築山公認会計士事務所(大阪市北区与力町1−5与力町パークビル7F)

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会計事務所とはどんなところ
(内容)2014年7月19日現在

当事務所に初めてご依頼に来られるお客様の多くが、何から質問してよいのか、自身の状況をどう説明してよいのか分からず話しがスムーズに進まないことがあります。これは会 計事務所についての情報が不足しているのが一つの原因で、このような実情を会計事務所業界は大いに憂いなければなりません。

中小零細企業にとって会計事務所はなくてはならない存在です。当事務所のホームページでは当事務所のみならず、会計事務所全般、会計、税務、経営について、できる限り専 門用語を用いずに解説をしております。ご覧いただくことにより、「会計事務所の存在意義」と「お客様と会計事務所のあるべき関係」をご理解いただけるものと確信しております。

次のページもご覧ください。
「私が税理士(会計事務所)を嫌う理由」
「貴方が税理士(会計事務所)に嫌われる理由」

1.会計事務所はどんな仕事をしているのですか

「会計事務所」「税理士事務所」「公認会計士事務所」「税務会計事務所」、ほとんどの企業(特に法人の場合)は依頼しているかと思います。しかし、その割に会計事務所の実態が つかめず「怖い先生がいてとっつきにくい」「淡々と決算申告の事務処理をする」「税務署の対応窓口(税務署の下請、味方)」のイメージが先立っています。

会計事務所はお客様である企業や個人に代わって、専門的経理処理や税務申告を代行する「業者」です。「自分ではできない」「面倒なので頼む」、他の業者と何の違いもありませ ん。当事務所では、会計事務所は「会計と税務を代行するサービス業」と考えております。

(注)「○○会計事務所」はいわゆる俗称です。正式には「○○公認会計士事務所」「○○監査法人」「○○税理士事務所」「○○税理士法人」の名称を用いなければなりません。

2.会計事務所を包むベール

一般からすれば、会計事務所業界はベールに包まれた業界です。その原因は次のとおりではないでしょうか。

(1)主力業務が税務であること
税務に関しては「秘密」が鉄則で、他人の事情を正確に知ることができず、それが税務に対する不信感や偏見を生んでしまいます。

(2)税務や会計の難解さとそれに対する願望
やはり、素人にとって税務や会計は難解です。さらに、誰しも「少しでも税金は少なく」「会社の内容はよく思われるように」と考えます。そこで、誰かに、密かに解決してほしいと願うよ うになってしまうのです。

(3)税務署出身者の存在
税理士の中には税務署出身者が多数います。これが、会計事務所を不可解な存在としているのかもしれません。一般からすれば、会計事務所が公営か民営かの区別さえつかな いかもしれません。

(4)税理士資格取得方法の多様性
税理士になる正道は、税理士試験という国家試験に合格することかもしれません。しかし、税理士資格は上記(3)のみならず公認会計士や弁護士にも付与されます。なお、税理士 の国家試験も科目別合格制(必須科目と選択科目を合計5科目、1科目ずつ無期限で合格すればよいという極めて特殊な試験形態)を採用しており、合格者ごとに合格までの経 路と到達点(どの科目に合格したか)が違います。

3.経理・会計とは

経理・会計といっても非常に漠然としています。計算したり、帳面をつけたり、金銭そのものを扱うことであったりと意味は様々です。

会計事務所の仕事の最終目的は、「利益(会社の業績の把握)」と「所得(税金が課税される基準値)」の計算です。利益と所得の計算は、企業活動のあらゆる場面を体系的かつ網 羅的に把握しなければならず、決して感情や思いつきで行うものではありません。会計事務所の行う経理・会計は、利益と所得の計算をお客様の立場に立って専門的かつ客観的 (税務署、金融機関などの第三者も内容が理解でき、かつ諸法規に準拠している)に行うことといえるでしょう。しかし、昨今はこれにとどまらず企業の利害関係者(金融機関、取引 先、従業員など)への情報提供、会計数値を経営に活用することなどが強く求められています。

4.決算や申告は必ず会計事務所に依頼しないといけないのですか

そんなことはありません。

申告納税制度を採用するわが国では、申告は納税者(企業、個人)自身で行わなければなりません。会計事務所は納税者の代行をするにすぎません。納税者自身で申告ができる 場合は会計事務所に依頼する必要などありません。ただし、経理業務や税務申告は大変煩雑でまた専門的部分が強く、会計事務所に依頼するほうが企業経営上効率的かと思い ます。

