(内容)2014年6月13日現在

会社に対する課税の概略を説明してほしい 

 

■法人税

 

会社が儲ければ、法人税(国税)、事業税(都道府県税)、都道府県民税、市町村民税が課税されます(ここでは、まとめて法人税といいます)。ここでの「儲け」とは「利益」のことです。利益は「収益−費用」として計算されます。利益が多い会社のことを儲かっている会社といいます。要するに、儲かっている会社は法人税をたくさん納めなければならないのです。会社は自ら利益を計算しなければなりません。この計算作業は決算と呼ばれ、事業年度という1年ごとの単位で行います。結果として法人税を申告して納めるのも1年ごとになります。このように、自ら税額を計算して申告することを申告納税制度といいます。

 

この法人税は、会社(法人)に固有の課税制度です。しかし、利益の生じていない(いわゆる赤字の)会社も多く、法人税を納税していない会社もあります。なお、法人税の申告は納税額がゼロでも必要です。また、法人税の申告手続には簿記会計や税法の専門知識が必要であることから、多くの会社(法人)は申告手続の専門家である税理士(会計事務所)に手続の代行を依頼しているのが実情です。

 

【利益と収支の違い】

利益と収支の違いに「悩む」経営者は多いです。利益とは「収益−費用」で、収支とは一定期間の「入金−出金」です。理解しやすいのは収支でしょう。収益や費用は簿記会計の特殊な概念で、その典型が「入金はまだでも売上(収益)を計上する売掛金」、「機械や車両などの購入費用を複数の年度に分割して費用として計上する減価償却」などです。収支は悪いのに(入金−出金はマイナスなのに)利益はプラスになることがあります。それでも、法人税を納税しなければなりませんので大変辛いです。

「利益と収支の違い」、会社を設立した以上は受け入れるしかありません。「わからない」「くだらない」「屁理屈だ!」といってヘソを曲げていても、「税務署」「経理担当者」「会計事務所(税理士)」との衝突が永久に続くだけです。

 

【利益と所得の違い】

法人税は利益に課税されますが、厳密には利益に調整を加えた所得に課税されます。例えば、利益の計算では費用になる「寄附金」や「交際費」は、税務申告においては費用から一定額を除かなければなりません。「法人税が課税される所得=利益+接待交際費や寄附金」となるのです。

 

【赤字の繰越し】

法人税は事業年度ごとに課税されますが、過去の事業年度において生じた赤字がある場合には、その赤字を差し引いて課税される所得を計算することができます(欠損金の繰越控除)。また、赤字の事業年度の場合、その赤字を過去の事業年度の黒字から差し引いて、過去に納税した法人税の還付を受ける(税金も戻してもらう)ことができます(欠損金の繰戻しによる還付)。

 

【税務調査】

法人税が申告制であるがゆえに、会社が不正、違法な申告を行うことがあります。これを国家権力によって正すのが税務調査です。

 

会社が納める税金はこれだけではありません。

 

■消費税

 

会社は消費税(国税および地方税)を納めなければなりません。会社は販売の際に消費税を受け取り、仕入や諸経費を支払う際に消費税を支払います。会社が税務署に納める消費税は、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた額です。消費税は全ての会社が納めなければならないのではなく、売上規模と設立後の年数によって納税義務が免除される場合があります。なお、消費税も法人税と同様、原則として事業年度ごとに自ら計算して申告と納税を行います(それゆえに税務調査もあります)。

 

消費税は、広く公平に一般の消費を対象に課税する「間接税」であるといわれています。間接税とは税の負担者と納税義務者が異なる税をいいます。販売する事業者は本体価格(消費税を上乗せする前の価格)と消費税を区分して代金を受け取り、消費税は客(個人あるいは事業者)の負担となっています。しかし、これは、あくまでも理論上において客への負担(転嫁)が「予定」されているにすぎず、形式上は客への負担がなされているようでも、実際は販売する事業者の負担となっていることもあります。「消費税を取るならもう少し安くしてくれ」などの会話は、このことを物語っています。これが、消費税の「納税」に苦労する会社が出る理由なのです。

 

