築山公認会計士事務所(大阪市北区与力町1−5与力町パークビル7F)


最近の話題(2)


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会社法の現代語化

今回も、会社法関連の話題をお伝えさせていただきます。
法制審議会が、会社法の現代語化に取り組んでいます。現行の会社法は、「片仮名文語体」
ですが、これを「平仮名口語体化」することが予定されています。(民法など、戦前からある法
律の多くは片仮名文語体となっています。)

(1)第200条1項
株主ノ責任ハ其ノ有スル株式ノ引受価額ヲ限度トス
(2)第204条1項
株式ハ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得
(3)第230条ノ10
総会ハ本法又ハ定款ニ定ムル事項ニ限リ決議ヲ為スコトヲ得
(4)260条
取締役会ハ会社ノ業務執行ヲ決シ取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス

(1)は、株式会社の出資者である株主は、会社が倒産しても当初の出資金額を上限として、
それを失うことによって責任を負えばよいということ(有限責任)、(2)は、株主はその持分を自
由に譲渡できること(投下資金を回収する、会社から離脱するなどのため)、(3)は、株主の合
議体である株主総会は、最高意思決定機関として定款や会社法に定めのある会社にとっての
基本的重要事項についてのみ決議できる(所有と経営の分離)、(4)は、株主総会で選任され
た取締役が取締役会を構成し、取締役会が会社の運営方針を決定し、職務を執行する取締
役(通常は代表取締役である社長)の監督をする?(会社勤めをしている人で、この意味が理
解できる人はほとんどいないと思います。多くの人にはしらけて聞こえるでしょう)、ということで
す。

「慣れれば」、「ルールだから」といってしまえばそれまでですが、現行会社法の条文は読む気
にもなりません。資本主義社会の原動力である会社の重要な「プログラム」がこれでは、各会
社は何を指針に行動してよいのか分かりません。
法制審議会は、会社法の現代語化とともに、実質的なしかも大掛かりな改正を検討していま
す。読みやすく、利用しやすくなった会社法が一般人からも親しまれ、よりよき会社運営ひいて
は景気浮上のきっかけとなることを期待したいものです。

法制審議会会社法部会
http://www.moj.go.jp/SHINGI/031008-1.html

2003年12月12日
公認会計士 築山 哲


最低資本金

法制審議会が、会社法(商法の会社に関する規定)の改正作業を進めています。その中で、
最低資本金制度の見直し(最低金額の引き下げ、あるいは撤廃)が検討されています。

「資本金」とは、出資者(株主)が会社に提供した資金であり、有限責任である株式会社や有限
会社においては、債権者保護の観点から出資金額(資本金)相当の財産を維持充実すること
が必要となります。(安易な会社設立による役所の事務負担増大の防止も、最低資本金制度
の目的のひとつです。)
「資本金」は、いわば過去形です。つまり、設立時にいくら出資があったかを表しているにすぎ
ません(設立後に増資が行われ資本金が増えることもあります)。

会計における資本は、一定時点における「資産−負債」で、それは「会社の正味財産=出資
者(株主)の持分=出資者(株主)の投下資金と獲得した果実の合計」にほかなりません。設立
当初は、「資本=資本金」という関係にありますが、会社が活動するにつれて両者は乖離して
ゆきます。会社の活動は資産と負債を変動させ、結果としてその差額である資本が変動する
からです。一方、歴史的事実である「資本金」は不変です(法定の厳格な手続によらなければ、
資本金は減額できません)。
決算書において、資本金と資本は、「資本=資本金+(−)累積利益(損失)」という関係になり
ます。当然、資本>資本金、あるいは資本<資本金になることはあります。また、資本がマイ
ナスとなることもあります(いわゆる債務超過)。

会社法は、資本>資本金、つまり累積利益がある場合でないと配当を認めませんが、それ以
外は特殊な場合を除いて規制はありません。つまり、当初の出資金額(資本金)をすべて使い
果たしていようが、法的に会社の存在は認められるのです。

