに従業員に返却している会社がありますが、会社で保存しておく必要があります(7年間)。「確定申告で必要だから」という従業員がいるかもしれませんが、会社が確認済みの事項(源泉徴収票に記載されている事項)についての証明書類(保険料の支払証明など)は確定申告に際して改めて提出する必要はありません。

 

  年末調整と確定申告(給与所得者の確定申告)

給与所得しかない人が1ヶ所からのみ給与を受け取っており、そこで年末調整をした場合(さらに事業所得などが無い)には確定申告の必要はありません。しかし、次のような場合には確定申告をする必要があります。

(1)医療費、寄付金控除、住宅借入金等特別控除(初年度)を受けたい

これらを勤務先でするものと思い込んでいる人がいます。しかし、確定申告をするしかありません。

(2)年末調整が間違っていた(税額が多かった)

生命・損害保険料、個人負担の社会保険料(特に扶養親族分)などの控除を忘れることが目立ちます。2月以降は確定申告するしかありません。

(3)年末調整が間違っていた(税額が少なかった)

控除できないのに配偶者控除や扶養控除をしている場合がこれに該当します。本来は会社が訂正すべきことです。1月末までの場合には「年末調整の再調整」、2月以降は「前年分の源泉所得税の納付漏れ」となります。なお、後者の場合は会社に不納付加算税と延滞税が課税されます。(このケースは、税務調査で指摘されるまで放置されていることが通常です。)

 

 

年末調整の不手際を、「所得税の確定申告」でフォローしなければならないことがあります。

所得税の確定申告につきましては下記のページをご覧ください。

所得税確定申告情報

 

 

≪年末調整・・・論外!!≫2006年12月18日(月)

 

給料を受け取っていないことにしてくれ!!

 

ごくまれに、このような「最悪!!」の要望をする従業員がいます。

 

これは、先日、「≪年末調整・番外(税務署が配偶者や扶養親族の所得を把握するメカニズム)≫2006年12月12日(火)」でお伝えしたことの裏返しです。

 

このような要望をする理由は次のとおりです。

 

●配偶者、親などの確定申告や年末調整で配偶者控除や扶養控除を受けたい

●自分に所得があることが表面化すると都合が悪い(補助金の受取りや公営住宅への入居の要件を満たせない、借金の返済逃れなど)

●正社員として働いている会社に副収入の存在を知られたくない

その他

 

このような要望は絶対に聞いてはいけません。このような従業員は百害あって一利なしです。即刻、解雇すべきです。このような悪事がばれるメカニズムは、下記を丹念にお読みいただけば一目瞭然です。

 

よそはやっているそうじゃないか!?

どれでは、よいお年を!!

来年は大変な年になりますよ。

こちらへどうぞ。

 

こちらもご覧ください。

年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・番外(税務署が配偶者や扶養親族の所得を把握するメカニズム)2006年12月12日(火)

 

配偶者や扶養親族の所得がないことにして(配偶者や扶養親族の所得を会社には知らせずに)年末調整を・・・

 

まれに、このような恐ろしい要望をする従業員がいます。

 

会社は各従業員の年末調整の結果(給与の総額や所得控除など)を、翌年の1月末までに各従業員の住所地の市町村に「給与支払報告書」を提出することにより報告しなければなりません。各市町村が各従業員の住民税(地方税)を計算するために各会社に報告義務を課しているのです。

 

配偶者や扶養親族の所得が税務署に把握されてしまう原因が、この「給与支払報告書」にあることをご理解いただけるかと思います。

 

世の中にはズサンな会社が存在し、上記の「給与支払報告書」を提出していないことがあります。また、明らかな給与所得を事業所得(外注費などの名目)として処理している会社もあります(事業所得の場合には本人が無申告でいればすぐさま所得は表面化しない)。配偶者や扶養親族がこのような会社に勤務している場合には、「所得ゼロ」として違法に配偶者控除や扶養控除を受けることができます。

 

このようなことが高じて、社内に「配偶者や扶養親族の所得はごまかせる」、「あの人がごまかしているのだから」、「だから、自分もそうしてほしい」との空気が蔓延する場合があります。

 

もし、会社が給与支払報告書を提出しなかった場合、配偶者や扶養親族が確定申告していない場合、配偶者や扶養親族の所得が把握されてしまうきっかけは次のとおりです。

●配偶者や扶養親族の勤務する会社に税務調査が行われ源泉徴収漏れ(年末調整の誤り)や無申告の所得が発見される。

●税務署あるいは市町村役場が配偶者や扶養親族に所得がないことを不自然と判断し(当然確かな裏づけを入手します)、配偶者や扶養親族を呼び出す。

 

「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」です!!

