収益・費用1


2018/8/30



《売上》

損益計算書の最上部に表示される会社の収益源です。会社が販売する商品、製品、サービスの代金の年間合計額です。いわゆる「本業」の収益で、資産運用や土地を売却した場合のような本業以外の収益は含みません。複数の事業を営む場合は、適当な区分で分割表示します。

売上高
会社が販売する商品、製品、サービスの代金の年間合計額です。売上高の中には、販売はしたけれども(商品の納品やサービス提供は済ませたけれども)その代金が入金されていない分も含まれています。
売上値引(売上=収益の減額)
売上高に計上した代金を、納期遅れ、不良などを理由として減額した場合に用います。見積もり段階での値引きはこれには該当しません。
売上戻し(売上=収益の減額)
販売した商品や製品が返品された場合に用います。

損益計算書には「売上高」「売上値引」「売上戻し」を並べて表示し、売上高から売上値引と売上戻しを減額した金額を記載します。(売上値引と売上戻しは表示せず、売上高から売上値引と売上戻しを減額した金額のみを記載することもあります。)

《売上原価》

年間の売上高に対応する年間の売上原価です。売上原価とは、売上高として計上した商品の仕入値のことで、「期首商品棚卸高+当期仕入高−当期仕入値引−当期仕入戻し−期末商品棚卸高」として計算します。製造業の場合には製造原価(材料仕入、労務費、製造経費など製品の製造に要した費用)を計算し、期首と期末の製品の棚卸高を加算減算します。

期首商品(製品)棚卸高
前期末には未販売であったため前期の売上原価には含めず、当期に繰り越されてきた商品(製品)の仕入値(製造原価)です。この勘定科目で処理することによって当期の売上原価に含めます。
仕入高
会社が販売するために仕入れた商品代金の年間合計額です。この中には仕入れたけれどもその代金を支払っていない部分も含まれます。また、未販売の部分も含まれ、この部分が下記の期末商品(製品)棚卸高となります。
仕入値引
仕入高に計上した仕入代金が納期遅れ、不良などを理由として減額された場合に用います。この勘定科目を用いずに仕入高を直接減額する方法もあります。
仕入戻し
仕入れた商品などを返品した場合に用います。この勘定科目を用いずに仕入高を直接減額する方法もあります。
(製造原価)
製造業の場合には製造原価の内訳として「材料仕入」「労務費」「製造経費」など製品の製造に要した費用を記載します。
期末商品(製品)棚卸高
上記の仕入高と製造原価の中には年度末に販売されていない部分もあります。その金額をこの勘定科目で翌期の売上原価として繰り越します。

損益計算書では売上高の次にこの売上原価のプロセスを表示し、売上高からそれに「対応」する売上原価を差し引いた売上総利益(粗利益)を記載します。

《販売費及び一般管理費》

●販売費及び一般管理費は売上との対応関係が間接的
販売費及び一般管理費とは、いわゆる「経費」と呼ばれるもので販売(営業活動)と管理(経理や請求業務など)に関するあらゆる費用です。上記の売上原価が売上高と直接的な対応関係があるのに対して売上高との対応関係は間接的ですが、経営上は必要な出費です。
●内容は種々雑多で同一内容の費用であっても会社によって勘定科目が異なることもある
販売費及び一般管理費の内容は種々雑多で勘定科目も多数あります。また、同じ内容の費用であっても会社によって勘定科目の割当てや名称が異なることもあります。それだけに、外部第三者(税務署や金融機関など)から説明を求められることも多く、会社としてはそれに対する適切な説明ができるようにしておく必要があります。
●管理のためには勘定科目の細分化が必要
販売費及び一般管理費を管理するためには試算表の段階では勘定科目をできる限り細分しなければなりません。しかし、決算書においては一般的な勘定科目に集約することになりますので、細分化された勘定科目を集約するルールを決め、集約のプロセスを記録として残し説明できるようにしておく必要があります。
●適切な勘定科目がない費用もある
業界独自の費用、新たな物やサービス(特に通信、ネット取引、システム、金融に関するもの)の費用を既存の勘定科目に割り当てることや新設する勘定科目の名称に苦慮することがあります。
●業務と無関係な支出は除かれる
販売費及び一般管理費は下記の名目に該当するのであれば無条件に認められるのではなく、会社の業務に関連しなければ計上することができません。業務と無関連の支出は、それを使った者(役員や従業員など)に対する貸付金や立替金(資産)として計上しなければなりません。