(1)事業の才覚はあるけれども資本がない者
(2)資本はあるけれども自らは事業を行う意思のない者

会社は、両者を結びつける大変優れた仕組みです。
単に最低資本金というハードルを下げ、会社を量産するのではなく、「会社という仕組み」を活
用していく風土を育むことが、なによりも大切なのではないでしょうか。
会社法は、そのよき「指針」であって欲しいものです。

法制審議会会社法部会
http://www.moj.go.jp/SHINGI/030917-1.html

2003年11月5日
公認会計士 築山 哲


電子申告

いよいよ2004年2月から、名古屋国税局管内の税務署で行われることになりました。開始当
初は、平成15年分の所得税の確定申告に限定されるようですが、順次、税目や対象書類を
拡大させていく模様です。(当然、他の国税局管内の税務署でも順次開始されます。)
すっかりネットも普及し、ネットによる銀行口座や株式売買取引、商品購入など、今や常識とな
りつつあります。しかし、電子申告のスタートは今ひとつ盛り上がり(?)にかけます。その理由
は様々でしょうが、次のようなことが考えられます。

(1)税務上の特典がない
一定の帳簿の作成が必要な青色申告、膨大な資料の用意が必要な各種特例など、税務上、
選択適用が認められる方法には、「成果(税務上の特典)>犠牲(税務上必要な手続きなど)」
という関係があることが通常です。しかし、電子申告には一切の特典はありません。(電子申
告を利用するには、電子証明書の取得などの手続きが必要です。)
(2)利用頻度が低い
電子申告は、ペーパーレス化や税務署への往復が不要になるなど、業務の効率化を実現しま
す。しかし、所詮は年に一度(中間申告や各種申請があるとしても年に数度)の業務を効率化
させるにすぎません。
(3)今後も申告はネットでなくともできる
電子申告は強制ではありません。今後も、従来どおり税務署の窓口、郵送で申告書は提出で
きます。
(4)接続したくない相手(?)
ネットでのトラブル(データが漏れる、盗まれるなど)が頻発しています。税務署と好んで付き合
いたい納税者など皆無で、下手にネット接続などしたくないと考えるのは当然です。

ネット社会の普及が、我々の生活にもたらした影響と恩恵は計り知れないものがあります。「電
子申告は税務行政の効率化が第一目的(納税者が協力させられる)」との醒めた意見がある
のも事実です。しかし、納税者の選択手段が増えたこと、税務行政がネットに取り組んでいるこ
とは歓迎すべきではないでしょうか。(実際、国税庁・国税局のホームページの内容や利便性
は素晴らしいと思います。中途半端な税理士に相談するよりも、よほど有意義です。)

もっとも、税収が低迷する中、電子申告に政府としての「費用対効果」がどの程度あるのかが
気になります・・・・・。

電子申告の詳細については、下記の国税庁のページをご覧ください。
http://www.e-tax.nta.go.jp/index.html

2003年10月1日
公認会計士 築山 哲


給与所得控除

平成15年度改正税法が施行されたのも束の間、世間では今後の税制について様々な議論が
交わされています。その中で給与所得(サラリーマンや会社役員などの給料)算出に当たって
の「給与所得控除」の是非やあるべき金額が取り上げられていることがあります。

給与所得の金額は、収入金額から給与所得控除額を差引いた残額とされています。給与所
得控除が認められる理由は様々ですが、一般的には次のように説明されています。
(1)必要経費の概算控除
サラリーマンも給料を得るために経費を支出していることによります。
(2)担税力の調整
給与所得は勤労所得であり他の所得より担税力が低いと考えられます。
(3)捕捉率の是正
サラリーマンの給料は、他の所得に比べて税務署から正確に把握されていることが通常で、そ
れとの調整が必要となります。
(4)金利の調整
源泉徴収による早期納税による金利部分を調整しなければなりません。