源泉徴収は、特定の所得や特定の職業の者からのみ行うという大変腑に落ちない制度かもしれません(とくにサラリーマンにとっては納税=税負担を意識させないという弊害があります)。しかし、法律ですので受け入れるしかありません。

正しく源泉徴収(従業員の場合には年末調整も含めて)をしていなかった場合の後処理ほど大変なことはありません。「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」であると考えておく必要があります。

源泉徴収制度を理解しない人(無視する人)のほとんどは、後でトラブルが起きたときに、もう、貴方の前から姿を消しているでしょう(結局、貴方が泣き寝入りすることになります)。

 

扶養控除等申告書など、年末調整に必要な書類は必ず本人が用意と記入をする!

これがスタートです。不可解な点がある場合には、至急本人にたずねてみることです。

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・番外(2ヶ所以上の会社などから給料をもらっている人の年末調整)2006年11月25日(土)

 

最近、2ヶ所以上の会社などから給料をもらっている人が増加しています。「もらう側」としての「1ヶ所からの給料では生活ができない」「払う側」としての「正社員を採用したくない(固定費を増やしたくない)」あるいは「足りない分は深夜か土日によそで稼いでくれ」という事情が背後にあるのでしょう。   

「ひとつの会社に滅私奉公!」、すっかり過去の話となってしまいました。

 

このような雇用形態の増加に伴い、これに応じた源泉徴収(年末調整)ができておらず、思いもよらないトラブルが「もらう側」と「払う側」の双方に生じているのが実情です。

 

2ヶ所以上から給料をもらっている人の場合、そのうちのひとつを「主たる給与」とし、残りは「従たる給与」としなければなりません。「この区分はどうするのか?」ということですが、一般的には「主たる給与」とはいわゆる本業の給料であり最も勤務時間が長く給料の金額も多い会社からの給料ということになります。そして、税金の手続上大切なのは、「主たる給与」をもらう会社に「扶養控除等申告書」を提出しておくということです。

 

「主たる給与」と「従たる給与」では税金の計算上、次のような違いが出てきます。

 

1 「主たる給与」の毎月の源泉徴収は源泉徴収税額表の「甲欄」で、「従たる給与」は「乙欄」で行います

(源泉徴収税額表につきましては国税庁のサイトをご覧ください。http://www.nta.go.jp/category/pamph/gensen/4117/01.htm

具体例で計算して見ましょう。

●主たる給与の月額が8万円(社会保険料はなし、配偶者や扶養親族はなしとします)

甲欄ですので源泉徴収額はゼロとなります。

●従たる給与の月額8万円

乙欄ですので源泉徴収額は4,800円となります(8万円×6%)。

月額の給料が同じでも従たる給与のほうが税額は多くなります。この理由は次のとおりです。

わが国の所得税はある人の一年間のすべての所得を合計して課税します。ですから、上記の例の人は2ヶ所からの給与を合計して課税されることになります。ちなみに、この人が、8万円+8万円=16万円を1ヶ所からもらっている場合には、毎月の税額は5,880円になります(社会保険料はなし、配偶者や扶養親族はなしとします)。

源泉徴収税額表の乙欄は2ヶ所以上から給料をもらっている人の毎月の源泉徴収税額が過少にならないようにする(確定申告で多額の納税をしなくて済むようにする)ための手段にほかなりません。

 

2 年末調整は主たる給与についてしか行えません

説明は他の部分をお読みください。

 

3 2ヶ所以上から給料をもらっている人は自身で確定申告をしなければなりません

要するに、主たる給与についてしか税額の精算(年末調整)ができていないことから、残る分(従たる給与)を主たる給与と合計して確定申告しなければならないということです。(主たる給与について天引きされた所得税は、最終的な所得税額から差し引くことができます。)

 

