税金の裏技!?

 

団体経由による申告

「権威にすがる」

 

 

地域や業種によっては、様々な団体が税金の相談に乗っていることがあります。そんなことから、「○○会経由で申告しないといけない」との誤認が生じていることがあります。

 

税務(納税者の依頼により申告書を書く、税務署との折衝をするなど)は税理士でないと行うことはできませんが、所得税の確定申告の時期に限って所定の団体は一部の税務を行うことができます。かつての高度成長期には、税理士数も不足しており税理士ではすべての納税者の相手ができなかったため、諸団体による税務が認められたとされています。

 

「○○会」などの中にはその知名度や権威が高いところもあり、一部の心ない人々が「○○会のお墨付きなので」と、ずさんな申告をしたこともありました。当然、税務署は黙ってはいません。

 

不純な期待を抱いて、「○○会」にすがりつくことは禁物です。最近では、心ない納税者の申告を引き受けない団体も増えています。税務調査の際のトラブル処理が大変だからです。

 

 

■申告期限ギリギリに集団で申告書を提出する

 

このようなことをしている(していた?)団体もあります。その真意は不明ですが、このようなことをしたからといって税金が安くなったり税務調査が省略されたりすること絶対にありません。なぜならば、税務署は申告書を受け付ける際に申告内容の全てを検討するわけではないからです。要するに、「集団で税務署を圧倒し時間切れを狙う」とはいかないのです。

 

■知り合いである政治家や著名人に税務署とのトラブルの解決を依頼する

 

税務署はトラブルの原因となっていることと無関係な人物は一切相手にしませんので、苦し紛れに政治家や著名人の名前を出しても何の効果もありません。

 

■ニセ税理士

 

「ニセ税理士」とは、税理士資格がないのに税金に関する業務(税務)を行う者です。正統派の税理士先生からはお叱りを受けるかもしれませんが、「ニセ税理士」そのものは大した問題ではないと思います(当然、法律に反します)。問題は、ニセ税理士が無責任な仕事をして報酬だけを取って逃げてしまうということです。ニセ税理士は申告書に署名押印をしませんので(署名押印ができませんので)やりたい放題です。

 

結局、「本物の税理士」が「敗戦処理」をさせられることになります。しかし、ニセ税理士を選択する依頼者は、なぜ、ニセ税理士を選択するのでしょうか? 是非とも知りたいですね。その理由が・・・

 

■決算や申告は必ず税理士に依頼しないといけないのか?

 

そんなことはありません。

申告納税制度を採用するわが国において、申告は納税者(企業、個人)自身で行わなければなりません。税理士は納税者の代行をするにすぎません。納税者自身で申告ができる場合は税理士に依頼する必要などありません。ただし、経理業務や税務申告は大変面倒でまた専門的部分が多く、税理士に依頼するほうが効率的かと思います。

(注)ほとんどの税務申告書や届出書に「税理士署名・押印欄」があるかと思います。この欄が空白でも各役所は申告書を受け付けてくれます。税理士関与の有無が申告書の「効力」を左右するわけではありません。

  

■税理士に依頼していない場合の税務調査

 

「税務署が一歩も引きません。助けてください!」

 

このような相談が会計事務所(税理士)に寄せられます。最近は税理士に依頼せずに申告をする人が増えていることから、特にこのような相談が増えています(税理士に依頼している場合には税理士が税務署とのやり取りをします)。税理士に依頼していない人からの相談の共通点としては次のようなものがあげられます。

 

〇なんの事だかわからない

人生において税務調査を経験する回数などそんなに多くはありません。多くの納税者は税務調査の通知を受けても何が何だかわからないというのが正直なところでしょう。

〇調査の当初は大変丁重であったのに最終的には大変厳格な姿勢を崩そうとしない

このあたりが税務署の「秘訣」です。長年の間に培った「ノウハウ」なのです。いきなり高圧的な態度に出ると納税者が反発するので、最初は「丁重に」「友好的に」納税者に接してきます。そして、調べることを一通り調べあげて「結論」を出すのです。結論とは「修正申告」のことです。修正申告とは当初の税額を増額し不足分を追加で納付するための申告です。

 

★「税理士抜き」で税務調査に勝つことはできるか?