上記の説明は、いずれも一理あると思います。しかし、問題は現行の給与所得控除が概算値
によっていることです。給与所得に限らず税額計算過程の多くで概算値が用いられますが、そ
れを用いるのは、実績値を計算するのにあまりにも手間がかかる、あるいは不可能に近い場
合に限られなければなりません。そして、概算値は合理的な数値でなければなりません。
現行の給与所得控除、はたしてどうなのでしょうか・・・・・。

2003年9月2日
公認会計士 築山 哲


阪神タイガース

いよいよ18年ぶりの優勝が濃厚となってきました。低迷が続く関西経済にとっては久々の明る
い出来事です。そこで、いつも話題になるのが優勝による経済効果です。経済効果を予測する
には、まずはなによりも「阪神タイガース株式会社」という「企業」を知らなければなりません。
周知のように阪神タイガース株式会社は東証一部上場企業である「阪神電気鉄道株式会社」
の子会社です。上場企業の場合にはその決算内容の一般への公表が義務付けられており、
「有価証券報告書」で決算内容を容易に知ることができます。

(1)阪神電気鉄道は優良企業(?)です。(第一部【企業情報】第1【企業の概況】1【主要な経
営指標等の推移】(1)連結経営指標等より)
多くの日本企業がリストラに躍起になっています。しかし、阪神電鉄はここ5期間において経常
利益、当期利益ともに黒字です。2003年3月期は経常利益、当期利益ともに前年を上回って
います。
(2)阪神タイガース株式会社は阪神電気鉄道株式会社の100%出資の子会社です。(同上4
【関係会社の状況】より)
上場企業は親会社を中心とした企業集団全体の決算書、つまり連結財務諸表の作成をしなけ
ればなりません。規模的に重要性のない子会社は連結財務諸表作成の際に除外することが
できますが、阪神タイガースは連結財務諸表作成の対象に含められています(阪神百貨店、
ホテル阪神も連結の対象です)。
(3)球団経営はレジャー・サービス事業の一環です。(第一部【企業情報】第2【事業の状況】1
【業績等の概況】および第5【経理の状況】(1)【連結財務諸表等】【事業の種類別セグメント情
報】より)
「阪神電鉄グループ」は6種類の事業を行っています。「運輸」、「流通」、「不動産」、「建設」、
「レジャー・サービス」、「その他」です。それぞれの2003年3月期の売上高と営業利益は、運
輸(539億円、40億円)、流通(1192、23)、不動産(354、84)、建設(363、1)、レジャ
ー・サービス(435、16)、その他(253、11)となっています。
(4)球団経営が属するレジャー・サービス事業には、遊園地、ホテル、飲食業も含まれていま
す。(同上)
球団経営がレジャー・サービス事業の中でどの程度のウエイトを占めるかは定かではありませ
ん。会社は2003年3月期の業績について次のようにコメントしています。
「ホテル業が・・・・・減収となった。しかしながら、スポーツ業が、阪神タイガースの公式戦前半
の健闘等により・・・・大幅な増収となり・・・・」
(5)甲子園球場の土地の簿価は800万円です。(第一部【企業情報】第3【設備の状況】より)
簿価は昭和20年代の地価によっていると推測されます。不動産の含み損とは無縁です。しか
し、それにしても800万円の土地で、伝統の巨人阪神戦や高校野球が繰り広げられていると
思うと滑稽です。(もっとも、事業としては効率的ですが。)
(6)選手と監督は簿外資産(?)
人は資産計上されません(従業員も同じです)。入団契約金や年俸の一部分は資産計上され
ているでしょうが、退職金が負債計上(退職給付引当金)されている従業員に対して、選手や
監督はお気の毒です。(やはりプロ野球界は厳しい世界です。)

