平成19年分(2008年3月申告)
所得税確定申告情報(8/9)
≪各種計算例(具体例)≫
総合課税の場合の税率
●195万円まで 5%
●195万円を超え330万円まで 10%(控除額97,500円)
●330万円を超え695万円まで 20%(控除額427,500円)
●695万円を超え900万円まで 23%(控除額636,000円)
●900万円を超え1800万円まで 33%(控除額1,536,000円)
●1800万円を超える 40%(控除額2,769,000円)
「課税される所得金額」とは、10種類の所得を合計した金額(ただし分離課税されるものを除く)から所得控除を差し引いた金額です。また、所得が増えるにしたがって税率が高くなっていますが、これは「累進税率」といって所得が多いほど担税力があるという考えによっています。
【計算例】課税される所得金額が650万円の場合
6,500,000円×20%−427,500円=872,500円
【控除額】
上記の税率において10%以上からは、課税される所得金額に税率を乗じた金額から一定金額を控除する(差し引くことができる)こととなっています。これは、同じ税率の水準(10、20、23、33、40%のそれぞれの税率となる所得の範囲)であっても、実質的な税率(税額÷課税される所得金額)に差をつけるためです。所得350万円の場合の税額は272,500円(350万円×20%−427,500円)で実質的な税率は7.78%(272,500円÷350万円)、所得500万円の場合の税額は572,500円(500万円×20%−427,500円)で実質的な税率は11.45%(572,500円÷500万円)となります。(所得が多いほど担税力があるという所得税の趣旨にかないます。)このように、所得の金額が区分した税率を超過するにしたがって順次、実質的な税率が上昇する構造を「超過累進税率」と呼んでいます。
複数の給与を合計した場合の税額
(1)A社より(主たる給与=扶養控除等申告書を提出し年末調整をしている)
●年額5,000,000円(給与所得控除後の金額3,460,000円)
●基礎控除380,000円
●配偶者控除380,000円
●扶養控除760,000円(2名)
●社会保険料控除250,000円
●生命保険料控除50,000円
上記を前提に年末調整すれば税額は次のとおりとなります。
課税される給与所得金額=給与所得控除後の金額3,460,000円−基礎控除380,000円−配偶者控除380,000円−扶養控除760,000円−社会保険料控除250,000円−生命保険料控除50,000円=1,640,000円
税額=1,640,000円×5%=82,000円
(2)B社より(従たる給与であることから乙欄で源泉徴収され年末調整していない)
●年額600,000円(月額50,000円)
●源泉徴収税額18,000円(月額1,500円×12ヶ月)(注)
(注)従たる給与の場合には配偶者の有無や扶養親族数にかかわらず定められた金額を源泉徴収されます(月額87,000円未満の場合には3%)。
(3)A社とB社の給与を合計した場合の税額
●年額5,600,000円(給与所得控除後の金額3,940,000円)
●基礎控除380,000円(年末調整したときの金額と同じ)
●配偶者控除380,000円(同上)
●扶養控除760,000円(同上)
●社会保険料控除250,000円(同上)
●生命保険料控除50,000円(同上)
上記を前提に確定申告すれば税額は次のとおりとなります。
課税される給与所得金額=給与所得控除後の金額3,940,000円−基礎控除380,000円−配偶者控除380,000円−扶養控除760,000円−社会保険料控除250,000円−生命保険料控除50,000円=2,120,000円
税額=2,120,000円×10%−97,500=114,500円
納付する税額=114,500円−82,000円(A社から源泉徴収された金額)−18,000円(B社から源泉徴収された金額)=14,500円
損益通算
●不動産所得・事業所得に損失がある場合
まずは、経常所得(配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得から)から控除します。例えば、事業所得が100万円の損失で給与所得が300万円であるならば、総所得金額は200万円となります(事業所得と給与所得以外の所得がないとします)。
経常所得から控除しきれない場合(ほかに経常所得がない場合も同じ)には、譲渡所得(総合課税)、一時所得から順次控除します。例えば、事業所得が500万円の赤字、給与所得が100万円、譲渡所得が600万円の場合には総所得金額は200万円(−500万円+100万円+600万円)となります(ほかに総所得金額の対象となる所得がないとすれば)。
●譲渡所得(総合課税)に損失がある場合
まずは一時所得から控除します。例えば、譲渡所得が50万円の損失で一時所得が100万円であるならば、総所得金額は50万円となります(ほかに総所得金額の対象となる所得がないとすれば)。
譲渡所得の損失が一時所得から控除しきれない場合には、経常所得で損益通算した結果から控除します(まずは、経常所得の中でそれぞれのプラスとマイナスを合計した結果から控除します)。例えば、譲渡所得が200万円の損失、一時所得が100万円、事業所得が500万円の場合には、総所得金額は400万円(−200万円+100万円+500万円)となります。
純損失の繰越控除(青色申告者の場合の損失の繰越)
●給与所得プラス300万円(給与所得控除後)
●不動産所得マイナス600万円
損益通算の結果、総所得金額はマイナス300万円(給与所得300万円−不動産所得600万円)となりますので、この損失を翌年に繰り越すことができます。(損益通算しても総所得金額がマイナスの場合には、配偶者控除、扶養控除などの所得控除は差し引くことはできません。つまり、損失とは所得控除を考慮しない金額のことです。)
翌年の所得が次のとおりとします。
●給与所得プラス300万円
●不動産所得プラス200万円
総所得金額は、給与所得300万円+不動産所得200万円−繰越損失300万円=200万円となります。ここから、基礎控除、配偶者控除などの所得控除を差し引くことができます。
減価償却