正しい申告をしていれば勝てます。しかし、正しい申告をしていれば税務調査の対象にされることはありません。不正な申告をしていれば税理士に依頼してもどうにもなりません。

 

★税務調査だけを税理士に依頼する方法とそのメリット

税務署に対して「税理士に依頼する旨を告げる」とともに「税理士の氏名、事務所所在地などを記載した『委任状』を提出する」必要があります。また、税理士に対して着手金(数万円)を支払わなければなりません。こうすれば、以後は税務署と税理士がやり取りすることになります。もう、税務署からの執拗な電話に怯える必要はありません。

 

★税理士にノウハウのみを提供してもらう

税理士に税務署との間に立たれることに抵抗がある場合、つまり税理士にそこまで任せたくないと考えている場合には、税理士から税務調査の対応方法についてのノウハウ提供を受けるだけにしてもかまいません。ただし、この場合、税理士は「黒子」ですので税務署には税理士の存在を明かすことはできません。

 

★最終的には妥協すべきか?

自身に非がある場合には税務署の指摘に従うしかありません。税理士ならばこの見極めができます。

 

■事前通知のない税務調査(事前通知のない理由?)

 

【ご注意】下記の説明は「査察」でないことを前提としております。

 

税務調査に先立ち税務署から納税者(あるいは税理士)へ事前通知が必要であるかについて見解は分かれますが、事前通知が税務調査を行うための要件であると法律上は明文化されていないので事前通知のない税務調査が少なからず行われています。

 

「税務署が事前通知もなしに税務調査に来たので追い返してやった!」

 

「武勇伝」のように語る納税者がいます。「手柄」のように語る税理士がいます。事前通知のない税務調査は断れます。当然のことです。調査官は「絶対に帰らないぞ!」とか「必ず証拠を持って帰るぞ!」などとかいってすごんだりはしません。調査を拒まなければならない理由が相当であれば税務調査を中止してくれます(調査官の態度は非常に丁重です)。そして、改めての調査の日程については、後日、電話などで打ち合わせをすることになります。

 

★事前通知がなかった理由?

 

これを考えなければなりません。一般に事前通知がなく税務調査が行われるのは次の場合です。

 

「ありのままの実態を確認しなければならない」

「事前通知をすると逃亡、妨害、帳簿類の改ざん・廃棄・隠蔽のおそれがある」

 

これらは過去の税務調査や税務署が独自に入手した資料から慎重に判断してのことです。

 

★いずれ多額の追徴課税があるという税務署からの「予告!」

 

事前通知のない税務調査が行われたならば、このように考えて間違いありません。次回の調査では強力な証拠を携えてやってくるでしょう。また、場合によっては査察にバトンタッチということも覚悟しておかなければなりません。

 

■税務調査が行われる法的根拠(税務調査と個人情報保護)

 

★税務調査が行われる法的根拠は!?(どの法律に書かれているのか)

税務調査の通知を受けるとそのようにいう人がいます。以下が税務調査に関する法律の条文番号です。条文は、「電子政府の総合窓口・e-Gov(イーガブ)」の「法令検索」で読めます。条文をお読みいただくと、税務署に「質問検査権」があることをご理解いただけると思います。

所得税法234条(個人の税金)

法人税法153条(会社の税金)

相続税法60条(相続税と贈与税)

消費税法62条など

 

★税務調査と個人情報保護 

個人情報(自身、従業員、取引先)の保護を理由に税務調査を拒もうとする人がいますが、それはできません。税務署は税務調査で得た情報を職務目的以外に使用することはできませんので、個人情報が外部に漏れる心配はないのです。

 

★税理士によって税務調査に対する考え方が異なる 

案外知られていませんが、税理士によって税務調査に対する考え方が異なります。 

「税務調査を拒むのが税理士の役目(調査官を追い返す、帳簿類を見せない)」→「ハッタリ」でいっているのでしたらよいのですが・・・

「税務調査は調査官と税理士のみで行う(納税者=税理士の依頼者には調査に関わらさない)」→明らかに時代遅れです。

「税務調査は法律と慣習に則って(調査対象に選定された以上は仕方がない)」→これが主流でしょう。

「税理士が関与していれば税務調査は行われない(税理士の作成した申告書は完璧である)」→すごい自信ですね。

税理士に税務調査の立会を依頼する場合には、自身の税務調査に対する考え方を明確に伝えるとともに、税理士の税務調査に対する法的な解釈や方針を事前に十分確認しておくことをおすすめいたします。

 

 

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