ほとんどの税務申告書や届出書に「税理士署名・押印欄」があります。この欄が空白でも各役所は申告書を受け付けてくれます。電子申告(e−Tax、eLTAX)の場合には税理士 の電子署名がなくても送信できます。税理士関与は法的に義務付けられていませんので、税理士関与の有無は申告書の効力(提出があったという効力)には一切関係ありませ ん。

大切なのは、誰が作成したかではなく、適法であるかどうかです。税理士が関与しているからといって適法とみなされるわけではないのです。

なお、会計事務所は「民間の営利企業」であることを忘れてはいけません。ですから、役所のように「困ったときに泣きつけば」では、どうにもならない場合があると考えてください。お 客様と会計事務所の関係は、企業と金融機関の関係に似ているかもしれません。金融機関は無差別に企業を救済してはくれません。会計事務所も、全てのお客様を救済する(で きる)わけではないのです。

5.会計事務所は税金を減らしてくれる

それは偏見です。「よくある質問」の「税務調査について」をはじめとする他のページをご覧いただけば、ご理解いただけるかと思います。

6.初めて会計事務所に依頼する場合どうすればよいのですか

何も用意せずに相談してもかまいません。ただし、直近の決算書・申告書、事業のパンフレット、定款・登記簿謄本(法人の場合)を用意しておけば、会計事務所もお客様の事業内 容を理解しやすく、より具体的なアドバイスが行えます。

7.公認会計士と税理士の違い

「よくある質問」の「公認会計士と税理士の違い」をご覧ください。

8.国家資格保有者(税理士)でないと税務の仕事はできないのですか

税務の仕事を独立して業務として行うには税理士資格が必要です。税務調査の立会、申告書作成(申告書への署名押印)、税務に関する相談などを行えるのは税理士のみです。

国家資格を保有しているからといって有能であるとは限りません。しかし、「税理士さんは厳しそうで報酬も高いから、以前会社で経理をやっていた隣の奥さんに頼もう」では思いも よらぬ障害に遭遇することがありますのでご注意ください。

なお、これは大変奥の深い話になるのですが、「会計業務」(領収書の整理、伝票の起票、元帳・試算表・決算書の作成)は誰でも自由に行えます。しかし、会計業務には「税」が密 接に絡みますので実際は会計事務所(税理士)が行っています。

《税務署OB》
大変難しい問題です。役人の天下りであるからです。しかし、その経験を納税者の権利擁護と公正な税務行政の維持発展のために活かすのは有意義なことではないでしょうか。

9.有資格者の証明

税理士の有資格者は、その事務所所在地を管轄する税務署の玄関近辺に税理士一覧がありそこに名札がかかっています。また、NTT電話帳の税理士欄は有資格者でないと掲 載できません。

(注)大阪国税局管内の税務署、近畿税理士会会員に限ってのことです(他の国税局や税理士会については不明)。

 税理士情報検索サイト
 「日本税理士会連合会」に現在登録されている全ての税理士(ニセ税理士は混ざっていません)の情報を知ることができます。キーワードを入力するなど様々な検索が可能です。

《税理士紹介業者?》
最近、花盛りです。紹介している税理士と共に紹介業者の信用も見極める必要があります。

10.会計事務所が雇用する無資格の職員

無資格の職員を多数雇用している会計事務所があります。無資格者の能力の程度、無資格者を雇用することの是非はともかくとして、代表者(税理士)は職員を監督し育成しなけ ればならないのは当然です。

(注)税理士の名義貸しは禁止されていますのでご注意ください。「判さえ押してもらえば」は大変危険な考えです。

11.経理担当者と会計事務所

経理担当者は自社あるいは以前勤務していた会社のことしか知らないのが普通ですが、会計事務所は様々な事例に遭遇しそれを解決することでノウハウを蓄積しています。やは り、経理担当者だけでは壁に突き当たり解決策が見出せない場合があります。

そして、忘れてはいけないのは、経理担当者は従業員であるということです。従業員である以上、社長さんの誤った考えにも従わなければならず、これが会社にとって致命傷となる 場合もあります。