阪神タイガースの優勝は、間違いなく「阪神電鉄グループ」に経済効果をもたらすでしょう。しか
し、関西経済への波及効果は未知数ではないでしょうか。
「阪神が調子のいいうちはあきませんわ。みんな阪神に夢中で全然来てくれまへん」
商店、飲食店などの「ぼやき」が聞えています・・・・・。
「優勝して選手の年俸が上がると・・・・」ではなく、「優勝がさらなる収益を生む『経営』」を会社
にはしてもらいたいものです。そのことが、低迷する関西経済に夢と自信と活力を取り戻すの
ではないでしょうか。

「儲かってまっか!」
すっかり死語となってしまった大阪商人のあいさつ代わりの言葉。
復活してほしいものです。

《有価証券報告書》
証券取引所で閲覧することができます。(ダイエー、オリックス、近鉄、ヤクルト、日本ハム、西
武のものも閲覧できます。)また、政府刊行物販売所では有価証券報告書総攬(内容は証券
取引所で閲覧できるものと同じ)を販売しています。
《EDINET》http://info.edinet.go.jp/InfoDisclosure/main.htm
「証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことです。
金融庁が行政サービスの一環としてネット上で有価証券報告書を提供しています。(全ての上
場企業の有価証券報告書が閲覧できるわけではありません。)

2003年8月1日
公認会計士 築山 哲


中小企業と会社法制

今回も中小企業庁関連の情報です。
先般、中小企業庁の中小企業政策審議会企業制度部会は、「中小企業政策の視点からの新
しい会社法制のあり方について」と題する報告書を作成しました。報告書は中小企業へのアン
ケートの結果に基づいており大変説得力があります。報告書は、現行の会社法制が中小企業
にとって、いかに「形骸化」し、かつ「負担」となっているかを浮き彫りにしています。
実際に、最近では「(定期的・形式的な役員変更の)登記費用がもったいない」、「役員がそろ
わない」などの愚痴をこぼし、「無登記?」にしておく、最悪の場合には「個人成り」する中小企
業が続出しています。また、最低資本金をはじめとした障壁の高さから、起業を断念することも
決して珍しくはありません。
わが国の会社の多くは、「節税」と「世間体(取引上仕方なく)」を理由として設立されたもので
す。しかし、昨今、その目的が失われたことは周知のとおりです。

いうまでもなく、会社法制(商法)は企業(会社)を規制するルールであります。しかし、それは
企業経営のための指針、モデル、マニュアルでもあります。自由競争、市場原理と叫ばれて久
しいですが、その円滑な運用には一定の確かなルールが必要です。
「『不純な目的』で分不相応な制度を利用するのが悪い」
「『身の丈に合った』制度を存在させるべき」
そろそろ、明確な制度上の答えが必要なのではないでしょうか。

次回の商法改正は2005年の予定です。ここ数年の大企業向けの商法大改正(株式制度、企
業統治など)が瞬時に行われたことに比べ、中小企業向けの改正はあまりにもスピードを欠い
ています。
次回の商法改正までにどれだけの中小企業が存続しているのでしょうか・・・・・。

《報告書の主な内容》
(1)設立時の最低資本金
(2)株式会社の役員数
(3)株式会社の取締役の任期
(4)株式会社の監査役の任意化
(5)株式会社の計算書類公開の有効性
報告書は中小企業庁ホームページからダウンロードできます。

当事務所のホームページにおいては、やむなく「個人成り」をお考えの会社のために、「会社か
ら個人事業者に変更したい」において「個人成り」の方法について説明しております(このテー
マを会計事務所として真正面から取り上げたのは、当事務所が全国初であると自負しておりま
す)。また、「起業したい(会社の設立)」においては、会社のメリットとデメリットを本音で(会計
事務所の利益に偏重しないで)説明しております。

2003年7月1日
公認会計士 築山 哲


2003年版中小企業白書

中小企業庁から2003年版中小企業白書が発表されました。
白書は、「第1部最近の中小企業を巡る動向」、「第2部日本経済再生と中小企業の役割」か
らなっています。以下、有用と思われる内容を挙げさせていただきます。

