青色申告決算書の貸借対照表が意味するもの

(会計ソフトの過信は禁物!)

 

 

昨今では会計ソフトが普及し、これを利用すれば貸借対照表は自動的に作成されます。しかし、その貸借対照表が正しいとは限りません。入力ミスや勘定科目誤りがある場合には歪(いびつ)な貸借対照表が出来上がります。

 

「貸借対照表を作成すればボロが出る・・・」といわれるように、損益計算書のミス(収入や必要経費の計上漏れや二重計上など)が貸借対照表に如実に表れることがあります。ですから、貸借対照表の各項目(勘定科目)の意味を理解し、「あるべき金額」とかけ離れていないかをチェックしておく必要があります。会計ソフトはこれを自動的に修正してくれないのです。

 

 

≪資産の部≫

 

●現金、当座預金、定期預金、その他の預金

 

説明するまでもないと思います。しかし、当座預金を開設している個人事業者などほとんどいないでしょう。ほとんどの場合は普通預金ですからその他の預金に事業用口座の年度末残高を記入することになります。

 

現金残高は正常ですか?マイナスにはなっていませんか?現金と預金を合計して総勘定元帳を作成していませんか?私生活用の預金口座を含めていませんか?

 

●受取手形

 

最近では手形取引が激減しています。不渡りが怖いからです。

 

●売掛金

 

貸借対照表を作成しようと考えている人であるならば当然ご存じだと思います。「発生主義」という考えから当然計上される勘定科目です。販売はしたけれども入金はされていない金額です。多くの事業では請求から入金まで1か月から2か月かかります。ということは、12月の貸借対照表には11月分と12月分の売上合計額程度が売掛金として残っているはずです。

 

このことの意味が理解できますか?

 

●有価証券

 

個人事業者が事業用に株などの有価証券を保有することなど考えられません。普通は譲渡所得とし事業所得とは区分して計算します。

 

会計ソフトの「入力ミス」でこの勘定科目に計上していませんか?

 

●棚卸資産

 

これは大変重要です。商品を仕入れた際には仕入という費用勘定で処理しますが、年度末に売れ残っている商品(在庫)は仕入勘定を減額する(仕入勘定を直接減額するのではなく期末商品棚卸高で減額します)とともに棚卸資産(商品、製品など)という資産勘定に計上しておきます。

 

12月31日に棚卸をしましたか(売れ残っている商品を数えましたか)?

 

その数に乗じた単価は?

 

●前払金

 

仕入代金などを仕入に先立って支払った場合にこの勘定科目を用います。

 

●貸付金

 

貸金業でもない限りこの勘定科目は発生しません。

会計ソフトの入力ミスでこの勘定科目に計上していませんか?

 

●建物、建物附属設備、機械装置、車両運搬具、工具器具備品

 

おなじみの減価償却です。

「減価償却の計算」の未償却残高(期末残高)と一致していますか?

 

●土地

 

事業専用の土地(その上に事業用の建物が建っているなど)があれば記入します。

 

●事業主貸

 

この勘定科目が正確に算出できていれば個人事業者としての簿記は卒業です(さらに事業主借と元入金)。

一年間に事業用の資金から私生活用に引き出した金額の合計と一致していますか?

そう簡単には一致しないはずです。

 

 

≪負債・資本の部≫

 

●支払手形

 

受取手形同様、最近ではほとんどありません。

 

●買掛金

 

売掛金同様、貸借対照表を作成しようと考えている人であるならば当然ご存じだと思います。発生主義という考えから当然計上される勘定科目です。仕入はしたけれども支払っていない金額です。多くの仕入先は請求から支払いまで1か月から2か月は待ってくれます。ということは、11月分と12月分の仕入合計額程度が買掛金として残っているはずです。

このことの意味を理解できますか?

 

●借入金

 

金融機関、親族、友人などからの事業用の借入金があれば記入します。事業主からの借入金は事業主借で処理します。金融機関からの借入金の場合には返済予定表の12月末残高に一致するはずです。

大丈夫ですか?

金融機関以外からの分は贈与税にも注意してください!

 

●未払金

 

経費や設備の購入代金で未払いのものがあれば記入します。買掛金と理論的性質は同じです。

 

●前受金

 

販売に先立って代金を受け取った場合に用いる勘定科目です。販売したならばこの勘定科目から売上に振替えます。

販売した分が残っていませんか?

 

●預り金

 

主に従業員の給料から預かった源泉所得税を計上します(会社の場合には社会保険料の従業員負担部分が計上されます)。預った分は事業主が税務署に納付します。源泉所得税は当月分を翌月10日までに納付しなければなりません。ということは、12月末に残っているのは12月に源泉徴収した分ということです。(納期特例の場合には7月から12月分となります。)

大丈夫ですか?

 

●貸倒引当金

 

売掛金(受取手形)のうち回収不能となる「見込み額」を計上しておきます。相手勘定は、貸倒引当金繰入額という費用勘定です(青色申告決算書の損益計算書では繰入額等の貸倒引当金となっています)。

 

●事業主借

 

事業主が事業主の私的な資金(事業所得の記帳の対象でない現金や預金)から事業用の資金に移動させた資金の年間合計です。

事業主貸や元入金をこの勘定で処理していませんか?

 

●元入金

 

語源は定かではありませんが、かなり以前からこの勘定科目が使われています。会社でいう資本金です。要するに、事業を始めるために事業主が用意した資金です。ただし、会社と違って、その年の儲け(青色申告特別控除前の所得金額)は翌年になれば元入金に加算されます(事業主貸はマイナス、事業主借はプラスされます)。

この金額に実感が湧きますか?

 

●青色申告特別控除前の所得金額

 

これが事業主の取り分です。会計ソフトを使用している場合には自動的に計算されます。損益計算書の青色申告特別控除前の所得金額と一致することはいうまでもありません。

この金額にも実感が湧きますか?

 

 

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