(1)定額法(建物については定額法に限られます)→平成19年3月31日までに取得した資産の償却方法
取得価額50万円、耐用年数4年とします(償却率は0.250となります)。
●1年目(4月に取得したとします)
{500,000(取得価額)−50,000(残存価額・取得価額の10%)}×0.250(償却率)×9ヶ月÷12ヶ月(年額の償却費を月割りします)=84,375(償却累計額84,375)
●2年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
{500,000(取得価額)−50,000(残存価額・取得価額の10%)}×0.250(償却率)×=112,500(償却累計額196,875)
●3年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
2年目に同じ(ただし償却累計額は309,375)
●4年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
3年目に同じ(ただし償却累計額は421,875)
●5年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
{500,000(取得価額)−50,000(残存価額・取得価額の10%)}×0.250(償却率)×3ヶ月÷12ヶ月(3月までで4年の耐用年数に達します)=28,125(償却累計額450,000、簿価50,000円)
◆減価償却は簿価が取得価額の5%になるまで行うことができまので、あと25,000円を減価償却費とすることができます。
(2)定率法→平成19年3月31日までに取得した資産の償却方法
定率法の場合に同じく、取得価額50万円、耐用年数4年とします(ただし償却率は0.438となります)。
●1年目(4月に取得したとします)
500,000(取得価額)×0.438(償却率)×9ヶ月÷12ヶ月(年額の償却費を月割りします)=164,250(償却累計額164,250、簿価335,750)
●2年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
335,750(前年度末簿価)×0.438(償却率)=147,058(償却累計額311,308、簿価188,692)
●3年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
188,692(前年度末簿価)×0.438(償却率)=82,647(償却累計額393,955、簿価106,045)
●4年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
106,045(前年度末簿価)×0.438(償却率)=46,447(償却累計額440,402、簿価59,598)
●5年目(年度を通してその資産を保有していたとします)
59,598(前年度末簿価)×0.438(償却率)×3ヶ月÷12ヶ月(年額の償却費を月割りします)=6,525(償却累計額446,927、簿価53,073)
◆減価償却は簿価が取得価額の5%になるまで行うことができまので、あと28,073円を減価償却費とすることができます。
(3)定額法(建物については定額法に限られます)→平成19年4月1日以降に取得した資産の償却方法
残存価額という考えがなくなりました。ただし、備忘価額として(帳簿に記録を残しておくために)1円は償却せずに残しておく必要があります。
計算例は下記の国税庁のサイトをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2106.htm
(4)定率法→平成19年4月1日以降に取得した資産の償却方法
定額法同様、残存価額という考えがなくなりました。ただし、備忘価額として(帳簿に記録を残しておくために)1円は償却せずに残しておく必要があります。
計算要素として下記の概念が加わり計算方法が大きく変わりました。
(A)調整前償却額
期首帳簿価額に償却率を乗じた額をいいます。
(B)保証率
取得価額に乗じる定められた一定の率で、これにより下記(C)の償却保証額を算出します。
(C)償却保証額
取得価額に上記(B)の保証率を乗じた額をいいます。
(D)改訂取得価額
(A)の調整前償却額<(C)の償却保証額となった事業年度の期首帳簿価額のことです。
(E)改訂償却率
(D)の改訂取得価額に乗じる定められた一定の率です。
定率法による償却限度額は、各事業年度の調整前償却額と償却保証額の大小によって下記のとおり変わってきます。
●調整前償却額≧償却保証額である事業年度
期首帳簿価額×定率法の償却率→従来と同様です。
●調整前償却額<償却保証額である事業年度(償却が進んでからの事業年度)
改訂取得価額×改訂償却率→以後は定額の償却となります。
計算例は下記の国税庁のサイトをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2106.htm
《減価償却の方法の選定と届出》
新規に開業した、今まで保有していなかった種類の資産を新規に取得した、新たに事業所を開設した(減価償却の方法は事業所単位で選定します)場合には、選定する減価償却の方法を届出なければなりません。届出がない場合には、法定された償却の方法(定額法)で減価償却しなければなりません。
《30万円未満の減価償却資産》
平成18年4月1日から平成20年3月31日までに購入した減価償却資産については、その個々の資産の取得価額が30万円未満のものについては、購入した年に取得価額全額を必要経費とできます。ただし、取得価額の年額合計(取得した30万円未満の資産が複数ある場合にはこれらの合計)が300万円という上限が設けられています。なお、この扱いは青色申告の場合に限られます。
《減価償却資産を廃棄した》
営業所、店舗の廃止などにより減価償却資産を廃棄する場合があります。この場合、昨年末までに減価償却をしていない金額(未償却残高=簿価)を廃棄した年度の必要経費とすることができます。
《減価償却資産を売却した》
この場合は、「売却収入−昨年末の未償却残高」が「譲渡所得」になります。マイナスの場合(売却収入<昨年末の未償却残高)は、譲渡所得の赤字を他の所得から差し引くことができます(建物の場合には不可)。
所得税確定申告情報