所得税とは?


2018/12/26

確定申告は年に一度のことですので、納税者にとっては大変です。「初めて」「数年ぶり」の人はなおさら大変です。

まずは「国税庁のサイト」、次に「確定申告会場」、どうしても自分で申告できない場合は税理士に依頼する。これが確定申告の手順です。

所得税はすべての所得に課税される

◆所得の種類

所得税は人の所得に課税されます。所得とは人が得た「経済的な利得」とされています。経済的な利得とは、金銭による収入のみが所得とされるのではないということです。例えば、勤務先からの給料や賞与などの金銭以外の給付である社宅や自社商品の無償での提供も所得とされます。

所得といっても、所得の性質や所得を得るにいたったプロセスは、「勤労による所得」「事業による所得」「資産の運用による所得」「偶発的な所得」など様々です。わが国の所得税は、所得を次の10種類に分類し、それぞれで所得の計算方法を定めています。

1利子所得
2配当所得
3不動産所得
4事業所得
5給与所得
6退職所得
7山林所得
8譲渡所得
9一時所得
10雑所得(前記以外の所得)

◆収入と所得の違い

収入とは成果であり、それを得るための投下資金や努力(犠牲)を差し引く前のものです。例えば、事業における収入はいわゆる売上代金であり、ここから投下資金である仕入代金や諸経費を差し引いたものを所得税においては(事業)所得としています。ほとんどの所得には収入を得るための投下資金や努力が必要であるために、所得税においてはこれらを差し引いて所得を計算することになっています。

◆総合課税

わが国の所得税はすべての所得に税率を乗じて課税するという、いわゆる「総合課税」であることから、上記10種類の所得を最終的には合算しなければなりません。この合算をした金額から所得控除(配偶者控除、扶養控除、障害者控除など、個人的事情による所得の減額)を差し引いた金額に課税するのが基本的な仕組みとなっています。

総合課税では、複数の所得があり、プラスの所得とマイナスの所得がある場合には、「損益通算」することができます。損益通算とは、マイナスの所得をプラスの所得から差し引くことです。ただし、マイナスにならない所得と損益通算が制限される所得もあります。

◆非課税所得

本来は所得であっても、国民感情や社会政策の観点、その性質からして所得税の課税の対象とならない、非課税となる所得もあります。給与所得者の通勤手当のうち一定金額、生活必需品の譲渡による収入、健康保険などの保険給付、失業等給付、損害保険金や損害賠償金で心身に加えられた損害や突発的な事故によるものは非課税となります。

◆分離課税

所得税は上記10種類の所得を合計して、そこから所得控除を差し引いた金額に課税する総合課税が原則です。しかし、一定の所得については他の所得と合計してしまうと不都合が生じるものがあります。例えば、担税力を超えた税額になってしまうために納税者に酷である、反対に他の所得よりも担税力があるので税額を高くしなければならない場合があるからです。

分離課税となる主な所得は次のとおりです。
○退職所得
○山林所得
○土地建物等の譲渡益(譲渡所得)
○有価証券の譲渡益(譲渡所得)

所得税は誰に課税されるのか

◆個人単位の課税

所得税は所得を得た個人(1人)を単位に課税されます。配偶者控除と扶養控除により個人の家族構成を考慮した課税がなされていますが、これは個人の最低限度の生活に必要な部分には課税しないという趣旨であって、家族や夫婦を単位として課税するということではありません。

◆暦年単位の課税

所得税は暦年(1月から12月)で得た所得の合計に課税されます。例えば、事業を行っている人が1月から11月までは大変儲けていても、12月にそれまでの儲けを吹き飛ばしてしまうような損をした場合には、その年に所得税は課税されません(事業所得以外の所得がないならば)。

また、所得税の納税の義務が生じるのは暦年終了時(12月31日)ですが、納税額を計算するための事務処理の日数を考慮して実際の納税は3月15日までにすればよいことになっています。なお、納税の前提として2月16日から3月15日までに申告をしなければなりません。

所得税は暦年で課税されるので、特定の所得がどの年度の所得になるかは大変重要なことです。なぜならば、所得とする年度が異なれば各年度の所得金額が異なり各年度の税率も異なる場合があるからです。どの年度の所得になるかについては個々の所得の性質によって異なりますが、所得税法においてはその年度の収入を「その年において収入すべき金額」としているので、「現金などが手元に入った年度」ではないということです。一般には、収入となる「権利」が確定したならば「その年において収入すべき」であるとされ、権利が確定した収入に基づいて所得の計算をしなければなりません。

