(内容)2013年6月14日現在

 

 

会社の経理と法律

 

会社が行っている経理(会計)には次のような法律が背後にあり、それに従って経理を行う必要があります。

 

●会社法431条・432条・435条など

 会社法とは会社の設立・運営(株主総会、取締役など)・資金調達(株式や社債の発行など)などに関する事項を定めた法律です。その中で決算や記帳に関しての規定を置いています。会社に決算や記帳が必要なのは、株主への配当や債権者との利害調整をするには会社運営に関する諸数値が必要不可欠であるからです。

 

●法人税法22条など

 法人税とは会社などの法人の所得に課税される税金で、その納税義務者や課税方法などは法人税法で定められています。法人税法では、法人税は上記会社法で定める経理方法で計算した利益に課税するとしています。あらゆる税金は世の中における事象や物などを課税の対象としていますが、法人税は会社の活動の結果獲得した利益を課税の対象としているのです。

 

上記の条文は下記の法務省のサイトで読むことができます。

 

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

 

いずれの条文も専門用語が用いられていますが、全く意味不明ということはありませんので、ご一読をおすすめいたします。

  

★法律で経理の全てを定めることはできない

 経理は会社のあらゆる行動の内金銭で測れるものを対象としていることから、それらのパターンは無限に考えられます。ですから、法律で全てを定めることはできないのです。だからといって、法律に定めがない場合には「自身に都合のよいように好き勝手にしてよい」という訳ではありません。「法律の趣旨」「社会正義」「慣習」「常識」などから総合的に判断しなければならないのです。

 

★まずは法律が要求する事項(事務手続)とそのスケジュールを認識する

 これが大切です。事業年度終了後2か月以内に法人税の申告はしなければなりません。法人税は利益に課税されますので、利益を計算するための決算を済ませなければなりません。この決算を確定するのは株主総会です。

 

 

簿記会計のどこでつまずくのか?

 

簿記会計を苦手とする人は多いです。特に必要に迫られて習得しなければならない人にとっては苦痛でしかありません。簿記会計でつまずく局面はいくつかあり、その局面ごとに疑問点をクリアーしていく必要があります。

 

●記録の対象

 

仕訳(借方と貸方)よりも、これでつまずく人のほうが圧倒的に多いように思います。簿記とは帳簿に記録(記帳)をする技術ですので、まずは記録の対象を明確に理解しておく必要があります。記録の対象となるのは企業(会社や個人事業者など)の資金の動きです。これを記録することによって、一定期間の資金の増減や一定時点の資金の残高を把握するのが簿記の目的です。

 

特につまずくのが「企業」の資金です。ここでは企業を会社や個人事業者などの営利企業と考えます。そうすると資金の動きは、「買う(仕入れる、経費を使うなど)」「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」といった具合に分類できます。記録の対象はこれら全てです。

 

●記録する視点(立場)

 

これも常に気をつけておく必要があります。企業の記録ですので、「買う(仕入れる、経費を使うなど)」「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」も企業の視点から把握しなければなりません。記録の対象となる企業にとって「買う」はその相手先にとっては「売る」ですが、その企業の記録上は「買う」として把握しなければなりません。「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」も同じように考えます。

 

●発生主義という概念

 

資金が動いていないのに記録をしなければならない場合が多々あります。これを「発生主義」といいます。簿記の重要な目的のひとつは正確で理論的な利益の計算をすることにあります。利益は収益マイナス費用として計算されますが、利益計算は一定期間で行いますので資金の動きを待ってから記録していると正確な利益計算はできない場合もあります。

 

例えば、代金は支払い済みの商品(すでに費用としての記録をしている)を販売したけれども、販売代金が未回収だからといって収益としての記録をしないとすれば正確な利益計算とはなりません(収益と費用が対応しません)。

 

●仕訳(借方と貸方)

 

そうはいっても、これが最大の難関です。

 

複式簿記の最終目的は、損益計算書(利益=収益−費用)と貸借対照表(資産=負債+資本)を作成することですので、個々の取引(資金の動き)を「収益」「費用」「資産」「負債」「資本」の各項目(勘定科目)分類し集計しなければならないのです。

 

●「願望」が邪魔をする

 

簿記会計を習得しなければならない人の中には、具体的な目的がすでにある人もいると思います。節税をしたい(利益を減らす方法を知りたい)、金融機関からの融資の引出しを有利に進めたい。簿記会計の知識がゼロの人が、短期間でこの域になるのは不可能です。あせらずに、純粋な気持ちで学んでください。

 

 

帳簿の種類(事業活動との関連、帳簿の相互関連)

 

事業者(会社および個人事業者)が最低限揃えなければならない帳簿は次のとおりです(帳簿の名称は弥生会計13によっています)。

 

売掛帳

買掛帳

現金出納帳

預金出納帳

仕訳日記帳(振替伝票、入金伝票、出金伝票)

総勘定元帳(補助元帳)

 

事業活動の結果として貨幣で測定された事象の「全て」はこれらの帳簿のどこかに記録されます。そして、その記録が決算書(貸借対照表と損益計算書)の基礎データとなるのです。

 

●売掛帳

販売の記録です。「いつ」「だれに」「何を」「いくらで」売り、代金を「いつ」回収したかを記録する帳簿です。

 

●買掛帳

仕入の記録です。「いつ」「だれから」「何を」「いくらで」買い、代金を「いつ」支払ったかを記録する帳簿です。

 

●現金出納帳

事業上保有している現金(硬貨と紙幣)の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。事業活動の結果の多くは現金の動きとして表れますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。

 

●預金出納帳

金融機関に開設している預金口座の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。現代社会において預金口座を利用しない事業などまずはありません。事業活動の結果である貨幣の動きのほとんどは預金口座で生じますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。

 

●仕訳日記帳(振替伝票、入金伝票、出金伝票)

日々の取引(現金や預金の増減など)を発生順にすべて記録する帳簿をいいます。なお、帳簿形式ではなく振替伝票、入金伝票、出金伝票の綴りを仕訳日記帳として用いる場合もあります。

 

●総勘定元帳(補助元帳)

勘定(勘定科目)とは、個々の取引(現金や預金の増減など)をその性質によって分類する単位のことです。総勘定元帳はその単位ごとの帳簿です。なお、総勘定元帳をさらに細分化したものを補助元帳といいます。

  

★事業活動との関連

仕入れる(買掛帳)、売る(売掛帳)、資金を動かす(現金出納帳と預金出納帳)といった具合に、事業活動の結果のうち貨幣で測定される事象の全てが記録されることになります。

 

★各帳簿の相互関連

各帳簿は相互に関連します。例えば、売掛帳の「代金をいつ回収したか」は現金出納帳や預金出納帳の増加の記録と関連(一致)します。また、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、預金出納帳の個々の記録は、必ず仕訳日記帳と総勘定元帳にも記録されています。

 

★作成に複式簿記の知識を要する帳簿

仕訳日記帳と総勘定元帳は複式簿記の知識がなければ(あるいは複式簿記に精通した人の指導がなければ)作成することはできません。 

 

 

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