役員報酬
役員である代表取締役(社長)、取締役(専務、常務、その他)、監査役に対して毎月定額で支払う給料の総額(税金や保険料などを天引きする前の金額)です。
給料手当
従業員、パート、アルバイトなど、雇用している者に対して毎月支払う給料の総額(税金や保険料などを天引きする前の金額)です。基本給のほか、残業手当や役職手当などの諸手当も含めますが、通勤手当は旅費交通費に含めるのが一般的です。
賞与
役員、従業員、パート、アルバイトに対して臨時に支給する賞与、いわゆるボーナスの総額(税金や保険料などを天引きする前の金額)です。
雑給
パート、アルバイトなど、一時的な雇用者に対する給料をこの勘定科目で処理することがあります。
退職金
役員、従業員、パート、アルバイトに対して支払った退職金の総額(税金を差し引く前の総額)です。退職金に対する引当金を計上している場合にはこの勘定科目は表れませんが、小規模な会社では引当金を計上しないことが通常ですので、退職金を支払った時点にこの勘定科目に計上します。なお、中小企業退職金共済、特定退職金共済の掛け金は保険料で処理します。
法定福利費
社会・労働保険料など、加入することが法定されている役員や従業員の公的保険に関する保険料です。なお、ここに計上されるのは会社負担額です。
福利厚生費
役員や従業員のレクレーション費用(忘年会、新年会、歓送迎会、運動会、旅行など)、健康診断費用、残業時などの食事代、慶弔金など福利厚生に関する費用です。
外注費
営業、事務、清掃、警備、設備や機器の保守・メンテナンスなどの業務を雇用関係のない者(法人および個人)に依頼した場合の費用をいいます。いわゆる派遣会社に支払う派遣社員の対価である派遣料はこの科目など給料手当以外で処理します。派遣社員とは直接的な雇用契約がないからです。雇用関係のある者に対する対価の支払いは給料手当、賞与、雑給で処理します。
荷造運賃発送費
梱包資材の購入費、運送業者に支払う運賃など、梱包と発送に関する費用です。商品の仕入代金と一緒に請求されてくる運搬費用は仕入に含めます。主に自社商品の運搬に関して生じますが、事務所や倉庫を移転する際の運賃もこれに含めます。
広告宣伝費
商品販売のための雑誌や新聞の広告掲載費用、テレビCMの制作と放映に関する費用、展示会費用、パンフレット制作費用、ダイレクトメールの印刷や発送に関する費用、求人広告費用がこれに該当します。ホームページの制作と運営に関する費用もこれに含まれます。景品などの販促物も含みますが、販売促進費という勘定科目を設けることもあります。
交際費
得意先、仕入先、その他事業に関係する者に対する接待、供応、慰安、贈答その他これに類する行為のために支出した費用をいいます。人間関係を良好にして会社の収益につなげるための費用です。具体的には、そのための飲食代、ゴルフ代、お中元・お歳暮、お祝い、香典などです。
会議費
取引先との商談、社内での打ち合わせに通常要する費用(貸会議室の賃料、茶菓子代など)をいいます。実務上、交際費との区分が困難な場合があります。
旅費交通費
電車代、バス代、タクシー代、高速代、駐車代、通勤手当、出張費用(宿泊費、日当)がこれに該当します。旅費交通費の金額も大きく内容も多い場合には、勘定科目の細分化が必要です。
(例)出張旅費、出張手当、海外旅費、通勤手当など
通信費
電話代、葉書・切手代がこれに該当します。インターネット接続料金もこれに含めます。携帯電話の通話料と通信料も通信費ですが、携帯電話の購入費用は消耗品費(10万円未満の場合)です。電話機、ファックス、ルーターなどの通信機器は金額に応じて工具器具備品や消耗品費で処理します。
販売手数料