やはり、会計事務所の客観的な意見も必要ではないでしょうか。

12.会計事務所で報酬の違いがあるようですが

報酬金額に違いがあるというよりも、業務内容に違いがあると考えるのが正しいと思います。税務申告を会計事務所に依頼するかは納税者の自由であり、さらに依頼する場合どの 範囲まで依頼するかも自由であるからです。

会計事務所により引受ける業務の範囲もかなりの違いがあり、それが報酬の違いに反映されているのが実情です。会計事務所に依頼する場合は、依頼範囲を明確にすることが必 要です。

当事務所の報酬については「事務所の概略」をご覧ください。

《格安報酬の会計事務所》
最近は報酬の値下げ競争がすごいです。大切なのは、どのようなサービスを削減することによって低価格化を実現しているかです。そして、その削減されたサービスが自身にとって 不要であるかを慎重に判断することです。「相談には一切応じない」「依頼者からの提出資料に不備があってもそのまま申告する」などの場合がありますので注意が必要です。

13.会計事務所によって方針が違う

「知人が依頼している会計事務所では・・・」とよく聞きます。どこの会計事務所も税法をはじめとする関連法規に従わなければならないのは当然です。

しかし、具体的な業務の進め方や内容は大きく異なる場合があります。たとえば、お客様への訪問の頻度、補助者への権限委譲度合い、12の報酬や14の業務体系にはかなりの 違いがあります。

要するに、お客様にとって最適な会計事務所を「選択」すればよいのです。

14.会計事務所に依頼するパターン(事業者の場合)

会計事務所の業務体系は、次のとおりです。

(1)日常の記帳(総勘定元帳と残高試算表の作成)
(2)決算報告書作成
(3)申告書作成
(4)(1)〜(3)に関しての相談、説明、アフターサービス(税務調査の対応や金融機関への業績説明についてのアドバイスなど)

日常の記帳は自社でできるので、事後的な「決算」と「申告」あるいは「調査立会」のみを依頼すれば、当然報酬は低くなりますが、会計事務所とのコミュニケーション不足が生じま す。「節税対策」「決算対策」を有効に行うには会計事務所との日頃からの事前検討が欠かせません。

ご依頼に当っては会計事務所と十分に話し合うことが大切です。

15.会計事務所の報酬は漠然としている

会計事務所の業務体系は14のとおりですが、業務そのものが大変漠然としています。物品販売のように「1個○○円」というわけではなく、人材派遣業のように「時給○○円」でも ありません。

税務会計業務は委任という包括的な契約で、定型化された業務を定められた時間で終了できる性質の仕事ではありません。事務的に「申告書を書いたからもう終わり」というわけ にはいかず、それに関する相談や説明が付随します。さらに、業務を全うするには税務会計のみならず経営、法律などを多面的に考慮しなければなりません。

16.社会労働保険計算をお願いしたい

この分野の専門家は「社会保険労務士」です。

社会労働保険計算は給与計算(給与からの税金の天引き)と関係しており、会計事務所に「ついでに」頼みたいお気持ちはわかります。しかし、会計事務所はそれなりの知識しか 持っておらず、たいした対応はできません。会計事務所にはごく一般的なアドバイスを受ける程度にとどめ、社会保険労務士に依頼するか自社で計算されるのが賢明かと思いま す。

(必要に応じて当事務所と提携している社会保険労務士の紹介はいたします。)

17.登記手続をお願いしたい

この分野の専門家は「司法書士」です。

登記につきましても、16の社会労働保険計算同様にたいした対応はできません。

(必要に応じて当事務所と提携している司法書士の紹介はいたします。)

《社会労働保険や登記の依頼を受けられない本当の理由》
役所に提出する書類の多くに作成を代行した者を記入する欄があります。ここに氏名などを記入できるのは「特定の資格」に基づき業務を行っている者に限られます。
会計事務所(公認会計士・税理士)が社会労働保険や登記の手続を代行したとしてもこの欄は空白となります。後日、提出書類に不備があった場合、役所からの問い合わせは会 計事務所ではなくその依頼者にされます。その際、「先生(会計事務所)に頼んだので私は知らない。先生に聞いてくれ」とはいえません。
一部の会計事務所は社会労働保険や登記手続の代行をしています。しかし、「役所からの問い合わせに対応できない」「密かに他の専門家に外注し利益を得ている(直接他の専 門家に頼むよりも高くなる)」などのトラブルが発生しているケースもあるようです。

