負債・純資産(資本)


2018/8/30



《負債》

【流動負債】

(仕入債務)
買掛金
仕入代金の未払分をいいます。例えば、仕入代金の支払い条件を月末締めの翌々月10日払いとしている場合、5月末には4月(6月10日払い)と5月(7月10日払い)の仕入代金の合計額が計上されます。支払いが滞ると(決められた支払条件が守れなければ)この勘定科目の金額は増えます(仕入金額は一定であるとして)。
支払手形
仕入代金の支払いのために自社で手形を振出した場合の未決済金額です。他社から受け取った手形を裏書きした場合はこの勘定科目は用いません。受取手形(資産)を減額します。

(その他流動負債)
短期借入金
銀行融資などの借入金のうち、事業年度末の翌日から数えて1年以内に返済期日が来るものをいいます。なお、分割返済する借入金の場合、借入残額のうち1年以内に返済期日が来るものはこの勘定科目に含めます。
未払金
仕入代金以外の諸経費や固定資産購入などの代金で、すでに物の引渡しやサービス提供は受けているけれども、約束の支払期日が到来していないので支払いを済ませていないものをいいます。例えば、支払いを月末締めの翌月10日払いとしている場合、3月付の請求書で4月10日に支払った分は3月末には未払金となります。
未払費用
期間の経過に応じて発生する、借入金の利息、水道料金、電気料金、ガス料金、給料などで、すでに一定の期間が経過しているけれども支払期日が到来していないので支払いを済ませていない部分をいいます。上記の未払金がすでに請求書が送られてきているのに対して、未払費用は請求書がないので自ら計算しなければなりません。なお、実務上、未払金との区分を厳密にはしていないことが多いです。
未払法人税等
法人税・住民税・事業税(利益に対して課税される税金)の未払いの分です。これらの税金は、事業年度終了後2か月以内に申告し納税しなければなりませんので、事業年度末においては未払いの状態です。これをこの勘定科目で計上するのです。この勘定科目の基本的性格は、税額が確定しているけれども納期限が未到来の金額ですが、いわゆる滞納がある場合にはこの勘定科目の金額は通常よりも大きくなります。なお、この勘定科目は上記の未払金や未払費用と同様の性質ですが、内容や意味が重要であることからこの勘定科目を用います。
未払消費税等
税抜経理をしている場合は、仮受消費税と仮払消費税の差額で税務署に納付する金額です。税込経理を採用している場合は、確定した税額をこの勘定に計上するとともに同額を租税公課に計上します。この勘定科目も上記の未払法人税等と同じく未払金や未払費用と同じ性質ですがその重要性から別の勘定科目にしています。
前受金
商品の販売やサービスの提供に先立ち代金を受け取った場合に発生します。販売後は売上高に振り替えます。なお、この勘定科目ではなく売掛金を用いることもあります。その場合、売掛金がマイナスとなる場合もあります(一時的にはともかく、年度末には前受金に振り替えなければなりません)。不動産や有価証券の売却代金をその引渡しの前に受け取った場合もこの勘定科目を用います。
預り金
給与から天引きした、源泉所得税、住民税、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料の役員・従業員負担分の未納付部分です。天引き後、納付期日未到来のものは当然として、滞納がある場合も残高として残ります。役員・従業員から預かって、支払いの相手は税務署や年金事務所などの役所です。ほかの負債に比べてちょっと変わっています。ほかの負債は、お金を渡してくれた相手に返したり、物を渡したり、サービスを提供しなければなりません。
前受収益
時の経過に応じて発生する、利息、家賃などの前受け部分をいいます。上記の前受金との違いは、前受金が一定の時点になれば全額収益になるのに対して、前受収益は時の経過に応じて順次収益になるということです。実務上、前受金との区分は厳密ではありません。
仮受金
入金はされているけれども、内容が不明あるいは未確定なものをいいます。得意先が誤って余分に代金を振り込んできた、代表者が何気なく預金に預け入れたが記憶にないなどがこれです。できるだけ早期に原因を究明し、他の勘定科目へ振り替えなければなりません。
預り保証金
営業取引、不動産の賃貸借に際して受取る保証金や敷金をいいます。取引や契約が終了したならば相手先に返金しなければなりません。だから負債なのです。なお、返金不要であればこの勘定科目ではなく、しかるべき収益の勘定科目で処理しなければなりません。(この勘定科目は固定負債に含めることもあります。)
割引手形
受取手形を割引いた場合に計上します。割引いた手形が決済されたときに、この勘定科目と受取手形を減少させます。なお、割引きと同時に受取手形を減少させる方法もあります(この方法が主流です)。
裏書手形
受取手形を裏書きした場合に計上します。裏書きした手形が決済されたときに、この勘定科目と受取手形を減少させます。なお、裏書きと同時に受取手形を減少させる方法もあります(この方法が主流です)。上記の割引手形とこの裏書手形は本来の債務(負債)ではありません。割引きや裏書きをした手形の振出人が決済できない場合に背負う債務です。このような債務を偶発債務といいます。潜在的な負債です。ですから、受取手形を減少させ、貸借対照表に表れないようにする方法が正しいのです。
仮受消費税
消費税の仕訳処理を税抜処理している場合に、主に売上代金とともに受け取る消費税をこの勘定科目で処理します。試算表の金額はその累計額です。年度末には仮払消費税(仕入代金や諸経費を支払った際の消費税の累計額)との差額を計算し、納付の場合は未払消費税等、還付の場合は未収消費税等とします。この処理の結果、この勘定科目は消滅し決算書には表れません。