第1部最近の中小企業を巡る動向
(1)中小企業向け貸出残高の推移(P4)
やはり激減しています。特に大手銀行の減少が目立ちます。政府系金融機関(商工中金、中
小企業金融公庫、国民生活金融公庫)は緩やかな減少にとどまっていますが、もとよりこれら
は優良企業へしか、あるいは一定限度額しか貸し出していないからでしょう。
(2)企業の今後1年間の借入方針(P4)
5割弱の企業が「借入金残高を削減する」を考えています。このデフレ下、投資に慎重なのでし
ょう。

第2部日本経済再生と中小企業の役割
(1)中小企業の主たる競合先(P7)
中小企業はそれら独自の市場を形成し、その中で中小企業同士が競合していることがわかり
ます。同業他社動向を正確かつ冷静に分析し、経営戦略を立てる必要があるのでしょう。
(2)同族企業に対し非同族企業が成長上回る(P8)
非同族企業の成長が目につきます。わが国の中小企業のほとんどがいわゆる同族企業で
す。「資金調達手段の選択肢が狭い」、「会社制度への理解不足」、「人材難」などが同族経営
からの脱皮を阻んでいるのでしょうか、なんとかこれらを打破する気概が必要ではないでしょう
か。
(3)倒産企業と生存企業の倒産回避策(P12)
倒産企業は「一時的な資金難解決のための対策」、生存企業は「事業の収益改善を意図した
対策」と、くっきりと違いが現れています。
(4)(金融機関に)自主的に資料(決算書など)を提出している企業は貸してもらいやすい(P1
6)
中小企業の決算書を中心とした企業情報の公開は、大企業と比較して著しく遅れています。利
害関係者の要望、外部者の監査、法的な罰則などがないことがその原因ですが、「法に触れ
ないので」との考えでは、今や、どうにもならないことを認識しなければならないのではないでし
ょうか。

「そよの会社はどうなっているのだろう?」
まずは白書をご覧になることをお勧めします。

上記の表題とページ番号は、「2003年版中小企業白書のポイント」(中小企業庁のホームペ
ージよりダウンロードできます)によっています。

2003年6月7日
公認会計士 築山 哲


相続時精算課税制度

平成15年度税制改正において相続時精算課税制度が創設されました。
贈与税は相続税の補完税であり、生前贈与による相続税の回避を防止する機能を備えてい
ます。贈与税の税率は大変高く、まずは将来の相続時に相続税が課税されない人からの贈与
についても高額な贈与税が課税されます。そんなことから、「贈与はしたいけれども・・・」となっ
てしまいます。
相続時精算課税制度を創設する目的は、高齢者(65歳以上の親)の保有資産を、次世代(2
0歳以上の子)へ、円滑に(2500万円まで贈与税を課税せずに)移転させ、その資産を住宅
の購入、消費、事業などに向かわせることで、低迷する日本経済の活性化を促すことです。
大変素晴らしい制度(経済政策)だと思います。

しかし、複雑難解な税法であるがゆえに、この制度についての様々な誤解が生じ、次のような
トラブルが予想されます。

(1)届けを忘れていた
制度の適用を受けるには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに「適用を受ける
ための届け」と「贈与税の申告書」を提出しなければなりません。
(2)相続時の精算を忘れていた
「2500万円までの贈与には贈与税が課税されなくなった」との誤解が少なからずあるようで
す。しかし、将来の相続の際に贈与された財産を相続財産に合算して「相続税として精算す
る」ことを前提に贈与税が課税されないだけです(課税の繰り延べに過ぎません)。
(3)贈与した資産が値下がりした
贈与した財産の相続税における評価額は贈与した時の価額となります。贈与の後、贈与した
財産が値下がりした場合には贈与したことが裏目に出ます。
(4)今後、税制が変わる
現在、相続税の基礎控除額は「5000万円+1000万円×法定相続人数」です。「うちはどう
転んでも相続税は課税されない。今のうちに贈与しておけ」が、今後も続く保障はありません。