《ワンストップサービス》
会計事務所と司法書士や社会保険労務士がワンフロアで業務を行っている場合があります。しかし、この場合もそれぞれが法律的には独立していますので、依頼する場合の報酬 も別々に発生します。ワンストップだから、報酬は「ひとまとめ」で「安い」とはいかないのです。

18.会計事務所を替えることはできますか

できます。契約解除は残念なことですが、当然お客様の意思により会計事務所を替えることはできます。

19.個々の会計事務所の専門(得意)分野

あります。しかし、よほど専門分野を絞り込んでいる会計事務所(相続、医業、国際税務、株式公開など)はともかくとして、一般事業会社それも中小零細企業の税務会計業務(上 記14)への対応がスムーズにできない会計事務所は、「問題あり」と考えなければなりません。また、資料作成や質問に対する回答が著しく遅い、全く説明やアドバイスをしてくれな い、ミスを多発する会計事務所は論外と考えなければなりません。

当事務所では、一般事業会社へのスムーズな税務会計業務が大切と考えております。

20.会計事務所のミス

お恥ずかしい話しですがミスもあります。万が一、ミスが出た場合は早急に対応をさせていただき、ミスの修復あるいは善後策の検討をいたします。

21.会計事務所経由で秘密が漏れませんか

どの業者でもそうですが、会計事務所にもお客様の秘密を守る義務があります(守秘義務)。とりわけ公認会計士や税理士の守秘義務は厳格で、これに違反した場合はお客様か らの損害賠償請求はもとより、法律に基づく業務停止・資格剥奪処分がありますのでご安心ください。

22.遠方でも関与してもらえますか

会計事務所はできる限り往復一時間以内のところに依頼するのが好ましいです。しかし、会計事務所には自社の秘密を知られてしまうので、あまり近所には依頼したくないというお 客様がいらっしゃいます。

会計事務所とのやり取りは「対面」が基本ですが、通信環境が発達した現在は、電話、FAXはもとより、インターネット、電子メールをフルに活用すれば距離的ハンディはかなり克服 できるかと思います。

23.会計事務所はすぐに急かす

申告書には提出期日があります。
会計事務所は毎月複数のお客様の申告を引受けています。つまり、会計事務所は列車のダイヤのように作業しているのです。

申し訳ありませんが、「私だけは特別扱い」を聞いてばかりいるわけにはいかないのです。大半の業種が、お客様が必要とした時点がサービスのスタートです。それと比べ会計事務 所のやり方は「押柄」にお感じかもしれませんが、どうかご理解ください。

24.会計事務所に逃げられた

まれにあることです。その原因は様々ですが、次のようなことが考えられます。

(1)無理難題(脱税、粉飾決算などの依頼)
会計事務所の進言にもかかわらず、方針を変更しない社長さんがおられます。
(2)採算が合わない(報酬を必要以上に減額あるいは支払遅延)
会計事務所も営利企業である以上やむを得ません。
(3)会計事務所の怠慢
契約解除することが当然です。
(4)会計事務所の倒産
最近は会計事務所でも倒産するところがあります。代表者の死亡は当然として、過剰な設備投資(事務所ビル、コンピューター、人員など)やそれに伴う過剰債務、業務上の損害賠 償請求に耐えられず倒産することがあります。

(3)と(4)は明らかに会計事務所側に非があります。なお、(1)と(2)は後任の会計事務所が見つからない可能性がありますのでご注意ください。

25.極めて小規模な企業や個人の申告を引受けてくれますか

当然です。当事務所のお客様の大半が中小零細法人ですが、当然、個人事業者や一般の方からのご依頼もお受けしております。ただし、これらの方の場合、まずは各種無料相談 所(各地で開催されています)をご利用いただき、それでは不十分な場合のみ当事務所をご活用いただくことが賢明かと思います。

26.パソコン(財務会計ソフト)の普及

会計事務所へ多大な影響を与えているのは事実です。しかし、安易な導入は避けてください。詳細は、「よくある質問」の「パソコン会計を導入したい」「財務会計ソフトの導入と運 用」をご覧ください。

