税務署が配偶者や扶養親族の所得を把握するメカニズム

いずればれます。ばれていないのは偶然です!

ばれたときには、誰も助けてくれません。

 

 

配偶者や扶養親族の所得がないことにして(配偶者や扶養親族の所得を会社には知らせずに)年末調整を・・・

 

まれに、このような恐ろしい要望をする従業員がいます。

 

会社は各従業員の年末調整の結果(給与の総額や所得控除など)を、翌年の1月末までに各従業員の住所地の市区町村に「給与支払報告書」を提出することにより報告しなければなりません。各市区町村が各従業員の住民税(地方税)を計算するために各会社に報告義務を課しているのです。

 

配偶者や扶養親族の所得が税務署に把握されてしまう原因が、この「給与支払報告書」にあることをご理解いただけるかと思います。

 

世の中にはズサンな会社が存在し、上記の「給与支払報告書」を提出していないことがあります。また、明らかな給与所得を事業所得(外注費などの名目)として処理している会社もあります(事業所得の場合には本人が無申告でいればすぐさま所得は表面化しない)。配偶者や扶養親族がこのような会社に勤務している場合には、「所得ゼロ」として違法に配偶者控除や扶養控除を受けることができます。

 

このようなことが高じて、社内に「配偶者や扶養親族の所得はごまかせる」「あの人はごまかしている」「だから、自分もそうしてほしい」との空気が蔓延する場合があります。

 

もし、会社が給与支払報告書を提出しなかった場合、配偶者や扶養親族が確定申告していない場合、配偶者や扶養親族の所得が把握されてしまうきっかけは次のとおりです。

●配偶者や扶養親族の勤務する会社に税務調査が行われ源泉徴収漏れ(年末調整の誤り)や無申告の所得が発見される。

●税務署あるいは市区町村役場が配偶者や扶養親族に所得がないのを不自然と判断し(当然確かな裏づけを入手します)、配偶者や扶養親族を呼び出す。

 

 

給与収入の調整?(違法な調整にご注意を!)

 

いわゆる「103万円の壁」を超えないようにするために、給与収入の「調整」が行われることがあります。その方法には、次のとおり合法的な方法と違法な方法があります。

 

●実際の勤務時間を調整する(合法的な調整)

これが本来の調整です。しかし、勤務先によっては人員配置の都合から個人的事情を受け入れてくれないこともあります。

 

●勤務時間の繰越し(違法な調整)

その年の給与の対象となる(支払いの対象となる)勤務時間を翌年に繰り越します。要するに、支払いを翌年にすることによって金額を「ごまかす」のです。当然、タイムカードなどとつじつまが合わなくなります。

 

●架空人員への給与配分(違法な調整)

架空人員(多くの場合は実在する専業主婦や学生に名前を借りている)に103万円を超える部分を「振って」しまいます。このためには架空人員が勤務しているように装う必要があります。また、実在する人員の勤務時間を実際よりも減少させる必要もあります。この方法は、実際の給与の支払額と給与の記録(タイムカードや給与台帳など)が一致しないので二重帳簿や裏帳簿が作成されることが通常です。

 

★違法な調整の誘惑に負けてはいけません

上記の違法な調整は税務署も熟知しており簡単に発見されてしまいます。違法な調整は勤務先にとっても源泉所得税の納付額の削減になりますので、勤務先のほうからすすめる場合もあります(パートやアルバイトを確保するための対策と考えている場合もあります)。

 

★違法な調整がばれた場合

給与所得と税額を、調整前の給与収入で計算し直すことになります。結果として本人は課税され、配偶者や親などが配偶者控除や扶養控除を受けられなくなってしまいます。これを、数年分を同時にされると大変「痛い!」です。

 

 

給与所得者(サラリーマン)は税務署と直接的な関係はない

 

給与所得者(サラリーマン)は納税者です。しかし、納税者でありながら事業所得者や不動産所得者とは「納税の方法」や「税務署との関係」が大きく異なります。

 

■源泉徴収や年末調整をするのは勤務先の義務です

 

毎月の給料、賞与から所得税の源泉徴収をして年末調整をするのは会社などの勤務先の義務です。これらの手続をしていない、あるいは手続に間違いがある場合に税務署に対して責任を負うのは勤務先です。

 

勤務先の行った源泉徴収や年末調整の結果としての税額に不足がある場合、まずは勤務先がその不足税額を税務署に納付し、その後に勤務先が従業員(給与所得者)にその税額の負担を求めます。要するに、給与所得者(サラリーマン)が税務署から不足税額の納付を直接は迫られないのです。

 

■給与所得者(サラリーマン)が勤務先の税額計算に不服がある場合

 

勤務先にその不服の内容を告げるしかありません。税務署に告げたとしても税務署は動いてはくれません。「税率や所得控除などの間違い」を修正するのは勤務先の義務なのです。

 

修正を勤務先に要求しても応じてくれない場合には、自身で確定申告をするしかありません。なお、このように自身で確定申告をして修正するのは年末調整の期間後(翌年2月以降)であり、年末調整の期間中は勤務先に修正を求めなければなりません。また、税務署に対して確定申告をするには勤務先が発行した源泉徴収票が必要です。

 

★勤務先が源泉徴収票を発行してくれない

この場合には会社を管轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を給与所得者(サラリーマン)自らが提出することができます。この届けによって税務署は、勤務先に源泉徴収票の発行を促します。

 

★医療費控除や住宅ローン控除(1年目)

給与所得者(サラリーマン)の住所地を管轄する税務署(会社を管轄する税務署ではありません)に確定申告書を提出して還付を受けることができます。

 

★勤務先という「防波堤」

上記のような給与所得者(サラリーマン)の立場のほうがありがたいと考える人もいます。税金に関する知識に乏しく税務署からの「攻撃」になす術がない人です。税務署と直接的な関係にある事業所得者や不動産所得者の中には、税務署からの攻撃に戦々恐々としている人も多いです。また、税理士報酬という「用心棒代」も馬鹿になりません。

 

 

「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」です!!

 

源泉徴収は、特定の所得や特定の職業の者からのみ行うという大変腑に落ちない制度かもしれません。特にサラリーマンにとっては納税=税負担を意識させないという弊害があります。しかし、法律ですので受け入れるしかありません。

 

正しく源泉徴収(従業員の場合には年末調整も含めて)をしていなかった場合の後処理ほど大変なことはありません。「源泉徴収制度に理解のない会社や人とは関わらないこと」が「ビジネスの鉄則」であると考えておく必要があります。

 

源泉徴収制度を理解しない人(無視する人)のほとんどは、後でトラブルが起きたときに、もう、貴方の前から姿を消しているでしょう。結局、貴方が泣き寝入りすることになります。

 

扶養控除等申告書など、年末調整に必要な書類は必ず本人が用意と記入をする!

 

これがスタートです。不可解な点がある場合には、至急本人にたずねてください。

 

 


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