《年度途中で転職した人との違い》

一見、2ヶ所以上から給料をもらっている人と同じように思えるかもしれません。しかし、2ヶ所以上から給料をもらっている人が「掛け持ち」であるのに対して、転職した人は一定時点では1ヶ所でしか働いていません。ですから、転職した人の源泉徴収は「甲欄」であるとともに、年末に在籍する会社などで退職した会社などの給料も合計して年末調整をすることになります。

 

《年度途中で退職してから就職していない場合》

その年に在籍したすべての会社などの源泉徴収票を合計して、自身で確定申告しなければなりません。年末調整をしていないため税額の精算ができていないからです。

 

《扶養控除等申告書を2ヶ所以上に提出する?》

不可能です。あさはかです。翌年には給与支払報告書によってばれてしまいます。また、給与支払報告書が提出されていなくても、税務署は税務調査の際に給与台帳(含む従業員の住所などの関連情報)をこまめに収集していますのでばれてしまいます。

 

《従たる給与を乙欄で源泉徴収しなかった場合》

税務署は源泉徴収漏れ(乙欄と甲欄の差額)を指摘します。納税するのは給料を支払った会社です。会社は給料を受け取った従業員に請求します。

 

《乙欄で源泉徴収されなかったので自ら確定申告しておく》

「善後策」だと思います。こうしておけば、後日会社に源泉所得税相当額を請求された場合に、会社に払った後に税務署から還付してもらえるからです。

 

フリーター課税の強化

昨今、しきりに叫ばれています。今後、老若男女を問わず「フリーター的」な人は増加の一途をたどることでしょう。歳出削減や消費税の増税も大切かもしれませんが、「2ヶ所以上の給与」への課税強化(既存の法律に従った課税の徹底!)も大切だと思います。そうでなければまじめな人が損をするばかりです(負担が増える一方です)。また、「複数の会社を掛け持ちして『のらりくらりしている』のが得!」では景気は悪くなる一方です。

 

「ありがたい会社(副収入になる)」、「ありがたい人(必要なときに必要なだけ働いてくれる)」の良好な関係を継続させるためには、上記の扱いを双方が十分に理解しておく必要があります。

 

訳のわからないことをいうな。今までなんの問題もないぞ。

わが社は、わが社の方針を貫く!

こちらへどうぞ。

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・番外(役員、正社員、アルバイト、パート)≫2006年11月25日(土)

 

●役員

●正社員

●アルバイト

●パート

 

世間一般、社内、労働関連法規においては大変重要な区分だと思います。しかし、税(所得税)においてはすべて同じ扱いです。いずれも所得税においては「給与所得」とされます。給与所得であるがゆえに支払時には所得税の「源泉徴収」が必要となります(主たる給与の場合には年末調整が必要です)。

 

《勘定科目との関連》

勘定科目においては次のように区分して処理するのが一般的ですが、税(所得税)における扱いは同じとなります。

◆役員→役員報酬

◆正社員→給料手当

◆アルバイト・パート→給料手当(雑給などを用いることもあります)

 

《給与と賞与》

いずれも給与所得であり源泉徴収や年末調整が必要となります。

 

《派遣社員》

派遣会社から派遣を受けている場合には事情が変わってきます。いわゆる「派遣社員」は派遣会社の社員(正社員、パート、アルバイトなど)であり、そこから給料などを受け取っています。ですから源泉徴収や年末調整をするのは派遣会社ということになります。外形上、派遣社員はパートやアルバイトに近いかもしれませんが、派遣を受けている会社に雇用されているのではありません。

 

《外注》

外部の独立した業者(たとえ専属であっても)であるならば給与所得ではありませんので年末調整の必要はありません。ただし、特定の職業(デザイナーやライターなど)は「報酬料金」としての源泉徴収をして「支払調書」を発行しなければなりません。

 

《試用期間中の給料》

源泉徴収や年末調整が必要となります。

 

 

こちらもご覧ください。

年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・その3(源泉所得税の納付期限)≫2006年11月21日(火)

 

1 源泉所得税の納付期限

来年の1月10日までに納付しなければなりません。また、特別な場合は1月20日まで納期限を延長できます(納期特例事業者で12月20日までに納期延長の申請をしており、かつ12月31日現在でそれまでの源泉所得税の滞納がない場合に限ります)。納付する金額は、12月(納期特例の場合は7月から12月)に源泉徴収した金額から年末調整により還付(超過税額)あるいは追加徴収(不足税額)した税額を加減算した金額です。

