平成19年分(2008年3月申告)
所得税確定申告情報(4/9)
≪不動産所得≫
不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利(地上権、永小作権など)、船舶、航空機の貸付けによる所得です。不動産所得の金額は、事業所得同様に、「総収入金額−必要経費−青色申告特別控除額(青色申告を申請している事業者に限る)」として計算します。しかし、不動産所得の計算においては、事業所得と異なる次のような独自の取り扱いがあります。
1 賃貸料を収入とする年
契約、慣習によって支払日の定められているものはその「支払日」、支払日の定められていないものはその「支払いを受けた日」、請求のあったときに支払うこととなっている場合には「請求日」に収入としなければなりません。
多くの場合、賃貸料の支払いは「翌月分を当月末までに」や「当月分を当月の初日」と決められていることからすれば、1年間を通して賃貸しているならば、入金の有無にかかわらず12ヵ月分の賃貸料が収入となるということです。
なお、1年以内の期間の賃貸料については、継続的な帳簿記録があるならば、「支払日」、「支払いを受けた日」、「請求日」にかかわらず、貸付期間に応じた賃貸料を収入とすることができます。
2 権利金、名義書換料、更新料
貸付資産の「引渡しの日」、「引渡しの効力が発生した日」の収入とします。
3 返還を要しない敷金や保証金
「貸付期間にかかわりなく返還を要しないもの」は貸付資産を「引渡したとき」(引渡しの効力が生じたとき)、「貸付期間の経過に応じて返還を要しなくなるもの」は「返還を要しなくなった日」、「貸付期間の終了時に返還を要しなくなるもの」については「終了時」に収入とします。
4 事業所得では認められる必要経費などが認められない場合
事業所得では認められる次の処理が、「事業とは称するに至らない不動産の貸付け」(注)から生じる不動産所得について認められません。
●生計を一にする親族に対する支払対価(その親族が支払った諸経費など)
●青色専従者給与、事業専従者控除額(親族への給与の支払い)
●固定資産の損失
●貸倒損失
●貸倒引当金の繰入れ
●利子税
なお、「事業とは称するに至らない不動産の貸付け」であるか否かにかかわらず、不動産所得に損失が生じた場合、その損失のうち土地等を取得するために要した負債の利子に相当する金額の一定部分は他の所得と損益通算はできません。
(注)「事業とは称するに至らない不動産の貸付け」とは、社会通念によって判断することになりますが、国税庁の通達では次の要件を判断の目安としています。
●貸間、アパートなどについては、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること
●独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上であること
《不動産所得か?事業所得か?》
両者の区分は役務提供(サービス提供)の有無によります。例えば、駐車場経営で場所のみを貸付けている場合には不動産所得、場所の貸付けに加えて管理人を置くなどして車両の管理をしている場合には事業所得となります。不動産所得か事業所得のどちらになるかによって、所得計算の扱いが異なるのは上記4のとおりです。
《不動産所得の収入の名義人》
不動産所得はその名義人に帰属します。たとえば、賃料の集金をする人と不動産の名義人が異なっている場合には、外形上は集金している人の収入であるように見えても(賃借している人はそう信じていても)、不動産所得は不動産の名義人が申告しなければなりません。ただし、名義人が集金している人に一定の手数料などを支払っている場合には、その手数料などが集金人の所得となります(名義人にとっては必要経費となります)。
《「入居者ゼロ」の場合の不動産所得》
このような場合でも申告しておくことをおすすめいたします。なぜならば、不動産所得の収入がゼロであっても、必要経費は認められるからです(物件の維持管理と入居者の募集活動を続けている場合に限られます)。当然、不動産所得はマイナスとなり、ほかに所得がある場合にはその所得から差し引けます(損益通算)。また、損益通算後も損失となる場合には、青色申告ならばその損失を翌年以降に繰越せます。(土地を取得するための借入金利息については、他の所得との損益通算について一定の制限があります。)
≪一時所得≫
一時所得とは、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得に該当しない所得であること」、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得であること」、「労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有しない所得であること」のすべての要件を満たす所得です。
一時所得の金額は、「(総収入金額−収入を得るために支出した金額)−特別控除額50万円」として計算します。
一時所得の具体例としては次のものがあります。
●懸賞の賞金品、福引きの当選金品など(業務に関して取得するものを除く)
●競馬の馬券、競輪の車券の払戻金など
●生命保険契約などに基づく一時金
●法人から贈与により取得する金品(業務に関して取得するもの、継続的に取得するものを除く)
一時所得は申告を忘れがちです。生命保険の満期保険金や解約返戻金、勤務先などからの給与以外に受けた対価で給与所得とはならないものなどの申告漏れが目立ちます。これらの所得は、支払者が一定のものについて税務署に報告するルールになっていること、支払者の税務調査の際に把握されることが通常ですので、税務署に申告漏れを把握されやすいものです。くれぐれもご注意ください。
なお、一時所得になるものの中には非課税のものがあります(損害保険契約の保険金や生命保険契約の給付金うち一定のもの、相続税や贈与税の対象となるものなど)。迷われる場合には所轄の税務署に相談してください。
《収入を得るために支出した金額》
事業所得や不動産所得における「必要経費」よりも狭い概念です。つまり、「必要経費」が収入に対して直接的であるか間接的であるかにかかわりなく事業に関する支出であるのに対して、「収入を得るために支出した金額」は収入に対して直接的な支出に限られます。例えば、満期保険金を受け取った場合には、支払った保険料が「収入を得るために支出した金額」となります。
≪雑所得≫
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得です。
雑所得の具体例としては次のものがあります。
●公社債の償還差益
●生命保険契約などに基づき支払を受ける年金
●動産の貸付け、金銭の貸付け、原稿料などによる所得で事業から生じたと認められないもの
●公的年金など
雑所得の金額は、(公的年金等の収入金額−公的年金等控除額)+(公的年金等以外の収入金額−必要経費)として計算します。
一時所得と同様、申告を忘れがちです。これらの所得は、支払者が一定のものについて税務署に報告するルールになっていること、支払者の税務調査の際に把握されることが通常ですので、税務署に申告漏れを把握されやすいものです。くれぐれもご注意ください。
なお、雑所得になるものの中には非課税のもの(遺族の受ける恩給や年金など)があります。迷われる場合には所轄の税務署に相談してください。
所得税確定申告情報