27.ニセ税理士

「ニセ税理士」とは、税理士資格がないのに税金に関する仕事をする者です。口を開けば、「領収書」「帳簿」「期日」としかいわない「税理士」に比べ、融通の利く「ニセ税理士」は頼 もしいかもしれません。しかし、税金の仕事は、「申告書への署名押印」という「ケジメ」なくして果たすことはできません。「申告書への署名押印」ができない「ニセ税理士」がまともな 仕事をするはずがありません。氏名が表面化しないので、いつでも逃げられるからです。

なお、「ニセ税理士」が次のことを目的としていることもありますので注意が必要です。
(1)自身と深い関係にある他社に有利な取引を強要する
(2)自身と深い関係にある他社の保証人となることを強要する
(3)自身の私的費用を会社に付け替える=横領
(4)会社の秘密を流用する

税金が払えない、融資が受けられないなど会社の窮地の際、経理数値を一時しのぎに改ざんして窮地を脱し、その功績(?)をエサに付け込むことが多いようです。しかし、その損 害は(1)〜(4)のみならず、後日の「強烈な税務調査」や「金融機関との取引停止(粉飾決算を理由として)」など、計り知れないものがあります。

《税理士制度は必要か?》

いわゆる街の会計事務所の業務の大半は一般的で単純なことばかりです。多くの会計事務所が自由業務である記帳代行(領収書の整理、伝票の起票、元帳・試算表・決算書の 作成)を主力としており、本来の税理士業務(税務署との折衝、申告書・届出書の作成、税務相談)のウエイトが極めて低いのが実情です。

業務の大半を無資格の職員に任せて、税理士である代表者は会計事務所のオーナーあるいは名義人と化していることさえあります。

税理士でなくとも中小零細企業の要望に応えることはできます。また、税理士でも応えられないことは無数にあります(特殊で高度な税務、税務周辺分野、経営アドバイスなど)。

「どうせ税理士なんて・・・」という考えが蔓延しているのは事実で、報酬が安価なニセ税理士に多くの顧客を奪われる会計事務所もめずらしくありません。

中小零細企業の実情からすれば、会計事務所業界の自由化を推し進めるとともに、業者(公認会計士や税理士含む)に対する所管官庁などによる定期検査や法的罰則を強化す るほうがよいのかもしれません。(責任を持って業務を行う者のみに資格を付与する。)

28.会計事務所の信用度

お客様にとっては気になるところでしょう。しかし、これをはかる明確な尺度はありません。ただし、お客様が次の点を留意していれば、万が一「不良会計事務所」に遭遇しても、たい した損害にはいたらずほかの会計事務所へスムーズに変更できます。

(1)会計事務所に不純な期待をしない
脱税や粉飾決算を期待してはいけません。不良会計事務所によっては、27のニセ税理士同様の行動に出ます。

(2)会計事務所に頼り過ぎない
専門知識を必要としない作業は自身で行うとともに(これについては「よくある質問」の「日常の経理業務はどうすればよいのか」をご覧ください)、相談の投げかけと、説明やアドバ イスを依頼することが必要です。それにより、会計事務所側の状況を把握できるからです。また、領収書、各種帳簿、申告書控などを会計事務所に預けっぱなしにすることは禁物で す(ある意味で人質を取られていることになります)。

(3)会計事務所の責任者(有資格者)と定期的に面談する
特に、無資格の職員を多数雇用する会計事務所の場合、これが必要です。不良会計事務所によっては、知らないうちに関与先(依頼者)を他の税理士に譲渡していることもあるか らです。

(4)他の会計事務所との併用も検討する
会計事務所によっては、「替えられることはない」とか「面倒を見てやっている」との油断やおごりがあります。ほかの会計事務所へ相談しているのを匂わすことも、場合によっては必 要です。ただし、安易な併用は避けたほうがよいと思います。会計事務所との信頼関係が築けないばかりでなく、「それなら、そちらに頼んでください」との「逃げ口上」を会計事務所 に与えてしまうことになるからです。

(5)会計事務所と適度な距離を保つ
「友達」に税務会計業務はできません。酒席やゴルフ場でしか会計事務所と付き合っていないようではどうにもなりません。それ相応の厳しさが必要です。

(6)役員や保証人を依頼しない
まれに、会計事務所の代表者を役員や保証人としていることがあります。会計事務所に支配されてしまう原因となりますので、絶対に避けてください。