 

2 1月10日に源泉所得税の納付が不要の場合

このようなケースもありえます。12月(納期特例の場合は7月から12月)に源泉徴収した金額よりも年末調整による還付が多い場合です。つまり、納付税額がゼロあるいはマイナスとなる場合です。このような場合には納付の必要はありませんが、納付書は税務署に提出する必要があります。(金融機関では納付税額がゼロの納付書は受け付けてくれません。)納付書の提出は1月10日までに行わなければなりません。また、税務署への提出は郵送でも可能ですが、郵送する場合は納付書控(納付書の3枚目。税務署が受付印を押印します)の返送用封筒を同封してください。納付書控の受付印は税務署に対する「対抗要件」であるからです。

【マイナス納付税額の処理】次回以降の納付税額から順次差し引いてゆきます。また、一定の手続により「税務署から還付」を受けることもできます。

 

3 従業員への源泉徴収票の交付

 1月末までに交付しなければなりません。しかし、できる限り早めに交付されることをおすすめいたします(年内最終給与の支払いのときに手渡すのが理想です)。間違いがあった場合、1月末までに「年末調整の再調整」が認められており、再調整を行うには源泉徴収票の早期交付が必要だからです。

【源泉徴収票の用紙】税務署が所定の用紙を交付しています(大阪国税局管内の税務署)が、必ずしもこれを用いる必要はありません。給与計算ソフトのメーカーが提供しているものを用いてもかまいません。税務署が配付している源泉徴収票は4枚複写となっております。1枚は本人交付用、1枚は税務署提出用(給与の金額が500万円以上の者、ただし、役員は150万円以上)、残る2枚は市町村提出用です。

 

4 報酬料金の支払調書

弁護士、公認会計士、司法書士、デザイナー、講師など一定の職業の者に対する報酬の支払いに際しては源泉徴収が必要となります。従業員の給料のように年末調整は必要ありませんが、今年1年間の各人に対する支払総額とそれから徴収した源泉所得税額を総括した「支払調書」の作成と本人への交付が必要です。本人への交付は1月末までですが、源泉徴収票同様に誤りを早期発見すべく、できる限り早めに交付してください。

 

5 源泉所得税の納付ができそうにない

大変困った状況です。なぜならば、源泉所得税は「預かった」税金だからです。すべての源泉徴収義務者は1月末までに、前年1年間に支払った給与と報酬、それから源泉徴収した金額の結果要約表(法定調書合計表)を税務署に提出しなければなりません。源泉所得税の納付ができなくても、これは必ず提出することです。そうでないと、後日税務署から執拗な問い合わせがあります。(税務署員が訪ねてきて、源泉徴収の状況を調べて帰ります。当然、そこで把握された税額を納付しなければなりません。)

 

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・番外(源泉徴収票の電子交付)≫2006年11月7日(火)

 

来年1月1日以降に交付する源泉徴収票から、従来からの紙による交付に代えて電磁的方法により提供(電子交付)することができるようになりました。

既述のとおり源泉徴収票は1月末までに各従業員に交付しなければならず、多くの企業は1月分の給与を支払うとき(通常は1月下旬)に交付しています。しかし、このタイミングでは従業員が年末調整の誤りに気付くのに遅れ、年末調整のやり直し(年末調整の再調整)が可能な1月末に間に合わず、結局個人で確定申告するしかないことになってしまいます。

 

全社員にメールアドレスを割り当てて、「連絡の多くはメール」、「重要文書の保存はPDFファイル」といった企業も多いと思います。そのような場合には是非とも電子交付を活用すべきです。詳しくは、国税庁サイトの下記のページをご覧ください。

 

「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A」

http://www.nta.go.jp/category/pamph/houtei/h18/question.htm

 

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・その2(還付金の財源?)≫2006年11月7日(火)

 

1 超過税額の還付

毎月の源泉徴収で預ったお金は仮の税額にすぎず、年末調整の結果、超過税額(還付)が生じる従業員については、会社から従業員に還付しなければなりません。毎月の源泉徴収税額が10,000円(年間で120,000円を仮の税額として徴収)、超過税額(還付)が15,000円(最終的な年税額は105,000円)とした場合、還付の方法は次のとおりです。なお、いずれの方法も結果(その従業員の最終的な税額)は同じです。