【固定負債】

長期借入金
銀行融資などの借入金のうち、事業年度末の翌日から数えて1年を超えてから返済期日が来るものをいいます。複数の借入先がある場合にはそれを合計した分です。金融機関が発行する返済予定表がある場合には、その残高と一致します(1年以内に返済する分と合計して)。

《純資産(資本)》

資本金
株主から出資として払い込まれた金額をいいます。なお、この金額は登記事項証明書(商業登記簿)の「資本金の額」と一致しなければなりません。
資本準備金
株主から出資として払い込まれた金額のうち、資本金に組み入れなかった金額をいいます。
利益準備金
配当した金額に対し10%を上記の資本準備金と合計して資本金の4分の1までこの名目で積み立てなければなりません。
繰越利益剰余金
純資産(資本)は「資本−負債」と計算します。繰越利益剰余金は純資産(資本)から資本金、資本準備金、利益準備金などを差し引いた残りです。この中に当期の利益も含まれています。

貸借対照表の前提(会社は倒産しない)

貸借対照表に計上された資産に関する各勘定科目の金額にはそれぞれの意味があります。資産の典型は現金(預金)ですが、それ以外の資産はそのままの金額で換金できないことがほとんどです。

○現金(預金)
現金(預金)の金額は貨幣価値そのもので、その金額の仕入代金、給料、家賃などを支払うことができます。現金(預金)の金額は、手持ちの貨幣と紙幣の合計額と預金通帳の残高をそのまま計上します(ただし、外貨の場合には円への換算手続が必要となります)。

○売掛金
売掛金とは販売代金の未回収額のことで、100万円で販売したのであれば100万円を現金(預金)で回収できます。売掛金は現金(預金)の前段階といえます。売掛金は回収できないこともありますので、それに備えて一定額を見積もってあらかじめ減額して計上します。

○有価証券
有価証券とは株式や公社債のことです。市場(証券取引所など)で売買できる有価証券については時価でもって貸借対照表に計上しますが、それ以外は基本的には取得価額(買値)で計上します。

○商品
仕入れたけれども販売していない部分は、その仕入値を商品という勘定科目で貸借対照表に資産として計上します。

○有形固定資産(土地以外)
建物、機械、車両、備品などの有形固定資産は、取得価額(購入代金)から減価償却相当額を差し引いた金額で貸借対照表に計上します。設備投資した金額(取得価額)からすでに消費した部分(減価償却相当額)差し引いた金額ですので「将来の費用」ということです。

○土地
土地は取得価額(購入代金)でもって貸借対照表に計上します。土地も建物や機械と同じく有形固定資産ですが、土地は使用しても消耗しませんので取得価額のまま貸借対照表に計上します。

★「将来の費用」も資産として計上される

資産には貸借対照表に計上されている金額では換金できないものが多数あります。商品や有形固定資産(土地以外)がその典型です。これらは一般的な意味での資産ではなく、「将来の費用」として資産に計上されています(プールされている)。

これらの前段階は現金(預金)ですが、「将来の収益」を得るために投下しているのです。商品は販売することによって、有形固定資産(土地以外)は使用することによって収益を獲得して現金(預金)として回収するのです。この投下のプロセスも資産として計上されるのです。

★会社は継続する(倒産しない)という会計の大前提

「どうして資産をすべて換金できる金額で計上しないのか?」

それは、換金するということが現実的でないからです。会社は継続するので、事業年度末における全ての資産の換金額を算出する意味がないのです。会社を消滅させるのであれば、全ての資産を換金して、まずは借入金を返済して、残りを株主に分配するという作業が必要ですが、会社を継続する場合にはそのような計算をする意味がないのです。

ですから、「将来の費用」という換金額とは乖離した金額で資産として計上するものもあるのです。会社が継続可能であるので、「将来の収益>将来の費用」となるという前提で資産を計上するのです。

★会社の継続が危ぶまれる場合(貸借対照表など無意味!)

会社の継続が危ぶまれる場合には、株主や債権者にとって貸借対照表など何の意味もありません。

「在庫(商品)を叩き売れば!」
「あの工場(土地、建物)をいくらで売れるのか?」
「スポンサー(資金や販路などの支援をする者)は現れるのか?」

関心はそこに移ります。

資産(あらゆるものを換金した合計金額)−負債(全ての返済や支払いの義務の合計金額)=純資産(最終的に残る現金)

これについて考えなければなりません。