(内容)2013年6月14日現在

 

 

一連の仕訳を把握する(会計ソフトの仕訳例に頼りすぎない)

 

複式簿記の知識があまりない人が会計ソフトでよくする間違いが、「一連の仕訳」の最初を忘れて(間違って)、次の仕訳を入力するということです。このような人の共通点は、会計ソフトの「仕訳例」の指示に従って手当たり次第入力しているということです。会計ソフトの「仕訳例」は個々の仕訳しか説明していませんので、一連の仕訳の前段階を忘れていても(間違っていても)気がつかないのです。

 

●給料から徴収した源泉所得税を現金から納付した

仕訳は「預り金/現金」ですが、その前提として給料を支払った際に「預り金の貸方」に計上していなければなりません。また、給料を支払った際の仕訳は正しくても源泉所得税の納付の仕訳が「租税公課/現金」ではいけません。

 

●売掛金を現金で回収した

仕訳は「現金/売掛金」ですが、その前提として「売掛金/売上」という仕訳ができていなければなりません。また、「売掛金/売上」という仕訳はできていても回収の仕訳が「現金/売上」ではいけません。

 

複式簿記では一連の仕訳の全てが正しく行われていなければなりません。そうでなければ残高(貸借対照表項目)や累計額(損益計算書項目)が誤って算出されます。

  

★一連の仕訳を把握する習慣を!

注意しておくしかありません。会計ソフトは「メッセージを表示」してくれません!

 

★一連の仕訳が正しいことの確認

定期的に(できれば日々の入力の都度)、残高(貸借対照表項目)や累計額(損益計算書項目)をチェックするしかありません。

 

 

現金勘定のマイナスを解消させる仕訳

 

現金勘定(紙幣と硬貨)がマイナスということはあり得ませんので、マイナスになっている場合には原因を解明してしかるべき仕訳をしなければなりません。

 

●預金からの引き出しを処理していない

会計ソフトの導入初年度で、まずは経費の現金払いを入力した場合には現金勘定がマイナスになります。次は預金勘定を入力し、預金から引き出した分(紙幣と硬貨にした分)を現金勘定で受け入れます。

 

●経費の二重記帳

経費の二重記帳をしている場合も現金勘定がマイナスになります。例えば、「領収書だけでなくその領収書の請求書も入力している」「預金口座から支払った分も現金勘定で処理している」などの場合です。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります)。

 

●社長の個人出費の混入(社長個人の財布で支払った出費)

会社の現金から支払っていないのですから、これが会社の経理に混入してしまうと帳簿上の出金が過大になり現金勘定がマイナスになってしまいます。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります。)

 

●社長からの借入金

会社の資金が不足する際に、社長個人の資金から会社に入金した処理ができていない場合には現金勘定がマイナスになります。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります。)

 

●現金での売上代金回収の記帳漏れ

売上代金を現金で回収した処理をしていない場合も現金勘定はマイナスになります。また、現金を通っていない現金回収を預金に預け入れる処理をしてはいるけれども、その相手勘定を現金にしている場合もマイナスになります。(いずれも、必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります)

  

★現金と預金を区別する理由

複式簿記では現金と預金を区別します。性質も違い管理の区分も違うからです。複式簿記では、性質と管理区分が同じものを勘定科目(補助科目)として分類するのです。

 

 

預金の出し入れの経理処理(仕訳と記帳)

 

簡単なようで難しいのが預金取引の経理処理(仕訳と記帳)です。特に、預金の出し入れ(窓口やATMでの現金の入出金)の処理は間違ったり忘れたりすることが多いです。

 

●預金から現金を引き出した

 とりあえず現金勘定で受け入れておきます。そうでないと預金勘定が合わないからです。その後の動きは現金勘定で記帳します。

 

●預金に現金を預けた

 この処理が難しいです。相手勘定は現金かもしれませんが、いまだ現金として受け入れ処理していないもの(例えば売上代金の現金回収)がある場合には現金で受け入れることはできません。

 

●預金間の移動

 この処理を忘れがちです。預金は預金口座ごとに記帳しますので、預金間で移動があった場合も記帳が必要なのです。

  

★二重仕訳に注意!

 

預金取引に関して注意をしなければならないのは二重仕訳です。二重仕訳とは、同一取引を二重に仕訳してしまうことです。例えば、上記の「預金から現金を引き出した」の場合、この取引を預金(通帳の動き)と現金(紙幣や硬貨が動いた事実)の両方で認識して二重に処理をしてしまうというケースです。このような取引については、いずれから認識するかをあらかじめ決めておかないといけません。

 

二重仕訳をしてしまった場合、預金残、現金残とも間違った数値になってしまいます。「預金から現金を引き出した」でいえば、預金は実際よりも少なく(引出額相当)、現金は実際よりも多く(同じく引出額相当)なってしまいます。

 

★「預金を合わす」ということの意味

 

経理の世界では当たり前のように使われる言葉です。預金通帳の「全ての行」を仕訳して、結果として特定日の預金通帳の「残高」と帳簿(総勘定元帳、預金出納帳)の「残高」を一致させるという意味です。

 

当り前かもしれません。しかし、上記の「二重仕訳」が生じた場合にはパニック状態に陥ります。「どの仕訳が重複しているのか?」「仕訳を取り消す方法?」「会計ソフトのバグでは?」「仕訳を消すのが怖い!」となり、どうすればよいのかわからなくなります。

 

 

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