◆個人的事情の考慮

10種類ある所得は、誰が得た場合であっても同様の金額となります。しかし、個人が得た所得はまずは本人とその家族の生活(衣食住)のために消費されることから、所得税を課税するに当たっては、家族構成などの個人的事情(最低限の生活の保障)を考慮しなければなりません。この個人的事情の課税への考慮は、下記のとおりのいわゆる「所得控除」と呼ばれるものによって所得の金額から一定額を差し引くことによって行われます。この所得控除は、収入を得るための投下資金や努力(犠牲)とは性質が異なります。

○基礎控除(誰もが認められます)
○配偶者控除(一定の所得以下の配偶者がいる場合に認められます)
○扶養控除(一定の所得以下で16歳以上の扶養親族がいる場合に認められます)
○障害者控除(本人やその扶養親族が一定の障害を背負う場合に認められます)
○勤労学生控除(一定の所得金額以下の勤労学生に認められます)
○雑損控除(災害、盗難などにより一定金額の損害を受けた場合に認められます)
○医療費控除(本人や親族の医療費の一定金額について認められます)

◆申告納税(確定申告)と源泉徴収

所得税は、1年間(暦年)の所得を翌年の2月16日から3月15日までに自ら申告し納税する「申告納税(確定申告)」が原則です。しかし、一定の所得については、所得となるものを支払う者が一定の方法で所得税を「源泉徴収」して(差し引いて)、受け取る者に代わって納税する方式もあります。給与所得、利子所得、配当所得などがそうです。

人によっては、源泉徴収だけで所得税の課税が終了することもあります。自ら申告が必要な人の場合には源泉徴収された税額は最終的な税額の「前払い的」な性質となります。

【確定申告の必要のある人の例】
事業を行っている人
不動産を貸し付けている人
年金を受給している人
給与所得が2000万円以上の人
2ヶ所以上から給与をもらっている人

所得という担税力

「担税力」があれば課税されますが、担税力とは「所得」と同様に大変多様で難解な概念です。わが国は、「租税法律主義」であることから、国民から特定の租税を徴収するには、それについての法律の定めが必要となります。要するに、ある物、行為、事実が課税の対象とされることが「法律」で決まっているならば、それらには担税力があるのでしょう。

租税についての法律は大変緻密で、個々の納税者や税務署員の身勝手な判断や都合が介入しないようになっています。当然そうでないと困ります。なぜならば、税務署員が納税者の顔色によって、納税者が一時の感情や都合によって納税額を自由に決定できてしまうからです。

会社からの給与や事業の儲けが所得税の対象となるのは誰もが知ることです。しかし、所得の中には一般的に所得として認識されていないようなものもありますが、それらについても所得税法においては緻密に定められている場合もあります。

「知らなかった」では済まされません。「どうも、所得税が課税されそうだ」と感じたならば要注意です。

所得税は国民にとっては大変身近な税金ですが、大変複雑難解な税金でもあります。わが国の所得税収入の大部分は事業による儲け(事業所得)と会社などが支払う給料や賞与(給与所得)からです。事業所得については自らが申告しなければなりませんが、無知あるいは故意により申告をしない、あるいは不適法(不正確)な申告をする人が少なからず存在するのが実情です。給与所得については会社などによる所得税の源泉徴収(いわゆる天引き)で基本的に課税関係は終了しますが、この源泉徴収を怠る者がいます。その他の所得(特に毎年生じない所得)については、特に不慣れなために申告を忘れてしまうことが多々あります。

所得が個々人の担税力の尺度として合理的であることは確かですが、「税務署が所得を正確に把握すること」、「納税者が所得として認識すること」はそう簡単ではありません。法律に従って少しでも多く(正確に)所得税を取ろうとする「税務署」と、少しでも納税したくない(納税することを知らない)「納税者」との「小競り合い」が日々繰り広げられています。小競り合いでは済まず刑事事件(脱税)となっていることもあります。

【住民税】
住民税(都道府県民税と市町村民税)は、前年度の所得(所得税の計算とほとんど同じ)に応じて税額が決まります。つまり、ある年に所得税が課税されたならば、翌年は「自動的」に住民税も課税されるということです。各市町村(都道府県民税も市町村が徴収します)は、前年の所得を税務署(確定申告が必要な人)や企業など(給与所得者で自らの確定申告は不要な人)からの報告により把握します。