(7)会計事務所の独立性
特定の業者(金融機関など)や団体(経営者の親睦会など)と密接な関係にある会計事務所は、ともすれば、お客様よりも業者や団体の意向を重視することがあります。また、依頼 者が特定少数に偏っている場合、低報酬の関与先を軽視することもありえます。

(8)取引先と同じ会計事務所
会計事務所としての守秘義務が保てない可能性があります。また、上記(7)同様、取引先の意向を重視することもあります。

(9)本業への注力度
会計事務所の本業は上記14です。これを軽視してほかの業務ばかり(相続対策、経営コンサルティング、保険勧誘など)をお客様に押し付けるのはどうかと思います。また、本業 では到底事務所が成り立たないため「講師業」や「非常勤役員」(いずれも実態はアルバイト)に大半の日数を費やしている会計事務所も注意が必要です。

(10)IT化の度合い
ITは決して万能ではありません。しかし、会計事務所はこれに無関心ではいられません。

(11)異常な報酬
自由化といえども、世間相場からして異常な報酬には気をつけなければなりません。

(12)会計事務所の財務安定度
最近では会計事務所の倒産(事実上の倒産含む)も相当数あります。当然ですが自己破産した場合は公認会計士や税理士業務は行えません。事務所の構え(高価な応接セットや 若い女性秘書の有無)、服装や車両、人付き合い(虚栄心で有名人と付き合っていないか)などから、財務安定度を間接的に判断するしかありません。しかし、まさに「武士は食わ ねど高楊子」で、危険な人にかぎってそう簡単に正体を見せないのが実情です。

29.会計事務所の経営コンサルティング

昨今、会計事務所のキャッチフレーズとして「経営サポート」や「企業発展のお手伝い」などが目立ちます。ここで注意しなければならないのは、「公認会計士」や「税理士」などの国 家資格は経営コンサルティングを行うことについての「必要条件」ではないということです。経営コンサルティングに、学歴、資格、性別、年齢は一切関係ありません。できる人(お客 様に利益をもたらす人)のみがプロとよばれる世界です。

現実の経営は過酷極まりないものです。会計事務所からの経営コンサルティングは、慎重に受け入れる必要があります。特に、受身あるいは責任転嫁する姿勢は感心できませ ん。

会計事務所によっては本業の衰退をカバーするために、それ相応の能力もないのに「経営」を「客寄せパンダ」にしている、あるいは「押し売り」していることがあります。そのような会 計事務所の経営コンサルティングは、「機械的な経営指標の算出」「事業永続を大義名分としたありきたりの相続(税)対策」「パソコンの販売代理店」「関係強化のため(税務契約を 解除されないため)の役員就任」「起業支援名目の会社設立事務手続」「一般的な経営技法の紹介セミナーあるいは書物の配布」などであることが通常です。

もし、このような会計事務所に遭遇した場合は、「もうあの件は結構ですので・・・」とはっきりと告げる必要があります。それでも引き下がらない場合は、「(経営に役立ちたいのなら) ある時払いの催促なし(当然無利息無担保)でお金を貸してください」「保証人になってください」「当社のために営業してください」といって突き放すしかありません。

しかし、当事務所では会計事務所としてできる範囲内で経営に関与することは必要と考えております。詳細は、「よくある質問」の「会計事務所の経営相談とは」をご覧ください。

30.会計事務所に依頼すべきか

会計事務所離れが止まらないのが実情です。中小零細企業経営者の高学歴化と能力向上、不況による経費削減志向、財務会計ソフトの普及、人間関係の希薄化から外部第三 者の干渉を嫌うなどがその原因でしょう。

しかし、特定の業務はアウトソーシングして「時間とノウハウを買う」ほうが企業経営上は効率的である場合もあります。

会計事務所の通常の業務内容は決して高度ではないかもしれません。しかし、まったくの素人が会計事務所同様の業務を行うのはそう簡単なことではありません。不可能ではない でしょうが、一定の期間は本業を犠牲にする必要があります。人にはそれぞれ得手・不得手があり(専念すべきことがあり)、それぞれが得意な仕事に専念することでお互いの能率 が向上します。

当事務所では、お客様それぞれに最適な関与形態をご提案させていただいております。まずは、お客様にとって最適な経理業務の方法、つまり、どのような帳簿を作成すべきか、 パソコン会計を導入すべきかなどをお客様と向かい合って考えさせていただきます。


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公認会計士 築山 哲(日本公認会計士協会 登録番号10160番)


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