扶養控除等申告書


2018/11/8

年末調整の前段階

年末調整は、確定申告と並ぶ税に関する一大イベントです。毎年、秋になれば、保険会社から「年末調整に必要です」と、保険料の控除証明書が送られてきます。これで、国民の多くが税を意識し始めます。

年末調整は年間給与合計額に対する税金を計算するという、いわば「ゴール」です。ゴールにたどり着くには、その前段階をいくつか踏んでおく必要があります。

源泉徴収をしておく

まずは、これです。毎月の給料や臨時の賞与から源泉徴収する税額は、国税庁のサイトから入手できる「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて行わなければなりません。

ほとんどの人は「月額表」で税額が決まります。

毎月の給料から源泉徴収する税額は、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等に数」に応じて決まります。「社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、月額給料総額(非課税の通勤手当は除く)から厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料の本人負担額(社会保険料控除)を差し引いた額です。扶養親族等の数とは配偶者控除や扶養控除の対象となる親族です。

臨時の賞与は、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」で「税率」が決まり、この税率を「賞与から社会保険料等を控除した金額」に乗じます。なお、「社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」の意味は上記の給料の場合と同じです。

給与台帳を作成する(正社員、パート・アルバイト、役員)

年末調整は給与を受け取った各人の1年間の給与についての税額を確定するための手続ですが、その前提として給与台帳が作成されていなければなりません。給与台帳とは各人が受け取った給与の記録です。給与台帳は給料と賞与の支給ごとに次の項目を記録していきます。

○総支給額
基本給、諸手当など
○控除項目
所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料などです。
○課税所得額
総支給額(非課税の通勤手当などを除く)−社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)のことです。
○差引支給額
いわゆる手取りです。

給与台帳は個人の税金である所得税の計算期間に合わせて暦年単位で作成します。そして、上記の記載項目ごとに年間(1月から12月まで)の合計額を集計します。総支給額(非課税となる通勤手当などを除く)の年間合計が年末調整で(年間を通して)課税される給与、所得税は源泉徴収した年間合計、社会保険料は社会保険料控除の計算につながります。

給与計算ソフト(源泉徴収から年末調整までしてくれる)

給与計算ソフトを利用すれば、毎月の給料の源泉徴収から年末調整までができます。しかし、給与計算ソフトは毎年の保守料金を支払ってバージョンアップしなければ使い物になりません。給与計算に関連する所得税、社会保険、労働保険の法制はほぼ毎年改正されます。ですから、これらの計算を目的とする給与計算ソフトは毎年バージョンアップしなければならない宿命にあるのです。

源泉徴収をしていなかった(税務署から連絡がないので)

創業から日の浅い企業ではよくあることです。源泉徴収は連絡や指導がなくても対象となる支払いをしたときに必ずしなければなりません。源泉徴収していなかった場合、本来は源泉徴収される側(給与や報酬を受け取る人)が負担すべき税額であるのに、支払う側が立て替えて納付しなければなりません。

税務署は源泉徴収漏れをすぐには指摘してきません。場合によっては数年遅れて指摘してきます。数年分を立替払いさせられると恐ろしい額になることもめずらしくはありません。

源泉徴収のあらまし
源泉徴収のしかた

国税庁はこのような手引きを作成しています。「会社を設立したら」、「人を雇用したら(個人事業者の場合)」はこれを読むことです。

扶養控除等申告書(源泉徴収と年末調整のスタート)

源泉徴収と年末調整に関して、まず大切なのは扶養控除等申告書です。配偶者や扶養親族の有無によって税額は異なります。扶養控除等申告書は、給与をもらう人が自身の配偶者や扶養親族の状況を勤務先に知らせ、配偶者控除や扶養控除の対象となるかを勤務先が判断するために提出します。「控除対象となる配偶者や扶養親族がいない人」は、「いないことを知らせる」ために提出します。

扶養親族数に関する情報を知らせなければ年末調整はおろか、源泉徴収さえも正確にできないのです。

扶養控除等申告書は、毎年その年の最初の給与をもらうときまでに提出します。途中入社した人は入社してすぐに提出します。年の途中で配偶者や扶養親族に変動があった場合、つまり、「増えた(控除の対象になった)」あるいは「減った(控除の対象でなくなった)」を速やかに勤務先に報告しなければなりません。

「私は配偶者控除(扶養控除)の対象となっている者なので扶養控除等申告書を提出する必要はない」

よくある誤解ですが、そのような人も扶養控除等申告書を提出しなければなりません。配偶者控除や扶養控除を受けるには、その配偶者や扶養親族の所得金額が一定額以下である必要があります。それには、その配偶者や扶養親族の所得金額が年末調整によって確定されなければなりません。その年末調整をするには扶養控除等申告書を提出しなければならないのです。

扶養控除等申告書を提出していない場合

その勤務先では年末調整をしてもらうことはできません。そこから年間でもらった給与合計についての最終的な税額が確定しないということです。また、毎月の源泉徴収は、配偶者や扶養親族を考慮しない、扶養控除等申告書を提出している場合の税額よりも相当多い税額で行われます。そして、最終的な税額を確定するには、自身で確定申告をしなければなりません。

扶養控除等申告書の提出が不要の場合

2か所以上から給与をもらっている場合には、そのうちの1か所でしか年末調整をすることができません。ですから、扶養控除等申告書も1か所にしか提出できません。この場合は、1か所で年末調整を受けたとしても、他の給与収入を合計して自ら確定申告をしなければなりません。

*1年なのに*2年の扶養控除等申告書が税務署から送られてきた

年末調整が近づくと、税務署は年末調整に必要な書類一式を送付してきます(大阪国税局管内の税務署)。その中の扶養控除等申告書は、*1年の場合は*2年となっています。これは、扶養控除等申告書は年初に提出するので、翌年の分を配付しているのです。今年、扶養控除等申告書を提出していない従業員(年度途中に採用された)は、昨年配付された用紙を使用しなければなりません。

扶養控除等申告書は国税庁のサイトからダウンロードすることができます。