【税務署に納める消費税の計算】

法人税の課税の対象である利益の計算と並行して行います。受け取った消費税は売上をはじめとする収益から計算します。(収益を消費税込で把握している場合には収益の8(消費税率)/108(税込価格)となります。) 支払った消費税は仕入をはじめとする費用から計算します。(費用を消費税込で把握している場合には、集計した費用合計の8/108となります。)ただし、すべての収益と費用が消費税の課税対象となるわけではないので対象外の収益や費用は除外しておく必要があります(例えば、給料や利息には消費税は課税されません)。また、収益や費用以外にも消費税の課税対象となるものがあるので注意が必要です(例えば、設備投資に際しては消費税を支払いますが設備投資の全額が費用とはなりません)。

 

【赤字と消費税】

赤字とは収益−費用、つまり利益がマイナスの状態をいいます。赤字でも消費税を納税しなければならないことが普通です。納税する消費税は、「受け取った消費税−支払った消費税」となります。受け取った消費税の大部分は収益から計算できます。しかし、支払った消費税は費用の一部からの計算ということになるからです(費用の多くを占める役員報酬、従業員給与、支払利息は消費税の対象外です)。

 

【消費税が還付される】

「多額の設備投資をした」、「大幅な業績不振」の場合には「支払った消費税」が「受け取った消費税」を上回ることもあるので、その上回る部分が還付されます(税務署から税金を戻してもらえます)。また、輸出業の場合には販売に際しては消費税を受け取っていません(輸出免税)。しかし、仕入れる際には消費税を支払っていますのでその分の消費税は差し引けます。輸出専業の場合には支払った消費税の全額が還付されます。

 

■源泉徴収

 

会社には源泉徴収義務というものがあります。この義務は、会社がその役員や従業員に給与(給料、賞与など)を支払う際に所得税(国税)を源泉徴収し(天引きし)、それを税務署に納めるというものです。なお、源泉徴収同様、役員や従業員の住民税(都道府県民税と市町村民税)も天引きし市町村役所に納めなければなりません(都道府県民税も市町村役所に納める)。

 

源泉徴収は特定の所得や職業の者からのみ行うという、大変腑に落ちない制度かもしれません(とくにサラリーマンにとっては納税=税負担を意識させないという弊害があります)。しかし、法律ですので受け入れるしかありません。源泉徴収をしていなかった場合の後処理ほど大変なことはありません。「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」であると考えておく必要があります。源泉徴収制度を理解しない人(無視する人)のほとんどは、後でトラブルが起きたときに、もう、貴方の前から姿を消しているでしょう。結局、貴方が「泣き寝入り」することになるのです!

 

【税金を預るということの意味】

源泉徴収というのは、給料などを支払う者が、支払いの際に支払額から一定額を差し引いて、その差し引いた税額(預かった税金)を税務署に納付するものです。源泉徴収義務者(支払う者)には事務手数が生じますが、資金的な負担は生じません。

 

【入金もないのに?】

「給料の総額100−源泉徴収税額5=給料の支払い95」であれば、多くの源泉徴収義務者の認識は「今月の給料は95」であり、「5(源泉徴収税額)は預っている税金=いずれ税務署に納めなければならない」という認識ができないものです。そこで、「100支払って直ちに5預った(5は税務署に納めなければならない)」と考えるのです。そして、理想はこの5を別途保管しておくということです。

 

■固定資産税、自動車税、印紙税

 

これらは個人(すべての個人)と同じです。会社として不動産を所有していれば固定資産税が、自動車を所有していれば自動車税が、一定の契約書を作成すれば印紙税が、それぞれ課税されます。

 

★儲かるまで税金のことは考える必要はない?