結果的にこの素晴らしい制度が、贈与税・相続税納税義務者と納税額を「現在よりも増加させ
る手段」にならないことを祈るばかりです。
なお、一部の税理士がこの制度を「久々の節税対策の目玉」として「売り出し」しているようで
す。
「今ある土地に借金をして賃貸マンションを建てれば・・・・」
バブル期に行われた典型的な相続税の節税手法です。二の舞だけは避けたいものです。

2003年5月1日
公認会計士 築山 哲


公認会計士のプライド

公認会計士は経理会計分野の最高峰国家資格と評価され、この分野に身を置くあるいはこの
分野を目指す者の多くが公認会計士資格の取得を夢見ます。さらには、公認会計士は医者、
弁護士と並び称せられる職業的専門家とさえいわれることがあります。

昨今の企業会計不祥事や、企業会計の国際化・高度化はわが国の公認会計士制度のあり方
に大きな変革を迫っています。去る3月14日には「公認会計士法の一部を改正する法律案」
が国会に提出されました。改正案の主な内容は次のとおりです。

(1)公認会計士の使命と職責の明確化
「公認会計士は経理会計分野の最高峰国家資格」と評価されているその割には、その業務内
容が一般には理解されていません。さらには、現行の公認会計士法においても使命や職責に
ついての明確な規定がありません。そこで、改正案では公認会計士の使命と職責が明文化さ
れています。
(2)公認会計士試験の見直し
公認会計士試験の「受験し難さ」が、公認会計士業界の発展を阻害してきたといわれていま
す。現状では、拡大する公認会計士業務に対し公認会計士の数が少なすぎます。公認会計士
試験を「受験し易い」内容とすることで「潜在的志望者」を奮起させ、「受験者数の増加」を図ら
なければなりません。
(3)公認会計士の独立性の強化
公認会計士の主力業務である「監査業務」においては、「独立性」がなによりも重要です。被監
査会社に対する監査業務以外の提供禁止、担当監査人の定期的交替制が義務付けられま
す。
(4)監査法人の運営体制の見直し
現在、ほとんどの監査業務は、複数の公認会計士からなる監査法人により行われています。
この監査法人についても現状に即した改革が行われます。

多くの公的資格・免許などが規制緩和や構造改革の名のもとに、「特権の希薄化」、「そのもの
の廃止」へと向かいつつあります。しかし、会計、監査という「公共財」の担い手である公認会
計士の職域は拡大の一途です。(当然、その裏返しとしての責任は強化の方向に向かわなけ
ればなりません。)
「公認会計士のプライド」、今、新たなステージの幕が開こうとしています。
「試験が難しい」、「人数が少ない」、「税理士とは違う」から脱却し、大きく飛躍するチャンスが
巡ってきました。

「会計など学問ではない(金儲けの道具だ)」
「帳簿付けなんぞは○○にでもやらしておけ(適当にごまかしておけ)」
今や過去の話です。

すっかり時代が変わったのではないでしょうか。

2003年4月15日
公認会計士 築山 哲


会計報告のインセンティブ

会計報告のインセンティブ(incentive=誘因、動機)が話題になることがあります。ほとんどの
国で企業経営者の株主(投資家)や債権者に対しての会計報告は法的に義務づけられてお
り、多くの経営者が義務的に会計報告をしているのが実情です。
現状が好業績である、将来に好業績が見込めることから株価か急騰し多くの資金を株式市場
から調達できた。ストックオプションにより優秀な人材を確保することができた。これらはいず
れも会計報告があればこそのことであり、会計報告のインセンティブに積極的な側面が存在す
ることを物語っています。

どの世界にも一定の評価基準が存在し、それに照らして対価が支払われます。プロスポーツ
界、芸能界などには極めて厳しい(残酷な)評価基準が存在し、ある者は膨大なリターンを得、
ある者は罵声や酷評を浴びその世界を去っていきます。