自社商品やサービスを販売するために代理店などへ支払う手数料や仲介料がこれに該当します。上記の外注費で処理してもよいです。この金額の計算は商品の販売数量や代金に連動した一定の基準に基づいて決められたものでなければなりません。そうでない支払いは交際費や寄付金、場合によっては貸付金になります。
消耗品費
固定資産に計上されない工具器具備品(机、椅子、パソコンなど)やソフトウェア、蛍光灯、事務用品、封筒、ガソリン代などがこれに該当します。消耗品費に該当する物は非常に多いですので勘定科目を細分することが必要になる場合があります。
事務用品費
事務に関する消耗品をいいますが、上記の消耗品費に含めてもかまいません。
修繕費
有形固定資産(建物、建物附属設備、車両運搬具、工具器具備品など)の維持や修繕(修理や修復)に関する消耗品、修繕を外部の業者に委託した場合の費用です。費用の内容によっては有形固定資産に計上しなければならない場合もあります。
水道光熱費
電気、水道、ガス料金です。賃貸ビルに入居している場合には、家主から請求された金額を費用として計上します。
新聞図書費
新聞代、本や雑誌の購入費用です。
諸会費
同業者組合、地域団体へ支払う会費です。
支払手数料
金融機関の振込手数料、弁護士、公認会計士、税理士などの報酬がこれに該当します。中には上記の外注費で処理するものもあります。
車両費
車検費用、車両の修繕費、ガソリン代など、車両関連費用を特別に把握したい場合に設けます。
リース料
「リース契約」に基づくリース料の支払金額です。レンタル料は賃借料で処理します。リースしている資産を資産計上している場合にはこの勘定科目には表われず、減価償却費として計上されます。
保険料
生命保険料、火災保険料、自動車保険料などがこれに該当します。社会・労働保険料の会社負担額は、法定福利費で処理します。
寄付金
国や地方公共団体に対する寄付金、公益目的の会社や団体への寄付金、特定公益増進法人、その他一般への寄付金に分類されます。会社としての社会的責任を果たす、社会との円滑な関係構築のための費用ですが、収益との関連性は薄いです。税務上の扱い(損金になる金額について)が事細かに定められています。
研究開発費
研究開発に関する費用をいいます。「研究所」の費用がこれに該当しますが、営業や事務部門の研修費用もこれに含めてもかまいません。
減価償却費
固定資産の取得価額の減価部分(消耗や価値の減少)を各事業年度に費用配分した金額です。
地代家賃
店舗、事務所、社宅、駐車場(一時預け分は旅費交通費)の地代と家賃をいいます。「共益費」などの名目で請求されるものもこの勘定科目に含めますが、電気・ガス・水道料金は水道光熱費で処理します。
賃借料
会議室、備品、車両などをレンタルした場合の費用をいいます。リース料金の支払いはリース料として処理します。
租税公課
印紙、自動車税、固定資産税がこれに該当します。法人税、住民税、事業税は、販売費及び一般管理費ではなく「法人税、住民税及び事業税」で処理します。なお、税込経理の場合の消費税納付額はここに含めます。いわゆる行政手数料をここに含めることもあります。
貸倒損失
売掛金や受取手形が回収不可能となったとき、回収不能金額をこの勘定科目で費用処理します。回収不能とは、特定の相手先に対する請求額が「全額」回収できなくなることをいいますので値引きとは異なります。
雑費
以上のいずれにも含まれない費用をこれで処理します。この勘定科目の名称からは支出の内容について見当がつきませんので、この勘定科目の多用は避けるべきです。一時的かつ少額な費用で、適当な勘定科目が見当たらない場合に用いてください。また、外部第三者(税務署や金融機関など)からの質問には答えられるようにしておく必要があります。

営業外収益以下についてはこちらをご覧ください。