退職した従業員の源泉徴収票

退職時に交付しておく必要があります!

退職した従業員は新たな勤務先の年末調整で必要なのです。

 

 

早く源泉徴収票がほしい!!

 

今年、御社を退職した従業員からこのような催促を受けることがあります。御社を退職し他社に就職した元従業員は、その就職先で年末調整をしなければなりませんが、年末調整に当たっては前職分の給与も合算しなければなりません。年末調整はその年の全ての給与を合計して行わなければならないからです(ただし、同時並行して他から給与をもらっている分は確定申告で合算します)。そこで、御社の源泉徴収票が必要となるのです。

 

その際の源泉徴収票の書き方はいたって簡単です。御社の給与台帳の金額などを基に、税務署が配付している源泉徴収票の用紙に次の事項を記入すればよいだけです。(元従業員には受給者交付用を渡します。)

 

●支払を受ける者

●種別 

●支払金額

●源泉徴収税額

●社会保険料等の金額

●中途就・退職年月日

●受給者生年月日

●支払者→会社の印鑑を押す!

 

なお、摘要には「年末調整未済」と記入します。

 

「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「生命保険料の控除額」などは記入する必要はありません。なぜならば、これらは年末調整の結果として金額が確定するからです。(元従業員の就職先が、そこの給与と合算して年末調整した結果として、そこの源泉徴収票に記入されます。)

 

年末調整への取り組みは各会社によって相当違いがあります。「待っていました!」とばかりに、元従業員に源泉徴収票を渡せるようにしなければなりませんので、遅くとも11月上旬には交付してください(法的な交付の期限は退職後1ヶ月以内です)。年末調整への取り組みが早い会社は11月上旬から作業に取り掛かるからです。

 

「前の会社はいい加減だった・・・」

 

こんなことは避けなければなりません。特に元従業員が同業他社へ就職した場合には注意が必要です。

 

 

■新しい会社での源泉徴収票(年末調整後)

摘要欄に、前職分の給与の額、社会保険料の額、源泉徴収された所得税の額が記載されます。

 

■退職者に源泉徴収票を交付しなかった場合

元従業員が税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することにより、税務署から発行するように命令されます。何よりも恐ろしいのは、元従業員がこのような正当な手続によらず好き勝手に都合のよいように自分で源泉徴収票を作成してしまうということです。源泉徴収票の用紙は税務署やネットで入手できます。また、社印が押印されていなくても無効とはなりません。ご注意ください。

 

■倒産や廃業している場合

源泉徴収をしていた時点までの源泉徴収票は発行しなければなりません。なお、倒産により源泉所得税が納付できなくなった分については税務署に相談してください。

 

■退職金の源泉徴収票

給与の源泉徴収票とは様式が異なります。また、給与とは計算の仕方も異なります。当然、退職する際に交付しておかなければなりません。

 

■死亡退職者の源泉徴収票

死亡退職者については、年度途中であっても年末調整をした後に(最終的な年税額を確定した後に)源泉徴収票を交付します。なぜならば、以後所得が発生しないことが明らかであり、死亡の時点で年税額を確定できるからです。なお、死亡退職の場合には遺族に源泉徴収票を交付します。遺族が所得税や相続税などの申告をしなければならない場合があるからです。

 

■退職者の給与支払報告書(住民税)

退職した年の給与総額が30万円を超えている場合には提出しなければなりません。提出先は翌年1月1日時点の元従業員の住所地の市区町村です。なお、退職後転居しているかもしれませんが、とりあえず在職中に届けていた住所地に提出すればよいでしょう。

 

■早く渡すと紛失する

その考えにも一理あります。そこで、紛失を防止すべく、「最後の給与明細」に源泉徴収票とともに「源泉徴収票の用途」と「再発行はしない旨」を記した書面を同封しておく必要があります。

 

 

【退職後に源泉徴収漏れが発覚した!】

(元従業員としての対処法)

 

年末調整はおろか毎月の給料からの源泉徴収さえできていない会社もあります。このような会社のほとんどが、創業して日が浅く経営者が税金に無知です。こんな状態はいつまでも続きません。なぜならば、税務署から源泉徴収するように執拗な督促があるからです。

 

税務署からの督促に対して「当社には従業員がいない!」などと、その場しのぎの言い訳で逃げる経営者もいます。しかし、このような言い訳をしてもやがてはばれます。なぜならば、会社が申告をする際に従業員に給料を支払っていることが決算書などから判明するからです。会社が申告しないのであれば、数年間はこのような状態が続くこともありますが、年数が経過すればするほど後処理が大変になります。

 

ともあれ、このような経営者がそう簡単に心を入れ替えるとは思えませんので、このような会社に勤務している人は「覚悟」をしておくことです。

 

■従業員が税務署に直接責められることはありません(ご安心ください!)

従業員から源泉徴収しそれを納付するのは会社の義務です(源泉徴収義務者は会社です)。ですから、「彼(従業員)の税金だから彼から取ってくれ!」は通用しないのです。

 

■会社から従業員への請求(合法な請求です)

源泉徴収が漏れていた分を会社が従業員に請求することはできます。これは合法な請求ですので従業員は拒むことはできません。ただし、これは会社と従業員の関係ですので、ここに税務署という国家権力が介入することはありません。税務署は従業員が会社からの請求に応じたか否かに関わりなく会社に源泉徴収が漏れていた分を納付させます。

 

■社長さんはどんな方ですか?

本業には情熱を注がれていますか?

事業内容に将来性はありますか?

従業員を大切にしていますか?

そうでない場合には至急退職すべきです。要するに、社長さんは何事においてもいい加減な人で、こんな会社が永続するはずがありません。

「俺達(我社)はベンチャーだ!!新しいものを創造するんだ。固定概念や理不尽な法律は破壊するぞ!!」

こんな人も要注意です。

 

■退職後に会社の悪事が判明した

当然、会社は元従業員に請求できます。ただし、退職後の元従業員の所在が判明しない場合には無理でしょう。特に個人情報保護が徹底されている昨今では、会社が元従業員の所在を探し出すのは至難の業です。また、上記のとおり税務署はこの件について一切協力してくれません。

こんなことになるので、経理(税金の処理)がいい加減な会社は倒産しやすいのです。名経営者と呼ばれる人の多くが経理を軽視することの危険性を強く戒めているのです。

 

 

【退職所得とは?】

給与所得とは所得の計算も税額の計算も大きく異なります。

 

1 退職所得とは

 

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などにより退職に際して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。また、労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します。

 

2 退職所得の計算方法(いわゆる1/2課税)

 

(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)1/2

 

退職所得は長年勤務してきた給与の後払い的な性質であり、特定の年度に一括して発生する所得であることから、収入金額−退職所得控除額をさらに半額とすること(1/2課税)により税負担を緩和しています。

 

★退職所得控除額の計算

勤続年数(A)20年以下・・・40万円×A(80万円に満たない場合には、80万円)

勤続年数(A)20年超・・・800万円+70万円×(A−20年)

 

★一部の退職者に対する1/2課税の廃止

平成25年以降は勤続年数5年以下の役員などの退職金については1/2課税が廃止されました。これは、いわゆる天下り役員の優遇税制を是正するためです。

 

3 退職所得に対する税額の計算方法

 

退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、会社が所得税額を計算し源泉徴収が行われるため原則として確定申告は必要ありません。一方、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人の場合は、支払金額の20%が源泉徴収されますが(さらに、こうして計算された所得税額に2.1%の復興特別所得税が上乗せされます)、退職金を受け取る者自らが確定申告を行うことにより税額の精算ができます。

 

 


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