(1)年内最終給与で徴収と還付を行う

給与明細の「控除欄」で、徴収10,000円(プラス記入。控除欄のプラス記入なので支給額からは差し引きとなる)と還付15,000円(マイナス記入。控除欄のマイナス記入なので支給額に加えることになる)の2段記入する。

(2)年内最終給与で還付のみ行う

 給与明細の「控除欄」で、還付5,000円(マイナス記入。徴収10,000円から還付15,000円を差し引いた金額)を記入する。

(3)別途還付する

 年内最終給与では、通常月と同様に10,000円の徴収を行い、還付15,000円は別途手渡す。(従業員にとっては、還付されたという実感が湧く方法です。年内最終出勤日や年初の出勤日に還付するのがよいかもしれません。)

 

2 還付金の財源?

源泉徴収税額は従業員からの「預り金」ですので、還付金は会社が用意しなければなりません(用意できるはずです)。しかし、預かった資金を別途保管していないことも多く、還付金の財源に窮することがあります。強いて財源というならば、来年1月10日までに源泉所得税の納付をする際に、12月(納期特例の場合は7月から12月)徴収税額から「超過税額(還付税額)」を差し引いて納付できるということです。

【預り金の保管方法】定められた方法はありません。しかし、専用の預金口座を開設して、そこに源泉徴収した都度預け入れしておくのがよいと思います。特に納税準備預金でしたら納税以外に引き出すことができませんので、運転資金などへ流用してしまう「誘惑」に負けてしまうこともありません。また、納期特例をやめ、毎月の給与支払のときに(銀行に引き出しにいくときに)、その給与についての源泉所得税を納付するのもよいかもしれません。

 

3 年末調整の期限

実は、来年の1月末まで猶予期間があります。かといって、年明けに年末調整することが「推奨」されているわけではありません。年末調整の諸要素(配偶者や扶養親族の所得など)によっては、年内は未確定のものもあります。そこで、年内は「暫定的数値」に基づき年末調整を行い、1月末までの修正可能期間を設けているのです(年末調整の再調整)。これでも間に合わない場合には、個々人が確定申告をします。

 

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・番外(退職した従業員の源泉徴収票)≫2006年11月2日(木)

 

早く源泉徴収票がほしい!!

 

今年、御社を退職した従業員からこのような催促を受けることがあります。御社を退職し他社に就職した元従業員は、その就職先で年末調整をしなければなりませんが、年末調整に当たり前職分の給与も合算しなければなりません。そこで、御社の源泉徴収票が必要となるのです。

 

 その際の源泉徴収票の書き方はいたって簡単です。御社の給与台帳の金額などをもとに、税務署が配付している源泉徴収票の用紙に次の事項を記入すればよいだけです。(元従業員には受給者交付用を渡します。市町村提出用は廃棄してください。)

●支払を受ける者

●種別 

●支払金額

●源泉徴収税額

●社会保険料等の金額

●中途就・退職年月日

●受給者生年月日

●支払者

なお、摘要には「年末調整未済」と記入します。

 

「給与所得控除後の金額」、「所得控除の額の合計額」、「生命保険料の控除額」などは記入する必要はありません。なぜならば、これらは年末調整の結果として金額が確定するからです。(元従業員の就職先が、そこの給与と合算して年末調整した結果として、そこの源泉徴収票に記入します。)

 

年末調整への取り組みは各会社によって相当違いがあります。「待っていました!」とばかりに、元従業員に源泉徴収票を渡せるようにしなければなりません(退職の際に渡しておくのが賢明です)。

 

「前の会社はいい加減だった・・・」

 

こんなことは避けなければなりません(特に元従業員が同業他社へ就職した場合には注意が必要です)。

 

 

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年末調整の豆知識

 

 

≪年末調整・その1(年末調整のプロセス)≫2006年11月2日(木)

 

今年も年末調整の時期がやってまいりました。年末調整といっても、あまり実感のわかない方も多いと思いますが、「扶養控除等申告書」、「生命保険料証明書」、「税金の還付」などと聞いてようやく昨年を思い出すのではないでしょうか。