会計報告は、企業にとって融通の利かない会計基準という一定のルールに従う必要がありま
す。会計報告では企業のプラスもマイナスも正確、明瞭、タイムリーに公表する必要がありま
す。そんなことから、好業績のときは積極的なインセンティブが、業績不振のときは消極的なイ
ンセンティブが作用するのでしょう。
しかし、会計報告(評価基準)から逃げることは「敗北」を意味します。企業の評価のすべてが
会計報告で決まるわけではありませんが、会計基準に照らして「優良」とされる企業になること
も大切ではないでしょうか。

2003年3月17日
公認会計士 築山 哲


時価会計とデフレ

最近、一部において「時価会計がデフレを助長する」という主張がなされています。時価会計
は、資産を取得原価で貸借対照表に計上する取得原価主義会計に対して、資産を貸借対照
表日現在の「時価」で計上する会計処理方法です。ある資産の時価が取得原価より上回って
いる場合には「評価益」が、下回っている場合は「評価損」が計上されます。昨今のデフレ経済
下では多くの企業が資産の評価損を計上しなければならないのは当然です。
時価会計の対象となる資産の典型は株式であり、各企業とも「評価損を避けて株式の売却」を
加速させています。そこに、企業の評価損回避志向による株式売却が、株価の下落に端を発
するデフレにより一層の拍車をかけるという主張がなされる根拠があります。

話は変わるかもしれませんが、わが国は「学歴社会」です。「よい学校を卒業して、よい企業に
就職すること」が、わが国における人生の鉄則です。「よい学校」であることを計る尺度は、周
知の通りの「偏差値」です。学歴社会は様々な歪みをもたらしており、「偏差値がなくなれば学
歴社会の歪みが是正される」との主張があります。

企業の評価は多面的に行う必要があります。企業の「強みと弱み」、「将来性」などは決算書を
はじめとする、企業のあらゆる要素を総合的に考慮して判断しなければなりません。しかし、あ
らゆる要素をもってしても唯一絶対的な評価などすることはできません。
時価会計は、市場価格が企業に与えるインパクトの表現にほかなりません。昨今の金融・証
券市場が企業に絶大な影響を及ぼしていることは疑う余地がなく、これを何らかの方法で企業
の決算数値(評価要素)に反映しなければならないことは当然です。もちろん、その唯一絶対
的な方法が「時価会計」であるとは限りませんし、単に国際的動向というだけで時価会計の流
れに迎合するのもよくないことです。

「時価会計がデフレを助長する」は、「偏差値がなくなれば学歴社会の歪みが是正される」と同
一次元の偏った主張ではないでしょうか。

2003年2月1日
公認会計士 築山 哲


消費税の免税事業者と簡易課税適用事業者の範囲縮小

平成15年度税制改正の内容がまとまってまいりました。なんといっても中小零細企業経営者
にとっては、消費税の免税事業者と簡易課税適用事業者の範囲縮小が身近な問題でしょう。
「ついに決まったか」、「なんとか逃れる方法は」など反応は様々でしょう。しかし、消費税の趣
旨が「広く浅く公平に」である以上はやむを得ないと考えなければなりません。

消費税の免税事業者や簡易課税適用事業者は、いわゆる「小規模事業者」です。小規模事業
者は立場が弱く消費税を消費者に転嫁できない、事務能力がないことなどが免税や簡易課税
が認められる理由と考えられます。今回の改正は、もはやこれらを否定することであり、中小
零細企業も大企業同様の土俵に上がることを意味します。

あらゆることにおいて、「小さいから」、「弱いから」が通じないことが当然のようになってきまし
た。中小零細企業にとってはますます厳しい状況となってきたことは間違いありません。しか
し、消費税の申告(納付する消費税の計算)は日常の記帳さえできていればそう難しいことで
はありません。

消費税法の改正は、構造改革の一環としての「不良企業の淘汰促進策」なのかもしれませ
ん・・・・・。

2003年1月4日
公認会計士 築山 哲


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公認会計士 築山 哲(日本公認会計士協会 登録番号10160番)



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