儲かっていない場合、法人税は課税されないかもしれません。しかし、それ以外は儲けとは関係ありません。

 

★申告納税制度(自主性が求められます)

サラリーマン時代、所得税は勤務先から源泉徴収されそれ以外の固定資産税などは役所から通知が来ていたことでしょう。しかし、起業すればそうはいきません。「知らなかった」、「(役所から)連絡がなかった」は通用しないのです。

 

★税務調査

申告納税制度を採用する法人税と所得税、会社に源泉徴収義務がある源泉所得税に関しては、ともすれば不正や違法行為が行われます。それを正すために税務調査が行われるのです。

 

 

小規模事業者に必要な会計や経理の知識

 

大変多い質問です。「どのような本を読めばよいのか?」、「会計ソフトは導入すべきか?」、「簿記会計の勉強をすれば儲かるのか(節税できるのか)?」、「簿記の検定試験に合格する必要はあるのか?」、「経理や決算申告は会計事務所(税理士)に頼む必要はあるのか?」といった具合です。

 

答えは何通りもありますが、答えは「自身が目指している事業内容と規模、そして経営者像(経営観)」、「自身の適性や能力」によって違ってきます。

 

■一生、零細企業のまま・・・

 

夢がありませんね・・・。しかし、零細企業にしかできない商品やサービスを提供するのも大切なことです。また、大企業の真似事や単なる規模の拡大だけでは限界があります。

 

零細企業の場合、事業の実態を把握するための特別な会計や経理の知識(複式簿記つまり仕訳ができる能力)は不要でしょう。「常識的な方法=算数」で事業の実態が把握できるからです。しかし、税務署への申告には専門知識が必要です。これをどうするかが問題になりますが、自身で行うにはそれなりの「適性と手間(努力・苦痛)」が、税理士などに依頼する場合には「費用」が必要となります。

 

■事業を拡大させたい

 

会計や経理の知識は「必須」です。それなりの規模の企業の経営者が自社の状況を数字で把握していないようではどうにもなりません。企業の規模が拡大すると隅々まで目が届かなくなり、経営に関する諸数値で経営状況を把握するという方法によらなければなりません。「○○(経理担当者や税理士)に任せてあるので私は知らない」は許されません。しかし、会計や経理の勉強ばかりをしているわけにもいきません。経営あるいは組織という観点から会計や経理の位置づけや役割を明確にし、法的な要件(会社法や税法など)をクリアーすることは当然として、戦略的な(経営状況の把握や意思決定に役立つ)経理システムや体制を構築しなければなりません。

 

「誰に任せるか」も大変重要になってきますが、この件については適任者を選別する「眼力」が必要となります。会計や経理には「横領」「脱税」「粉飾決算」という不正あるいは違法な行為が付き物だからです。なお、事業規模を拡大するならば「税理士頼り」から脱却し自社で経理担当者を育成しなければなりません。税理士は、自社で経理処理や税務申告ができない中小零細企業が主な顧客層だからです。

 

 

会社と個人事業者の税金の違い(個人事業は記帳や申告手続が楽?)

 

「個人事業は記帳や申告手続が楽?」、ある意味で正しいかもしれません。なぜならば個人事業者の場合、貸借対照表の作成が義務付けられていないからです(白色申告の場合)。なお、個人事業者の場合は税務署と「交渉」し推計値で税金が決まる(面倒な記帳は不要)ということが迷信的に信じられています。はるか昔そんな時代もあったそうですが、現在はそんな方法では税務署から大目玉を食らいます。

 

会社も個人事業者も帳簿の作成の方法は同様とお考えください。ただし、算出する利益(概ね所得)の捉え方が大きく異なります。 

 

【会社の場合】 

利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に役員給与=経営者取り分含む) 

利益には「法人税」が、役員給与には「所得税(給与所得からの源泉徴収)」が課税されます。

  

【個人事業者の場合】 

利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に経営者取り分含まず)  

利益=事業所得に「所得税(確定申告が必要)」が課税されます。

 

個人事業者が経営者取り分(事業主)を引き出した場合、「事業主貸勘定」という「資産勘定」で処理し費用(必要経費)に含めません。以上からして、個人事業者での赤字(事業所得がマイナス)は相当業績が悪いということで、事業主の取り分がゼロあるいはマイナス(蓄えの取り崩し)ということです。 よく、「よそも赤字(おそらく法人と考えられます)で申告しているのだから、うちも赤字で申告する」とおっしゃる方がいます。そのような方のほとんどが、事業主の取り分を差し引いて事業所得を把握されています。よくある間違いです。

 

 

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