年末調整は、給与所得者の税額を確定・精算するという、給与所得者にとっての「確定申告」であるとともに、給与所得者の「公的な所得証明」の発行手続でもあります。

 

1 年末調整の対象となる従業員と必要なデータ

年末調整は、各従業員(役員・アルバイト・パートを含む。以下同じ)の年間給与・賞与総額に対しての所得税額(国税)を計算し、毎月の給与支払時に徴収した源泉所得税の合計額(仮の税額)との精算を行う手続です。なお、年末調整の事務手続を行うのは、源泉徴収義務者として従業員から源泉所得税を徴収した会社です。また、年末調整は年内の最終給与を支払う時に行います。

(1)年末調整の対象となる従業員

扶養控除等申告書を提出しており、年間給与総額が2000万円以下で、年末に在籍する従業員が対象となります。なお、年度途中で採用され年末に在籍する従業員も対象となります。(「少額な給与は年末調整しなくてよい」との迷信があるようですが、法的にそのような扱いは一切認められていません。)

(2)年末調整の基礎データ

各従業員の最終的な年間の所得税額を計算するには、次のデータが必要となります。

●給与台帳(給与明細控え)=給与・賞与総額(年間)、源泉徴収した所得税額(年間)、天引きした社会保険料など(健康保険、年金保険料、介護保険料、雇用保険料)

●扶養控除等申告書=住所、生年月日、配偶者、扶養親族(毎年、年度初めに提出してもらいます。年末までに変動があれば再度提出してもらってください)

●保険料控除申告書=生命保険料、損害保険料、社会保険料(個人的に支払った国民健康保険・国民年金保険料など)

配偶者特別控除申告書=配偶者の所得(保険料控除申告書と同一の用紙)

 

2 源泉徴収した所得税の還付

上記1の結果計算された年間税額と毎月の源泉徴収税額の合計に差額がある場合には、各従業員に還付(超過税額)あるいは各従業員から追加徴収(不足税額)しなければなりません。

(1)還付となる例

一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が増えた場合(途中の給与まで年度末より少ない扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)

(2)追加徴収となる例

一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が減った場合(途中の給与まで年度末より多い扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)

 

3 源泉徴収票

各従業員に対して一年間に「支給した給与・賞与」と「徴収した源泉所得税(年末調整後)」の結果要約表です。おなじみ、A4サイズの1/4の用紙です。年末調整が終了したならば、来年の1月末までに各従業員に交付しなければなりません。源泉徴収票は、各従業員の融資や賃貸住宅への入居申込みなどの際に、必ず提出が求められます。大切に保管しておくよう告げておかなければなりません。

 

4 年末調整の結果報告(各従業員の住所地の市町村への報告)

年末調整はあくまでも「国税」である「所得税」についての手続です。「地方税」である「住民税」については、上記3の源泉徴収票(給与支払報告書)を各従業員の住所地の市町村に提出し(注)、各市町村が計算し会社あるいは各従業員にその税額を通知します。

会社が作成する源泉徴収票は、会社の「内部資料」にすぎません(都合のよいように作成できる)。源泉徴収票は、各市町村に提出されてはじめて「公的証明力」を有することになります。(融資や賃貸住宅への入居申込みの際に、会社が作成した源泉徴収票ではなく市町村発行の所得証明の提出を求められることが増えています。)

(注)最近話題になっている「フリーターへの住民税の課税強化」はこのことです。現行の制度では、年末調整していない(年末に在籍していない)従業員については給与支払報告書を提出する必要はありません。しかし、これでは住民税の課税漏れとなることから、年末調整していない従業員についても給与支払報告書の提出を義務付けるとの方向で検討されています。(本来このような場合には、従業員自らが確定申告しその結果が住民税の計算の基礎となるべきですが、現実にはこれができていません。)

 

 

こちらもご覧ください。

年末調整の豆知識

 

 

今後も、年末調整関連の情報をお伝えしてまいりますので、

引続きご覧いただきますようお願いいたします。

待ち切れない場合には、とりあえず昨年のスポット情報をご覧ください。

 

 

年末調整を理解するには所得税の知識が必要です。

所得税につきましては下記のページをご覧ください。

所得税確定申告情報

(源泉徴収や年末調整に関連する情報も掲載しております。)

来年早々に平成18年用(2007年3月申告用)として更新する予定です。

 

 

通常のスポット情報